証券マン10年目の決断 自身の「幸せ」と向き合い、たどりついた生き方
新時代の資産のアドバイザー IFAに転身した人たち 4

証券マン10年目の決断 自身の「幸せ」と向き合い、たどりついた生き方

  • 公開日:2020.06.29

Editor's Eye

資産運用など金融に関するアドバイスの新たな担い手として、また職業としての存在感も増しているIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)。最近は大手金融機関という安定した職場を捨て、IFAへと転身する人が増えてきています。最前線で活躍する現役IFAに、この仕事に転じたきっかけやその想いを聞く連載の第4回では、大和証券から大手IFA法人 GAIA(ガイア)に転じた、プライベートFPの森田章広さんに語ってもらいました。

学生時代は、「社会人になったらバリバリ稼ぎたい」と考えていた森田さん。好待遇なイメージの強い証券業界を志望し、大和証券に入社しました。二度目の転勤では大阪の旗艦店である梅田支店に配属され、証券マンとしての将来を嘱望されていたにもかかわらず、心は晴れなかったと振り返ります。

「はじめは頑張りに応じて収入が上がっていくのがうれしくて、やりがいを感じていました。でも20代も終わりに近づくにつれて、収入が増えても幸せが増えるわけではないと気付いたんです」。

森田 章広さん

収入よりも、社会に貢献していることを実感したい、昇進よりも目の前の顧客の役に立ちたいと考えるようになりました。このようにマインドが変わっていった背景には、大手証券のビジネスモデルの継続性に疑問を感じたこともあったといいます。「利益を上げるには、顧客にたくさん取引してもらう必要があります。しかし、お客さまの資産には限りがあるので、取引数を増やすには売買を繰り返してもらうしかない。どう考えても、これは健全ではありません」。

しかも、日々の営業目標をこなすためには、「困ったときに助けてくれるお客さま」に頭を下げることが多くなります。「君の頼みなら」と金融商品を買ってくれる特定の顧客の負担がどんどん大きくなっていることが、森田さんにとっても心の重荷となってきたのです。こうした顧客の犠牲の上に高収入が成り立っているのだと思うと、こんなやり方が長く通用するはずがないと感じるようになりました。

持続可能な働き方をしたい、と転職を考えるようになって出合ったのが、IFAという職業です。多くのIFAが理念に掲げる「顧客本位」というキーワードは「謳うだけなら簡単なフレーズで、真に受けることはできない」と感じた森田さんでしたが、GAIAは違ったといいます。ウェブサイトに加え、同社中桐社長のブログや書籍を読み、扱う金融商品のほとんどが売買手数料ゼロの商品であり、顧客との利益相反がほとんどないという記述があったことで、「ここなら信頼できる」と、大和証券を10年ほど勤めたころに転身を決めました。

GAIAへの入社当初は、仕事のスタイルの違いに戸惑ったといいます。「前職では、その日に売るべき金融商品や銘柄が決まっていて、それを買ってくれる人を探すのが仕事だったのですが、GAIAではお客さまが置かれている状況や課題、希望などを詳しく聞き取るのが第一歩になります。順番もアプローチもまったく違うので、なじむのに時間がかかりましたね」。

実はこうした悩みは、森田さんに限らず、証券会社からIFAに転身した人の多くがぶつかる壁。座学・ロールプレイングや泊まり込みの外部研修などさまざまな研修を通じ、入社後1年ほどかけて、IFAの仕事のエッセンスを徹底的に学んだそうです。

そして、実際に相談業務に就いてまず驚いたのは、資産や収入、支出といったデリケートな話題や、不安、困りごとについて顧客が率直に明かしてくれることだったといいます。

「前職では、取引前からお客さまの元を何度も訪問し、少しずつ心を開いてもらっていました。一方、IFAのお客さまも不安や警戒心がないわけではありませんが、相談相手として当社を選んでくださっているので、変に駆け引きをしなくても最初から同じ目標を共有することができます」。何より一番大きな違いと感じたのは、「売上が評価の全てではない」ということです。

「当社は相談料をいただいている上に、お勧めする商品は売買手数料ゼロの商品が多く、売買回数を増やしても、会社としてさほどメリットがありません。重要なのは、お客さまの不安や困りごとを解決したり、長期で資産を増やしてもらうこと。こちらの都合で商品を購入いただく、といったシチュエーションが発生せず、余計なストレスがないんです」。さらに、主な集客ルートはセミナーやウェブサイトにあり、プライベートFPは個別相談を対応する流れになっているため、GAIAでは売上だけで評価されることもないそうです。こうした複合的な評価体系は、いわゆる完全歩合制を取らないIFA法人ならではの特徴と言えそうです。

1 2

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (9)
  • 難しかった (0)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!