証券マンの意外なホンネ「下げ局面にも醍醐味あり」
金融パーソン ここだけの話

証券マンの意外なホンネ「下げ局面にも醍醐味あり」

  • 公開日:2020.06.18

Editor's Eye

保険や投資信託といった金融商品を販売する金融機関のアドバイザー。価格の変動する商品を扱うだけに、顧客からの厳しい意見に接する機会も多い彼・彼女らですが、「忘れられないお客さまのひと言」について聞いてみました。

関西で勤務していた頃の出来事です。お客さまの事務所で一緒にテレビを見ていたのですが、そこに映っていたのはヘリコプターから撮った津波の映像。東日本大震災が起こったとき、私は商談の真っ最中だったのです。

資産運用の相談で訪問したのですが、どんどんと津波が押し寄せるテレビの映像に釘付けで、とても提案どころではありませんでした。

震災当日の金曜日は日経平均株価が大きく下がって終わったので、月曜日も引き続き下がる可能性についてだけ話して帰りました。しかし、週末のニュースで原発事故や津波や地震の状況が報道され、地震による被害の大きさはもとより、原発事故にまで発展した震災被害の大きさが明らかになっていきました。

そのお客さまは、配当目的でたまたま東電と関電を保有されていました。私はその3日間の情報を基に、月曜日の朝一番で電力株の売りを勧めました。

3月期末前で配当取直前のため売却を躊躇されていましたが、お客さまは最終的に売却を決意されました。

このとき、頂いたのが「あの時、売却して本当によかった。まさか東電の配当がなくなると思わなかったし、一人だったら決断できなかった。ありがとう」という言葉です。証券会社に勤めていて良かったと心から思ったひと言でした。

あとになってみれば当然のように思える株価の推移も、事態の渦中では簡単に推測ができないものです。顧客の反応というものは、えてして損をしたときに偏りがちですが、こうしたひと言をいただけると報われた気持ちになりますね。(編集部)

私は2009年入行。リーマン・ショック後、相場がまだ落ち着かない頃に販売員になりました。まだろくに投資信託のことやファンドの商品性も身に付いていない頃は、ノルマに追われ、お客さまに「投資してみましょうよ」「買い増しのタイミングではないですか?」などと、過去の応対履歴も調べないまま提案していました。当然、成果は現れません。

しかしそのとき、ある優しいお客さまから「投資したお金は、銀行さんにとってみればただの成果の数字かもしれないけど、私たちにとっては、将来子供に使うお金や老後のお金。本当に重要なものなの。だから、ちゃんと寄り添う気持ちで提案してね」と言われたことが胸に残っています。

これを機に、お客さまとの過去の応対履歴を調べ、本当にこのお客さまに必要な提案なのかをしっかりと確認上で提案するようになった、大事なひと言です。 

銀行に限らず、日々扱っている商材の価値が麻痺してしまう感覚はどんな業種にもあるでしょう。だからこそ、過去の情報やお客さまと向き合うことが重要なのかもしれません。あえて伝えてくれたお客さまに出会えたのは、本当に幸運でしたね。(編集部)

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (2)
  • 難しかった (0)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!