篠田尚子のファンド愛 2

相場急変時にこそ意味を持つ、「アクティブvs.インデックス」の議論

  • 公開日:2020.04.10

では、真の優良なアクティブファンドとは何か。それは急な市場環境の変化に大きく左右されることなく、中長期にわたって継続的に市場平均を上回るリターン(アルファ)を獲得できるものをいう。

投資信託の基準価額は、一度大きく下げてしまうと再び同じ水準に戻すために多大なエネルギーを要する。だからこそ、一時的に下げることはあっても、リスクを素早く察知してブレーキをかけ、市場平均以上に大きく負けないことが重要なのである。

実はインデックス型とアクティブ型の運用成績には、資産タイプ別に一定の傾向が見られる。つまり、アクティブ型のほうが総じて優れている資産タイプと、インデックス型のほうが優れている資産タイプがあるのだ。

国内株式や国内リート(不動産投資信託)など、投資ユニバース(組入銘柄の候補群)が狭い資産タイプほど、優良なアクティブ型の投資信託が多く存在する。

一方、投資ユニバースが広く、さらに為替リスクも伴う海外資産(株式、債券、リート)は、総じて優良なアクティブ型の投資信託が少ない。中でも米国を中心とした先進国株式(日本を除く)は、市場効率性が高く、リターンが市場平均に収斂していく傾向があるため、インデックスを上回ることが難しい。

こうした特徴を把握しておくだけでも、優良なアクティブファンドを見つけやすくなるだろう。

なお、複数の資産を組み入れた、いわゆるバランス型は、突出したリターンを収めているものが優良とは一概に言い切れない。なぜなら、バランス型ファンドの中には、前述の、市場平均よりもリスクを抑えた運用を目指すタイプの商品が含まれるためだ。

実は機関投資家と呼ばれるプロの投資家の世界では、2000年代後半の世界的な金融危機以降、こうしたリスク低減型の商品が増え、広く活用されてきた。退職金や教育資金など数年以内に使う、あるいは取り崩すことを決めている資金の他、相続金のように元本の大きな毀損を避けたい場合などは特に、リスク低減型のバランス型を活用することをおすすめしたい。

こうしたファンドを部分的に取り入れれば、ポートフォリオの「緩衝材」としての役割が期待でき、不透明感漂う相場環境においても、肝を冷やすことなく資産形成ができるだろう。

市場環境が良好なときというのは結局、何をどのように購入しても「勝つ」ので、「積立か一括投資か」「インデックスかアクティブか」という議論もさほど意味を持たない。また、投資経験の浅い投資家ほど、自身のリスク許容度を過大に評価してしまいがちにもなる。

市場環境の急変時というのは、これまで見えていなかったことが顕在化する。過度に恐れるのではなく、新しい発見ができる良い機会として、まずは自身の投資スタンスに冷静に向き合ってほしい。

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著者

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
篠田 尚子
慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。

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