「コロナ危機」で資産が半減… 今こそ問われる金融アドバイザーの真価

  • 公開日:2020.03.16

Editor's Eye

●「コロナ危機」で不安が高まる中、アドバイスがほしいという個人投資家が増えている
●では、いったい誰に相談するのか。金融機関に不信感を持つ人も少なくない
●金融機関がここ数年で大きく変わってきたのも事実、IFAという新たな存在にも注目

新型コロナウイルスが猛威を振るう中で、世界的に株式市場が急落しています。iDeCoやNISAといった制度が整ったこともあり、ここ数年で投資を始めたという人も少なくないでしょうが、そうした人たちにとって、これほどの相場の下落は初めての経験であるはずです。

こういう時だからこそ、誰かにアドバイスしてもらいたいと思っても、投資に詳しい人がそうそう身近にいるわけでもありません。しかも、最近はネット証券などで投資を始める人が増えていますから、金融機関の窓口に相談することもなかなかできません。

そもそも相談相手として、金融機関は本当に信頼できるのか。そんな不信感を持つ人も、最近は増えてきているようです。昨年大きな話題となった、郵便局によるかんぽ生命保険の不適切販売の問題なども、そうした傾向に拍車をかけてしまったのかもしれません。

ただし最近は、金融機関も大きく変わってきているのは事実です。

皆さんは「顧客本位の業務運営」という言葉をご存じでしょうか。金融業界では今や当たり前のように使われていますが、一般的にはまだ馴染みがないかもしれません。もともと金融庁が銀行や証券会社などの金融機関に求めたことから広がった言葉で、2017年3月にはその指針となる「顧客本位の業務運営に関する原則」も公表されています。

それでは、そもそもどういう意味の言葉で、なぜ金融庁はこのような言葉を掲げたのでしょう? 意味としては文字通り、「お客さまの立場に立った業務の運営」ということですが、あえて言うまでもなく、当たり前のことのようにも思えます。

とはいえ、金融機関が投資信託や保険などの金融商品を販売するに当たって、その販売目標、ノルマなどが設定されてきたのも周知の通りです。

もちろん、営利企業に目標があるのは当然のことかもしれませんが、金融業界においては、顧客の利益がないがしろにされていた面があったのも否定できません。販売手数料を稼ぐために、同じ顧客に何度も売買を繰り返させる、いわゆる「回転売買」が横行してきたのはその象徴でしょう。

そんな背景があったからこそ、金融庁も「顧客本位の業務運営」を求めたわけです。その結果、ここ数年で金融機関はノルマそのものを廃止したり、「顧客本位の業務運営」をどのように実現させるかという方針を、ホームページ上に公表したりもしています。

もっとも、そうした良い意味での変化はメディアであまり紹介されないことが多く、全く知らなかったという人も少なくないでしょう。

そうした中で、にわかに脚光を浴びてきているのが、資産運用ビジネスの新たな担い手である「IFA」です。

IFAは“Independent Financial Advisor”の略称ですが、「独立系金融アドバイザー」などと訳され、証券会社や銀行といった特定の金融機関に属さず、独立した立場で資産運用などに関するアドバイスを行うのが一般的です。欧米では同様の独立系のアドバイザーが広く普及していることもあり、近年、日本でも急速に注目が高まっています。

IFAは「金融商品仲介業者」という業態で、「金融商品取引業者」の委託を受けて投資信託や株式といった金融商品の提案、ファイナンシャルプランに関するアドバイスなどを行います。金融商品取引業者は証券会社であることが一般的ですが、SBI証券や楽天証券などのネット証券もIFAと積極的に提携しているのは、やや意外に感じられるかもしれません。

もっとも、証券会社はIFAを雇用しているわけではなく、IFAにノルマを課すようなことは基本的にありません。IFAは個人でも法人でも業務を行えますが、法人と言っても比較的小規模で、転勤もないケースが多い。地域に密着し、顧客と長期に付き合えることが、最大の強みと言っていいでしょう。

だからこそ、顧客よりも自らの利益を優先してしまっては、生き残れないことになりかねません。「顧客本位の業務運営」が強調される中で、IFAが注目されているのには、そんなビジネスの特質があるのです。

一方で、そうしたIFAをサポートする立場にあるのが金融商品取引業者です。

現在、IFAとの提携を積極的に進めているのは前述のSBI証券、楽天証券の他、エース証券、PWM日本証券など。準大手証券の東海東京証券も昨年8月にIFA専門の部署を立ち上げるなど拡大を目指し、それ以外にも水面下で参入の準備を進めている証券会社などは少なくありません。

金融商品取引業者はプラットフォーマーとも呼ばれ、顧客の口座管理をはじめ、さまざまな事務作業をIFAに代わって行います。その分、IFAは顧客との面談に集中でき、アドバイスの質が高まることも期待されるというわけです。IFAとプラットフォーマーが、それぞれの強みを活かしつつ、分業できる仕組みだと言うこともできるでしょう。

この分業体制のもう1つの利点として挙げられるのは、IFAが「身軽」になれる点です。管理業務に伴うシステムコストなどを自ら負担しなくても済みますから、従来の金融機関と比べて損益分岐点は低くなり、結果として無理な営業をする必要もなくなります。

この点から見ても、「顧客本位の業務運営」の担い手として、IFAはふさわしいと考えられるわけです。

もちろんIFAだからと言って、その全てが顧客本位な存在であるわけではありませんし、銀行や証券会社などの従来の金融機関のほうも、ビジネスの在り方を顧客本位に変化させてきています。

1つ確かなことは、IFAであれ既存の金融機関の担当者であれ、自分と相性の良い金融アドバイザーを見つけられれば、皆さんの投資に対する見方が大きく変わってくるということでしょう。

とりわけ今回のような相場急変時には、信頼できる金融アドバイザーを知っているだけで、精神的な安定感が全く異なってくるのは間違いありません。

どんなに金融知識がある人でも、実際に相場の下落を経験し、損失を被ってしまえば不安になってしまうもの。今後も不安定な相場環境が続き、金融商品もますます複雑化していくはずです。「金融機関=悪」と一律に決めつけて敬遠してしまうのではなく、金融アドバイザーに相談するという選択肢を持っておくことが、これからは不可欠になるとさえ言っていいのかもしれません。

私たちFinasee編集部では、今後とも金融機関の批判すべきところは批判しつつ、一方で報道される機会がそれほど多くない「良い変化」についても、併せて紹介していきたいと考えています。

投資というのは本来、誰かが勝てば誰かが負けるというゼロサムのゲームではなく、世界経済が発展していく限り、誰もがその恩恵を受けられます。だからこそ、個人投資家と金融機関はWin-Winの関係になり得るのであり、むしろそれが健全な姿だと信じているからです。

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (3)
  • 難しかった (0)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

参考サイト
もっと情報をキャッチ!

あなたに最適なIFA(資産アドバイザー)を見つけるならFinasee(フィナシー)× 資産運用の無料相談窓口

あなたに最適なIFA(資産アドバイザー)を見つけるならFinasee(フィナシー)× 資産運用の無料相談窓口