コロナショックで再検証する「つみたて投資」の効用 2

株価の下落はつみたて投資の始め時? それとも終わらせるべき?

  • 公開日:2020.05.15

Editor's Eye

●評価損が出てている人、利益が出ている人、それぞれつみたて投資をどう考えるべき?
●つみたて投資はいつ始め、いつどのように解約するのか
●机上の投資理論と実際にリターンを出すことは別物

前回の記事でもお伝えしましたが、コロナショックで一時的に評価損が出たとしても、つみたて投資の効用を理解していれば、相場の下落をむしろ前向きに捉えられるはずです。さはさりながら、コロナショックでせっかく積み立てた資産を売却したり、積み立てをやめたりする方がいらっしゃるのは、大変残念なことです。

そういう方やこの機会につみたて投資に取り組みたい方、あるいは今後解約したいという方は、以下の筆者のアドバイスをご参照ください。

<1>数年前からつみたて投資していて評価損が出ている方

前回の筆者の事例をご覧ください。つみたて投資で一時的に評価損が出るのは当たり前です。繰り返しになりますが、株価が下がったら喜ぶくらいのマインドセットで臨みましょう。

筆者もこの記事を書くために、自分のつみたてNISA口座の明細を入手したくらいで、毎月の基準価額なんか見ていません。結果的に預金よりマシ、くらいの感じで取り組んでいます。

2007年から続けているiDeCo(個人確定拠出年金)も同じです。評価損を気にしないでください。銀行の定期預金金利が0.00数%である状況下、通期で年換算リターンが2〜3%もあれば儲けものなのです。

ただし、この2点だけ注意してください。

1つ目は、将来性がない投資対象に投資しても意味がないことです。今回のようなコロナショックが訪れようと大恐慌であろうと、必ず復活している投資対象(例えば、米国株・S&P500指数/ニューヨークダウなど)を選んでください。

2点目は、必ず購入・運用コストが低い投資信託(≒インデックスファンド)を選んでください。投資信託を選ぶ場合、今や購入手数料は無料、信託報酬は年0.1%前後でないとペイしません。

<2>この機会につみたて投資を開始した方

おめでとうございます。こんな機会はめったにありません。少額でも結構ですから、引退までずっと続けてください。注意点は、<1>と同じです。

<3>この機会につみたて投資をしようと考えている方

まだ始めるかどうか迷っている方ですね。<2>と同じで、株価が低迷する今はつみたて投資を始める千載一遇のチャンスです。まずは勉強の一環として始めましょう。必ず学びがあります。同じく注意点をご参照ください。

<4>つみたて投資をしていて評価益が出ている方

この時点で長期間つみたて投資に取り組まれ、特に株式や株式投信で評価益が出ていらっしゃる方はかなりの強運の持ち主か、天賦の才能を持たれている方です。ただし、評価益は出ていても期待リターンがほとんどゼロ%の日本国債ファンドとか、現金に近い投資対象(例えば、iDeCoでの定期預金)とかではリターンがわずかですので、元本が残れば良いという程度で本当にいいのかどうか、読者の投資スタンスを再確認してください。

<5>つみたて投資を解約したい方

いつ解約するかは、その資金がいつ必要になるかによります。個人によって状況が異なりますので、次の4つのパターンを参考にして解約の要否や時期を決めましょう。ただし、短気は損気。基準価額が下がっているからといって、あわてて解約するのは考えものです。

(1)解約損を出したくない方は、利益が出ている分の口数だけを解約して資金化しましょう。資金が不足するかもしれませんが、一部の実現損を先送りすることはできます。ただし、さらに基準価額が下がることもあるので長期戦覚悟です。

(2)解約損を出しても必要な資金を用意したいという方は、その資金に応じた口数を解約しましょう。一部の損切りとなります。

(3)あれこれ考えずに資金が必要という方は、同じくその資金に応じた口数を解約しましょう。こちらも、一部の損切りとなる可能性があります。

(4)一部でも損が出ているのを見るのが嫌だという方は、この際全額解約してスッキリしましょう。そのほうがストレスを感じずに済みますが、再度投資を行うのは心理的に難しいと思います。

最後に補足をしておきます。投資となると、ポ-トフォリオを組めとか為替ヘッジを考えろとか言われますが、毎月2〜3万円程度のつみたて投資である限り、そんなことを考える必要は一切ありません。投資金額をコントロールすれば、それで十分です。ポ-トフォリオは全資産を合計した上で、結果として所与の資産配分になるものです。

為替ヘッジも、投資金額が少額であればヘッジするコスト分の期待収益が減りますので、あまり意味はありません。

机上の投資理論と実際にリターンを出すこととは、全く別物だとご理解ください。なぜなら、自宅を買う際、将来の値下がりを恐れて不動産投資信託(J-REIT)を空売り(株式を借りて売却すること)したりする人はいませんよね。

株価は引き続き軟調ですが、コロナ禍が終息し、新たな希望が芽生えてくると株価やその他の資産価格は必ず上昇に転じます。ただし、いつかは分かりません。こうした環境下、相場を先読みするというよりは、一定金額を定期的に投資し、投資タイミングを選ばず、本多翁のように「物と金の適時交替」をつみたて投資で継続していくのが賢者と言えるでしょう。

誰もが本多翁になることはできませんが、誰でもその教えを踏襲することは可能なのです。

著者

太田 創 日本つみたて投資協会 代表理事
太田 創
関西学院大学卒。1985年、三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行。1988年より約10年間、英国およびブラジルで資金為替・デリバティブ等の運用、投資信託の管理業務に携わる。その後、2000年から2019年までシティグループ(米)、UBS(スイス)、フィデリティ(米)等で投資信託のマーケティング・商品企画を統括。近著に『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる 米国つみたて投資』(かんき出版)がある。
この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (8)
  • 難しかった (1)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!