狼狽売りはNG! コロナ危機で確定拠出年金の残高がマイナスになったときの心得

コロナ危機で確定拠出年金の残高がマイナスになったときの心得

  • 公開日:2020.06.09

Editor's Eye

新型コロナウイルスをきっかけにマーケットは大きく変動しました。そんな中、確定拠出年金加入者の中には、レポートを開けたら初めて残高がマイナスになっていて落胆した方もいることでしょう。多くの方に確定拠出年金のレポートが届くこの時期だからこそ、マーケット急変時の確定拠出年金との向き合い方を見直しませんか。自身も確定拠出年金を運用し、確定拠出年金にまつわるセミナー講師の経験も豊富なファイナンシャルプランナーの高山一恵さんにそのポイントを解説してもらいました。

企業型確定拠出年金・iDeCo(個人型確定拠出年金)に加入している人には、年に1回以上、記録関連運営管理機関からレポートが届きます。ただし、記録関連運営管理機関はいくつかあり、機関ごとにレポートの名称が異なります。例えば、代表的な記録運営管理機関に「日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー(JIS&T)」や「日本レコード・キーピング・ネットワーク(NRK)」がありますが、JIS&Tは「確定拠出年金お取引状況のお知らせ」、NRKは「確定拠出年金・残高のお知らせ」となっています。そこには、基準日時点における、年金資産の状況や年金資産評価額の内訳、運用金額、評価損益などが記載されています。

年1回、記録運営管理機関から届く取引状況に関するレポート

おそらく、一番気になるのが自分のお金が増えているのか、減っているのかだと思います。確定拠出年金の運用商品で投資信託を選択していた方たちの多くは、今回のレポートを見て、「残高が減っている…」「前回よりも利回りが低下している…」とショックを受けたのではないでしょうか。残高が減ってしまった大きな要因は、新型コロナウィルスの感染拡大の影響による相場の大幅下落によるものです。つまり、コロナ危機は、確定拠出年金でコツコツ投資信託積立をしていた方たちも直撃したというわけです。

一方、定期預金や保険商品といった元本確保型の商品を選択していた方は、そこまで大きな影響はなかったことでしょう。「やっぱり投資信託を選択しなくてよかった!」という方もいらっしゃると思います。確かに定期預金や保険商品を選択して入れば、元本割れはありません。その代わり、大きく増える可能性もありません。将来の老後のお金を少しでも増やしたいと思ったら、掛け金の一部を投資信託で運用する必要があります。

投資信託で運用するということは、前述したように元本割れのリスクが伴います。確定拠出年金は、老後の資金を準備するための制度ですから、長期で運用することが基本です。長い間には、今回のような世界的危機が訪れ、市場が大きく荒れるという場面に出くわすこともあるでしょう。特に投資初心者の場合、株価が暴落し、急激な値下がりを経験すると、パニックに陥ってしまう可能性大! どんどん値が下がっていくのを見て、「売りたい!」という衝動に駆られてしまうかもしれません。読者の方の中にも「運用をやめたい」と思った方もいるのではないでしょうか。でも、慌てて売ったり、積み立てをストップしたりしてしまうのはNGです。というのも、投資信託の積み立ては、下がったときこそチャンスだからです。

例えば、iDeCoで投資信託に投資をするという場合、基本的には、毎月決められた日に自動的に指定した銀行口座から一定額が引き落とされ、投資信託を買いつけていきます。投資信託積立は、購入する口数が決まっているわけではなく、「1万円分」など一定の金額を指定して、その金額で買える口数を買います。ですから、購入時の基準価額(投資信託の価格)が安ければ口数を多く、高ければ口数を少なく買い付けることになり、結果的に平均購入単価を下げることができます。このような方法を「ドル・コスト平均法」と呼びます。平均購入単価を下げることで、値上がりに転じた際に利益を得られやすくなります。


下がったときこそチャンス!




ドル・コスト平均法ならば、上図のように投資額30,000円・1口あたり3,750円・利益10,000円、「一定量」ずつ積み立てた場合は、投資額17,000円・1口あたり5,666円・損失2,000円という結果に。これまで幾度も経済危機はありましたが下がり続ける相場はありません。2008年9月に起こったリーマン・ショックのときを思い出してみましょう。リーマン・ショックの影響は半年ほど続き、アメリカの株価はリーマン・ショック前の半分ほどになりました。しかしそこから数年でリーマン・ショック前の水準に回復し、さらに大きく株価を伸ばしてきたのです。実際、リーマン・ショック時に慌てて資産を売ってしまった人もたくさんいるでしょう。そこで売ってしまった人は、売った後の上昇の恩恵を受けられなかったことになります。一方、パニックにならずに淡々と投資を続けてきた人は、資産が倍増しています。

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著者

高山 一恵 ファイナンシャルプランナー
高山 一恵
Money&You取締役。慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。女性のための、一生涯の「お金の相談パートナー」が見つかる場『FP Café』を運営。全国で講演・執筆活動・相談業務を行い、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。

参考サイト
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