FPがいま改めて深掘りする「老後2000万円問題」

「人生100年時代」、老後2000万円不足――?その意味と対策とは

  • 公開日:2020.04.08

収入と支出が分かったところで、毎月の「(収入+金融資産取り崩し額)―支出」を計算してみましょう。

ここでマイナスにならなかった人は、現状のままで生活していけるということになります。リフォーム費用や大きな病気をしたときなど、特別な支出に対応できるようにしておけばひとまずは安心ですね。

マイナスになった場合、これが毎月の赤字額となりますから、これをどうにかして減らしていかないといけません。赤字額を減らすためには収入を増やすか支出を減らすか、あるいはその両方をしていくことになります。

  1. 勤労収入を得る
    収入を増やす方法としては、まずは働いて勤労収入を得ることが考えられます。毎月たとえ少額でも、働いて収入を得ることができれば家計はぐっと楽になります。
  2. 年金の繰下げ受給を検討する
    65歳以降の年金を65歳で受け取らず、受給開始を遅らせて年金額を増やす「繰下げ受給」という制度があります。年金の受給開始は遅くなりますが、保険料負担なしに年金を増額させることができます。比較的若いうちはなるべく働いて年金を繰下げし、退職してから増額された年金を受け取るというのも有力な選択肢の一つです。
  3. 金融資産を準備
    上記のような検討を加えてなお不足しそうな分を金融資産で賄うことになります。報告書ではこれが「2000万円必要」となっていたわけですが、収入を増やす工夫をしていけば、もっと少なくて済む可能性もあります。つみたてNISAやiDeCo等を活用して早いうちからコツコツと積み立てをしていけば、リスクを抑えつつある程度まとまった資産を確保することも可能ですので、なるべく早めに着手しましょう。

やはり固定費を見直すのが有効です。老後の家族構成を思い浮かべると生命保険や住居費など、今ほど必要なくなるケースもあります。生命保険の見直しや、思い切って住み替えなども検討してみるのもよいでしょう。インターネットや携帯電話などの通信費も見直しの余地があることもあります。シミュレーションの上だけではなく、支出の削減に早めに取り組むことができれば、その分を資産形成に回すこともでき、一石二鳥といえます。

気を付けたいのは、極端な緊縮財政にして、シミュレーションが現実離れしてしまうこと。食費や娯楽費などは健康の維持や生活の楽しみのため必要となるので、ある程度のゆとりを見込んでおきたいところです。

 

大切なのは「2000万円」ではなく、ハッピーな老後を送ることです。そのために今できることは今のうちにしておきましょう。

その入り口となる老後資金のシミュレーションは重要です。特に公的年金がいくらもらえるのかわからない人はこれを調べるところから始めてみるとよいでしょう。

また、今後ライフステージが変わったり、制度改正や社会の変化によって必要な生活費や得られる収入も変わっていきますので、節目節目でシミュレーションを見直し、少しでもゆとりある老後を迎えられるようにしておきたいところですね。

 

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著者

綱川 揚佐 特定社会保険労務士
綱川 揚佐
金融機関在籍中に1級ファイナンシャル・プランニング技能士資格を取得、その後建設会社等の勤務を経て、社会保険労務士資格を取得。現在は社会保険労務士事務所を経営し、個人向けに年金に関するセミナーや年金相談を行うかたわら、法人向けの労務管理や労働・社会保険に関する手続き、相談業務も行っている。

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