篠田尚子のファンド愛 4

「減らさない」ように進化したバランス型、その優劣を見極めるために

  • 公開日:2020.06.10

では、優良な可変配分型バランスファンドを探すにはどうしたらよいのか。実はこれは現状とても難しい。というのも、投資信託協会が定義する商品分類のうち、バランス型を指すものは「資産複合」1つしかなく、複数資産を組み入れた投資信託はほぼ自動的に「資産複合」=バランス型と一括りにされてしまっているからだ。

2020年5月末時点で「資産複合」に該当する投資信託の数は実に1,200を超える。ここから投資家が自力でファンドを絞り込み、自分に合ったファンドを探すのは至難の業だ。

個人投資家だけではない。ファンドアナリスト、ジャーナリスト、ファイナンシャルプランナーにとっても、投資信託の良し悪しを判断するためには、正確且つ精緻な商品分類が欠かせない「はず」なのだが、残念ながら整備が追い付いていない。

価格変動リスクを抑えながら安定的にリターンを積み重ねていく可変配分型と、つみたてNISAなどでおなじみの均等・固定配分型のバランス型で商品性が大きく異なることは、これまでも見てきた通りである。また近年は、「グローバル3倍3分法ファンド」(日興アセットマネジメント)に代表されるレバレッジバランス型と呼ばれる新種のバランス型も登場し、存在感が高まっている。

従来のバランス型の枠組みにとらわれない、これらのバラエティに富んだラインアップは、商品によって想定されるリスク・リターンも投資家像も異なる。時代の変化とともに投資信託の多様化が進む中、投資信託のおおまかな特徴を把握するための商品分類もアップデートされていかないと、「木を見て森を見ず」状態となり、優良な投資信託が埋もれたままになってしまう。

なお、米国投資信託協会(ICI)は2014年に商品分類の見直しを行っており、日本の「資産複合」に該当するHybrid Fundsについて、運用手法別に5つの詳細分類を設けている。各分類の詳細は割愛するが、この詳細分類があることで、幾分投資信託の評価がしやすく、優良ファンドの目星もつけやすくなっている。日本においても今後、同様の対応がなされていくことに期待したい。

 

 

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著者

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
篠田 尚子
慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。

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