相場急変時にこそ意味を持つ、「アクティブvs.インデックス」の議論
篠田尚子のファンド愛 2

相場急変時にこそ意味を持つ、「アクティブvs.インデックス」の議論

  • 公開日:2020.04.10

Editor's Eye

●インデックス投資の成功のカギは徹底的な「受け身」姿勢にあり
●アクティブの真の意味は「自由度の高さ」
●先行き不透明感が漂う今だからこそ、自身の投資スタンスに向き合いたい

「まさかこんなことになるとは……」。

市場関係者に限らず、足元数カ月の間、世界中どれほどの人がこの言葉を口にしただろうか。何やら聞き覚えのあるセンセーショナルなフレーズが連日メディアを賑わせているが、実はこういうときこそ、自身の投資スタンスと保有する投資信託を照らし合わせ、冷静に見つめ直す格好の機会だ。

まずは、ここ数年で大きく残高が増えたインデックスファンドと、インデックスファンドを保有する際の心構えについて見ていこう。

インデックス連動型の投資信託は、ベンチマークとして掲げた株価指数が下落すれば、ファンドの基準価額も相応に下落する。商品設計上、運用力で下落相場に立ち向かう術はないので、まとまった資金で一括投資している投資家は買い増しをする、定時積立している投資家は積立を継続することで平均買付単価を下げるというのが有効な対応策となる。いずれの場合も、時間を味方につけ、時間分散効果に期待するという点で共通している。

投資初心者を想定した「つみたてNISA」でインデックスファンドの選択肢が多いのは、ファンドそのもののリスクが低いからではなく、長期投資と相性が良いからということに他ならない。

このように、インデックス投資の大前提は、長期投資である。裏を返せば、10年単位で長期投資ができないという人は、後述するアクティブファンドも選択肢に入れたほうが良いだろう。

もう1つ、インデックス投資とうまく付き合うためのヒントとしては、市場が急変しても「受け身」で居続けることが重要だ。下落局面で焦ってファンドを入れ替えると、市場が思わぬ方向に動いたときに傷口が広がり、ますます身動きが取れなくなる。そもそもインデックス運用というのは、パッシブ(受動的な)運用の一形態である。特に、インデックスファンドで積立をするなら、とことん「受け身」のスタンスで、最低でも5年程度は続けるつもりでいたほうが良い。

ちなみに、インデックス投資のパイオニアである米バンガード社の創業者、ジョン・ボーグルはかつて、インデックスファンドを「パッシブな投資家が(長期)保有するためのパッシブファンド」、ETFを「アクティブな投資家が売り買いをするためのパッシブファンド」と表現した。長年にわたって長期分散投資を提唱してきたボーグルは、ETFが誕生した当初、こうした「アクティブな投資家」に投機的に利用されることを危惧し、ETFという金融商品に極めて消極的な姿勢を見せていたわけだ。

その後、米国におけるETF市場の目覚ましい成長を背景にバンガード社もETF市場に参入するのだが、広範囲の投資対象と、頻繁に売買を行わないことの重要性を説く姿勢は、今も昔も一貫している。

 

突然だが、「アクティブ(Active)」という単語を耳にしたとき、何を連想するだろうか。直訳すると「積極的」「活発」「能動的」などの意味を持つこの英単語、投資信託の運用手法に照らし合わせると、「高いリスクを覚悟して高いリターンを狙う」ことをイメージする人が多いのではないだろうか。この解釈自体は決して間違っていないが、投資信託のアクティブ運用は、積極的にリターンを追求するだけでなく、リスクを上手にコントロールするという役割も担っている。

資産運用の世界では、アクティブ運用の明確な定義は存在せず、指数に完全に連動していない「非・インデックス型」の商品を「アクティブファンド」と称することが多い。つまり、冒頭の「アクティブ(Active)」が意味するのは、運用の自由度の高さであって、必ずしも高いリスクを負って高リターンを狙うことだけではない。

以上をまとめると、市場平均よりも高いリターンを追求したい、あるいは、市場平均よりもリスクを抑えたいという場合は、アクティブ型の投資信託を活用したほうが良いということになる。資産の取り崩し時期が迫っているなどして10年単位の長期投資が難しい人、「受け身」の投資スタンスで居続けられないというアクティブ(=能動的)な投資家にも、ぜひアクティブファンドをおすすめしたい。

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著者

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
篠田 尚子
慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。

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