マッチング拠出ありの場合 あえて「iDeCoを利用しない」ほうがよいことも
専門家が解説! iDeCo法改正のポイント 4

マッチング拠出ありの場合 あえて「iDeCoを利用しない」ほうがよいことも

  • 公開日:2020.04.13

Editor's Eye

●「マッチング拠出あり」でもiDeCoの利用も選択肢に
●「マッチング」と「iDeCo」の選択は「会社掛金」の金額に注目!
●企業型DCの商品の品ぞろえへの不満をiDeCoで解消する道も

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)は、2017年に「老後資産形成手段として誰でも利用できるように」というコンセプトに基づいて法改正されたことで加入者範囲が公務員や専業主婦の方などにまで拡がり、加入者が急速に増えました。その数は、2020年3月には150万人を突破すると見込まれています。

一方、2022~2023年の施行に向けて現在検討が進んでいるiDeCoに関する法改正の内容は、以前ご説明したiDeCoの加入期間や受取期間の拡大のほか、会社に確定拠出年金(DC)の制度があって、それに加入している人(以下、「企業型DC加入者」という)にとっても選択肢が広がるものとなっています。

今回は、企業型DC加入者にとって大きな目玉となる、「企業型DCとiDeCoの同時加入可能対象の拡大」のうち、マッチング拠出制度のある企業のケースについて解説します。法改正による変更点を理解し、積極的に活用すれば、自分の老後資産づくりにDCをこれまで以上に活かすことができるようになりますので、企業型DCにご加入の方は、ぜひチェックしてみてください。

前回は、「マッチング拠出制度のない企業型DC加入者は、ほぼ全員、iDeCoの同時加入ができるようになる」点についてご説明しましたが、マッチング拠出がある企業型DCに加入している場合でも、今回の改正によりiDeCoの同時加入が選択できるようになります。

出所:第9回社会保障審議会企業年金・個人年金部会 資料1
「制度の普及等に向けた改善について」(2019年11月8日)より

 

ただし、中にはiDeCoの同時加入ではなく、企業型DCでのマッチング拠出をしたほうがよいケースも少なからず存在します。メリット・デメリットを含め、ケースごとに詳しく解説していきます。

そもそもマッチング拠出とは、企業型DCにおいて、会社が出している掛け金に上乗せして加入者本人も掛金を拠出できる制度のこと。今回の改正により、「自分で掛け金を出す」場合に、企業型DCに拠出するか、新たにiDeCoに加入し、iDeCoに拠出するかの2つのパターンを選ぶことができるようになります。それぞれの特徴をまとめてみると、表のようになります。

マッチング拠出は会社掛金に自分が上乗せするだけなので、企業型DCの口座ひとつで運用・管理できますし、給付の手続きも企業型の1か所で済ませることができます。加えて口座管理料も一般的には会社が負担してくれますから、手間と費用負担の面から言えば、基本的にはこちらをお勧めしたいところです。

ところが、マッチング拠出には自分の出す掛金が会社掛金を超えてはいけないというルールがあるため、会社掛金の金額が少ないと、自らの掛金も多く出すことができません。特に若い方などは、会社掛金が少ないため、本人がマッチングとして積立できる額が非常に小さくなってしまうというデメリットがあります。

ですから、手間とコストをかけて企業型DCとiDeCoの2つの口座で運用・管理することになっても、なるべく多く老後資金を貯めたいという意欲のある方は、会社掛金が低い間に限って、iDeCoを利用するとよいと思います。

では、会社掛金がどれくらい少ないとiDeCoを利用したほうが多く積立ができるかというと、企業型DCのみ導入の会社にお勤めであれば会社掛金が月額2万円以下、企業型DCに加え、確定給付企業年金も導入している会社にお勤めであれば月額1.2万円以下となります。

ただし、iDeCoの場合は口座管理料の負担というデメリットもありますので、その分を掛金の所得控除メリットでカバーする必要性も勘案すると、損益分岐点となる会社掛金額はさらに下がります。iDeCoの年間口座管理料を3000円、所得税5%、住民税10%とすると、企業型DCのみ導入の会社の場合で会社掛金1.8万円以下、確定給付企業年金も導入している会社の場合は1万円以下というあたりがiDeCoを利用する目安になってきます。

逆に、勤続年数が長くなるとともに会社掛金が増えてきて、iDeCoで拠出するよりマッチングで拠出するほうが多く拠出できる時期が来る場合もあると思います。そのときはiDeCoの同時加入を止め、企業型DCでのマッチング拠出に選択を変更することもできます。

その際、それまでiDeCoで貯めてきた資産を企業型に移して、ひとつにまとめてしまうこともできます。そうすればiDeCoの口座管理料を払い続ける必要もありません。

ただ、資産を移す際にはいったん現金化しなければならず、マーケットリスクを負うことになる点には注意が必要です。

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著者

大江 加代 確定拠出年金アナリスト
大江 加代
オフィス・リベルタス取締役。大手証券会社にて22年間勤務、一貫して「サラリーマンの資産形成ビジネス」に携わる。確定拠出年金には制度スタート前から関わり、25万人の投資教育も主導。確定拠出年金教育協会の理事として、月間20万人以上が利用するサイト「iDeCoナビ」を立ち上げるなどiDeCoの普及・活用のための活動も行っている。

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