「コロナショック」からの回復を見極めるには米国雇用統計に注目!

  • 公開日:2020.05.26

一方のリスク・シナリオでは、感染者数の再拡大などで行動制限期間が長くなってしまい、失業だけではなく企業の倒産が大幅に増えてしまう。元に戻れない従業員の失業期間が長くなり、収入も減ったままで消費が増えないと想定する。

前述したように、リーマン・ショックでは、2年近くの長きにわたり失業者が増え続け、月次の雇用減少の合計は870 万人に上った。その後、毎月15 万人程度の増加で、回復させるのに5年近く掛かった。

コロナショックの場合、数はもっと多くなるかもしれないが、期間が短いかどうかが大事なポイントだ。リスク・シナリオでは、長引く行動規制で倒産や廃業が増え、融資していた銀行も傷つき、資金的な行き詰まりが増える金融危機シナリオとなる。

雇用者が減っても、そのこと自体では市場は驚かなくなっている。コロナショック後のマーケットは、リーマン・ショックのように雇用者数が元に戻るために何年もかかるのか、それともすぐに失業者は仕事を見つけ、収入を得て消費を活発にするのかに注目している。

正常化までの時間が長すぎると、危機の程度は深まってしまう。その意味で目先の注目は感染者数増加の勢いの低下だ。だが、いったんコロナショックの期間が見えてくれば、注目は雇用と賃金の回復であり、ひいては消費の回復、米国需要の世界への波及、の順番となる。

メイン・シナリオで考えると、ニューヨークダウ工業株30 種指数は2021年3月ごろに2万5500 ドルに達すると予想し、日経平均も2万円を超える水準で安定的に推移するとみている。

この背景として、4-6月期の大きな経済低迷は、かなりの部分(例えば失った部分の半分以上)を7-9月期に取り戻せると想定する。それでも残りの部分の完全な復旧は、早ければ年度内(2021年3月ごろ)となりそうで、株式市場も簡単に元に戻るとは予想しにくい。市場心理が元に戻るためには時間がかかるとみている。例えば雇用者数の回復などが確認され始めて、ようやく市場に安心感が広がるのではないか。

2020年2月12日の2万9551ドルから3月23日に1万8591ドルまで低下し、4月末時点で2万4633ドルに戻ったニューヨークダウが、「二番底をつけるのか」という質問は多い。メイン・シナリオが正しければ、半値戻し水準の株価指数が景気指標や企業収益の実績悪化を再び織り込む必要はないと見ている。株価下落が主に感染防止のためのロックダウン政策に依拠しているので、実績よりも今後の見通しへの期待で上昇しやすくなるからだ。

仮にリスク・シナリオへの転換となる場合、前回の安値を大幅に割れる可能性が高いと見ている。そうなれば、1万8591ドルを割り込むと見ており、一番底ではなかったことになろう。

 

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著者

神山 直樹 日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト
神山 直樹
1961年生まれ、一橋大学経済学部卒業。シティ大学、ニューヨーク大学経営大学院修了。85年日興証券(現SMBC日興証券)入社、外資系証券などを経て、2015年1月から現職。幅広い資産クラスの市場分析・予測を行うとともに、個人投資家、機関投資家を対象として投資情報や運用戦略等を発信する。

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