「コロナショック」でも下がりにくかったバランス型ファンドは何?

「コロナショック」でも下がりにくかったバランス型ファンドは何?

  • 公開日:2020.06.03

Editor's Eye

世界を震撼させた新型コロナウイルスの影響は、投資信託市場にも波及した。特にバランス型ファンドには分散効果が期待されただけに、逆に下げが目立つ格好となったが、実は下落を最小限にとどめたものも少なくなかった。そこで、ファンドアナリストの草分けとして知られるQUICK資産運用研究所の清家武所長の話を基に、改めて検証してみたい。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、世界の金融市場はリーマン・ショック以来とも言える大混乱に陥ったが、むろん投資信託市場もその例外ではない。

「特に3月は国内外の株式はもちろん、REITや外国債券、国内債券までもが下落したことで、1000本以上のファンドが20%超の下落となるなど厳しい状況でした。4月以降は株式相場もある程度戻ったものの、今後も不透明な環境が続くことになるでしょう」。そう振り返るのは、QUICK資産運用研究所の所長を務める清家武氏だ。

全体の資金流出入(投資信託の設定額-解約額)の動向についても見てみると、今年に入ってからは資金の流入が続き、3月も約2630億円の流入超(ETFを除く追加型株式投信)。4月には約1460億円と額こそ減少したものの、依然として資金流入が続いている。

銀行や証券会社で対面販売が難しくなっている中、やや意外な感もあるものの、その原動力となったのはネット証券で、「3月の投信販売額が2月との比較で5割ほど増えているところもあるなど、どこも好調でした」と清家氏は話す。「新規口座の開設数も大幅に増えていますし、『逆張り』意識の強い個人投資家がアクティブに動いていたのは間違いありません。ただし、このタイミングで投資をしようと考えるのは、金融リテラシーの高い人である可能性が高いでしょう」。

事実、3月のネット証券各社の売れ筋ファンドを見てみると、米国株のインデックスファンドの他、日本株のブル型、ベア型などが上位に並ぶ。まさにタイミング狙いの商品と考えられ、口座開設が増えたと言っても、投資家の裾野が広がったという印象はない。

一方で、そうしたタイミング狙いの商品とは対極にあるのがバランス型ファンドであり、ここ数年は投資初心者層の購入も増え、投信市場全体を見てもこのカテゴリーには資金流入が続いてきた。

ところが前述の通り、3月にはほとんどの資産クラスが下落し、分散が効きにくい環境であったことから、多くのバランス型ファンドのパフォーマンスが悪化。4月に入るとバランス型のカテゴリーからも資金が流出した。

リーマン・ショックの際にもやはり分散が効かない状況に陥り、以降はバランス型ファンドの販売は低迷が続いたが、リーマン・ショックと同様、今回もいわば異常事態であるだけに、冷静にデータを検証してみる必要があるはずだ。清家氏も、「バランス型ファンドの直近1年の標準偏差(リスク)は、3年との比較で2倍程度にまで上昇していて、これは『異常値』と言ってもいい水準です」と指摘する。

ここで純資産残高300億円以上、運用期間1年以上のバランス型ファンドを対象に、コロナショック時のパフォーマンスを見てみたい。今回は①日経平均株価が大きく下落した局面(2月20日~3月19日)と②大きく上昇した局面(3月19日~4月17日)とに分け、それぞれの騰落率を比較した。

まず①の局面で下げ幅が小さかった順にランキングしたのが表1である。清家氏が指摘する通り、1年と3年で標準偏差が大きく異なっている点にも注目してほしい。

1位は「リスク抑制世界8資産バランスファンド(愛称:しあわせの一歩)」で、「投資のソムリエ」「リスクコントロール世界資産分散ファンド(愛称:マイスタート)」が続いたが、いずれもアセットマネジメントOneの商品。これらは相場環境に応じて投資対象資産の配分比率を柔軟に変更するアロケーション型と言われるタイプのバランス型ファンドで、ショックに備えて安定資産と現金等の投資比率を高めていた点が奏功した。

4位には「ダブル・ブレイン」が入ったが、こちらも市場環境に応じて投資対象の戦略の配分比率を機動的に変更するタイプだ。

これらに対し、「レバレッジ型」という新たなカテゴリーを生むきっかけともなった「グローバル3倍3分法ファンド」は、約37%という大きな下落となった。

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Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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