篠田尚子のファンド愛 3

分散していたのになぜ下がる? 実は奥が深いバランス型ファンドの世界

  • 公開日:2020.05.11

「資産分散」の重要性を表す教訓として、「卵を1つのカゴに盛るな」という格言がよく用いられる。これは、持っている卵を1つのカゴに盛ってしまうと(=1つの資産に集中して投資をすると)、落としたときに卵がすべて割れてしまう(=その価格が下落したときに損失が大きくなる)危険性があるため、複数のカゴ(=資産)に分散すべきという意味だ。

確かに卵の場合は、より多くのカゴに分散したほうが、卵1つ1つが割れるリスクを小さくできる。しかし、投資の世界でリスクを小さくするためには、単に複数の資産を組み合わせるのではなく、値動きの方向性の異なる資産、つまり、先の「相関が低い」資産を組み合わせる必要がある。極端な話、相関の低い資産の組み合わせなら、2資産でもリスク(標準偏差)を下げることは可能だ。

また、各資産がリターンに与える影響は異なるため、どの資産にどの割合で投資するかという資産配分も、運用時のリスク調整に際して注意を払う必要がある。繰り返しになるが、「8資産均等」のバランス型は、各資産のインデックス型商品を同じ割合で束ねているにすぎず、各資産間の相関が高まると、分散効果が働きにくくなる。

こうした事態に見舞われたとき、資産配分を機動的に変更できないことが、均等配分のバランス型ファンドのデメリットとして露呈してしまう。資産配分を柔軟に変更できるのであれば、冒頭の質問であった「債券やリートに分散投資する意味」は「ある」と言えるだろう。

では、これまでの内容を踏まえた上で、投資家はバランス型の投資信託とどのように付き合っていけば良いのか。ポイントは、バランス型ファンドに「何を期待するか」だ。

もし、つみたてNISAのように積立で20年単位の時間をかけ、コツコツと資産を作っていきたい、あるいは、それだけの時間をかけられるなら、低コストの「8資産均等型」は決して悪い選択肢ではない。積立を実践することで短期的な基準価額の変動が平準化され、自動的に時間分散効果のメリットを享受できるからだ。リーマン・ショックや今回のコロナショックのような特異な状況下では、短期的な基準価額の変動を容認する必要があるが、最終的に相応の高いリターンも期待できる。

反対に、「20年も時間をかけられない」、または、退職金や相続金のように明確に「減らしたくない」というニーズがある場合は、前述した、資産配分を機動的に変更させるタイプ(可変配分型)のバランス型ファンドのほうが向いている。

一口に「バランス型」と言っても、このように実はさまざまな種類がある。次回は、足元のコロナショックで底力を発揮した可変配分型のバランス型ファンドについて詳しく見ていきたい。

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著者

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
篠田 尚子
慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。

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