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「金融機関緊急アンケート」の結果から見えてきたもの 2

金融アドバイザーによる「フォロー」が、投資を継続する原動力に

  • 公開日:2020.06.19

Editor's Eye

ここ数年、金融機関のリスク商品販売に向けられる目は厳しくなっている。一方で、その最前線に立つ金融アドバイザーの多くが、「顧客の利益」を真剣に考えていることも強調しておく必要があるだろう。特にコロナショック時のように市場が不安定な局面では、その役割が重要となるはずだ。前回に続き、金融専門誌『Ma-Do(マ・ドゥ)』が実施したアンケートの結果を元に、金融機関の生の声を紹介したい。

前回の記事ではコロナショックで株式相場が大幅に下落する中、銀行や証券会社などの金融機関で何が起こっていたのか、金融専門誌『Ma-Do(マ・ドゥ)』が実施したアンケート(4月下旬実施、N=104)の結果を元にリポートした。

そこから見えてきたことの1つは、面会が難しい状況の中でも、電話を中心とするフォローで顧客を支え続けた、金融機関のアドバイザーたちの姿だった。アドバイスを受けて“ろうばい売り”を踏みとどまり、結果としてその後の反発による恩恵を受けることができた投資家も、決して少なくないはずだ。

もっとも、最近は金融機関による投資信託や保険など金融商品の販売の評判が芳しくない。もちろん、かつてはかなり強引な営業手法が横行してきたのも確かで、そうした事例を多くのメディアが報道し、批判もされてきた。

しかし一方で、現在は金融機関でも変革が急速に進んでいる。そのスローガンとも言えるのが金融庁の主導で掲げられた「顧客本位の業務運営」で、要はもっとお客さまの目線で業務を運営すべきということだ。事実、強引な営業手法の代表とされてきた「回転販売」は激減し、金融機関側もそれを防止するさまざまな対策を講じている。

今回のコロナショックは、そんな変革をさらに後押しする可能性もあるだろう。前述のアンケートには、変革に真摯に取り組む金融機関の声が多く寄せられているが、以下に紹介したい。

「電話によるアフターフォローを銀行全体の取り組みとして実施しており、販売員の非対面でのコミュニケーション能力のアップに寄与している。また、お客さまの不安払拭にもつながっていて、投信販売額は伸び悩んでいるものの解約は増加していない。積立投信に関しては、解約より現状維持や増額傾向にある」(東北・北海道地方の地方銀行)。

この声に代表されるように、金融アドバイザーが重視しているのは「フォロー」である。長期投資の重要性を認識していたとしても、保有商品の時価が減少していくことを冷静に受け止められる投資家は少ない。だからこそ、今回のコロナショックでもフォローによって不安が解消され、積立投資を増額させる顧客すらいたということなのだろう。

「『運用商品は余裕資金の範囲内で』とよく言われていますが、その重要性を改めて認識しました。また、顧客ニーズとリスク許容度を販売者側が見極めて、慎重かつ利益を取れるように定期的なフォローが重要だと考えます」(東海地方の地方銀行)。「リーマン・ショック後に低迷した相場環境で、投資をやめなければ良かったと後悔した自らの経験を活かし、お客さまに投資を継続することの重要性とメリットをしっかり伝えていく」(東海地方の証券会社)。

対面での接触が制限される中、新たなコミュニケーション法を模索する声も多かった。「顧客とのコミュニケーションの在り方は日常的に発信・フォローすることが非常に重要であり、方法についても、対面以外で有効な方法を確立していくことが必要であると痛感した」(中国地方の地方銀行)。

ここ数年で一気に存在感が高まったIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)の中には、すでにWeb会議システムなどを活用した面談を実施しているところもあった。「弊社では一部の顧客に対して2年ほど前よりWebでの面談を進めていた。顧客からの評価も高く、これから導入が進んでいくと思う。逆に対面にこだわり続けていたり、システムの導入が遅れたりするところは淘汰されていくと思う」(関東地方のIFA)。

とはいえ、対面中心の金融機関の強みは、やはり対面にこそあるという声は少なくない。「AIが進展する中、こういうときこそ人と人のコミュニケーションが大切だと思う。人よりAIのほうが賢いかもしれないが、年配になればなるほど、人の言うことのほうをすんなり聞き入れてくれる」(中国地方の地方銀行)。

とりわけ地方銀行には、地域の高齢者を支えなければならないという使命感が強いようだ。「非対面化が進む一方、高齢者など非対面でのコミュニケーションが難しい顧客もおり、はっきり分かれている状態が分かった。二極化していく中で、どのように顧客と接触していけばいいのかが問題だと思う」(東海地方の地方銀行)。

ここで紹介した金融機関、アドバイザーたちの声はほんの一部だが、最近は「金融機関=悪者」とされるケースすら多いだけに、イメージが変わったという人もいるに違いない。彼らの多くが、「顧客の利益」を真剣に考えていることは事実。もちろん、全ての金融機関、アドバイザーがそうだとまでは言えないものの、今回のショックに直面して誰かに相談したいと切実に思った人であれば、自分と相性の良い「資産運用の伴走者」を探してみる価値はあるはずだ。

著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。
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