「得意業務はクレーム対応」市役所職員がIFAになった理由【前編】

「得意業務はクレーム対応」市役所職員がIFAになった理由【前編】

  • 公開日:2020.06.04

Editor's Eye

中立的な立場から金融商品の提案・アドバイスを行う存在として注目が高まるIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)。数名程度の小規模で運営する法人がほとんどを占め、その多くが都市部に拠点を置く中、徳島県で着実に知名度を上げているIFA法人がHACOだ。地方のIFAという道を選んだ経緯を、代表を務める尾山道郎(みちお)氏に自身の経歴も交えて聞いた。

HACOは、徳島の中心街にほど近い倉庫街にある。目の前を流れる新町川は、かつて物流を支える水路として活用されたという。「社名は、倉庫をリノベーションしたこの事務所に由来しています。だから、イントネーションも『箱』と同じなんです」と尾山氏は笑う。

倉庫をリノベーションした事務所(画面右手)

「hacolife」の事業ブランドで総合金融コンサルティングを営むHACOの代表を務める尾山氏は、保険営業を皮切りに10年以上徳島で金融アドバイザーとして活躍し、HACOの代表に就いて2年が経つ。

証券会社など大手金融機関の出身者が多数派のIFAの中にあって、尾山氏の経歴は異色だ。名古屋生まれ、山形育ちの中卒。フリーターから高卒認定試験を経て市役所職員として8年半勤務するなど、金融の道に進むまでにさまざまな経験を積んできた。

中学卒業後、東北地方有数の進学校に進学するも、受験準備に重点を置く教育方針に違和感を覚え、2年生で中退。数年間フリーター生活を送った。持ち前のコミュニケーションスキルを活かして居酒屋、ゲームセンター、量販店などの店員として働いているところに、親戚から徳島への移住と公務員としての就職を勧められ、公務員試験に合格。知識を身に付けること、それを基に情報を整理して伝えること、そして何より人と接することが好きだといい、住民課に長く勤めた市役所も含め、経験した職業の多くを接客業が占める。

「公務員への就職のきっかけには、正直、ワーク・ライフバランスの良さといった“不純”な動機もあったのですが(笑)」と打ち明けながら、住民課の仕事の中でも、醍醐味を感じたのは住民の問題解決の手助けだったと尾山氏は振り返る。「嫌われ仕事とされるクレーム対応も、たいていはコミュニケーションか情報の不足が原因だったりするわけで、話をよく聞いて、交通整理ができれば出口は見つけられます。抱えているご不満や悩みが大きい分、解決できたときのやりがいは大きく、得意分野でもありました」。

尾山 道郎氏

適性を活かせる職場にめぐりあったものの、あるとき尾山氏は保険営業への転職を決意する。公務員と保険営業。共通項が少ないようにも思えるが、転職のきっかけは何だったのか。

「人の問題解決のお手伝いを、そのまま職業にできないかと思うようになったんです。そうすると、職種としては営業になるのかなと。ただ、保険を選んだのは知人の勧めがあったからで、身に付けた法律の知識も活かせるかもしれない、というくらいの感覚でした」。営業職志望で世話好きな性格なら合うのでは、と知人から勧められたある保険会社の代理店養成コースは、一定期間社員として勤務し、その間、成績をあげれば代理店としての独立も認められるシステム。転職を決めた尾山氏は、さっそく独立を目指しコースに参加した。

保険に限らず、マネープランや必要な老後資産額なども詳細に分析するスタイルを取っている尾山氏は、資産運用を軸にした提案をすでにこのころから確立。当初から独立を認められるペースの成績をあげていた。

しかし、当時の勤務先には、独立後であっても系列の保険会社数社の商品しか扱えない規定があった。これでは「ベターはできてもベストはできない」と考えた尾山氏は、20ほどの生損保会社の商品を扱う乗合保険代理店への移籍を決心。その中でもソニー生命の変額保険(以下、VL)を中心に提案を組み立てていた。

保険相談がフックとなるだけあって、顧客層は現在も含め、退職層よりも資産形成層が多くを占める。彼らに共通する、10年を超える長期スパンの投資期間と、老後資産形成という目的を踏まえると、VLは節税と投資を共存させられる仕組み、解約や積立(保険料の払込)停止が簡単にできない点、投資先資産を変更できる点など、「長期間、積立投資を続けるために必要な機能」がパッケージされた資産形成にふさわしい器だと考えており、現在でも主力の商品に据えているという。

VLは他の金融商品と比較し手数料が高いという批判も多く聞かれるが、尾山氏は「それ以前に、使いこなす難易度が高い商品でもある」と指摘する。この商品の利点を最大限に発揮するために、特に投資先となる特別勘定の投資割合については独自のロジックを組み立てており、保険会社から講師として呼ばれることもあるという。「逆に言えば、それくらいの工夫ができなければ、高い手数料に見合うメリットを提供するのは難しいかもしれません」。

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著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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