「信託報酬は低いほど良い!」では、優れた投資信託を選べない理由

「信託報酬は低いほど良い!」では、優れた投資信託を選べない理由

  • 公開日:2020.07.01

Editor's Eye

投資信託のコストは低ければ低いほど良い。そんな考え方で投資信託を選んでいる人は少なくないかもしれません。確かに、パッシブファンドであればそれもある程度は当てはまるものの、アクティブファンドの場合は必ずしもそう言い切れず、むしろ信託報酬が高いファンドのほうが好成績である可能性すらあるのです。三菱アセット・ブレインズのファンドアナリスである吉田開(はるき)氏に、データを元に解説してもらいます。

昨今、信託報酬の低いパッシブファンドが注目されています。パッシブファンドは、ベンチマークと同等のパフォーマンスを提供することを目標とするファンドであり、運用の巧拙による差は生じにくいと言えます。そのため、リターンを確実に押し下げる要因となる信託報酬は、低ければ低いほど投資家にとって望ましいと考えられています。

アクティブファンドは、運用者が組み入れる銘柄を判断することでベンチマークを上回るパフォーマンスの提供を目標とするファンドですが、パッシブファンドと同様に、アクティブファンドに対しても低い信託報酬を求める動きが一部にあります。しかし、ファンドを選ぶ際に信託報酬の水準を意識しすぎることによって「安物買いの銭失い」になってしまう可能性はないでしょうか。信託報酬が高くても、それに見合う信託報酬控除後のリターンを投資家に提供できるのであれば、問題ないと考えることはできないでしょうか。

信託報酬は、販売会社、運用会社、受託会社の3社が残高に応じて受け取る報酬であり、信託報酬が低いアクティブファンドでは、運用会社の受け取る報酬も少なくなります。運用会社の経営努力で吸収できる部分ももちろんあるとは思いますが、投資家の見えないところでいい加減な運用や実質的にパッシブ運用とほとんど変わらない運用が行われる可能性も否定できません。

次項以降では、2020年5月末を基準として、三菱アセット・ブレインズの分類における国内株式型ファンド(ETF、ラップ専用、DC専用、為替取引実施ファンドを除く)のうち運用期間が5年以上あるファンドを対象に、信託報酬とリターンの関係について分析を行いました。なお、対象とする資産クラスや分析期間が違えば異なる結果となる可能性がある点、直近5年間に償還したファンドは分析対象に含まれていない点にご注意ください。

パッシブ運用が市場の平均的な収益の獲得を目指すのに対して、アクティブ運用は市場平均を上回る収益の獲得を目指すものの、平均するとパッシブ運用に勝てないと一般的に言われています。実際のところどうなのでしょうか?

2020年5月末基準の国内株式型ファンドの5年累積リターンの平均は、アクティブファンドがパッシブファンドを上回っています。パフォーマンスが良好だったファンド数本が平均を押し上げている面もありますが、ファンド本数で見ても過半数(186/346本=54%)がパッシブファンドの平均を上回っています。アクティブファンドが圧倒的に勝っているとは言えませんが、先ほどの通説とは違う結果となりました。

考えられる理由の一つとして、パッシブ運用でベンチマークとして採用される代表的な指数では市場全体を表していない点があるかもしれません。「日経225」「JPX400」は日本を代表する大企業、「TOPIX」は東証1部上場企業のみを対象とした指数で、小型株や新興市場を含む日本株全ての動きを表してはいません。実際に、アクティブファンドでパフォーマンスが良好なファンドには、小型株や新興市場を投資対象とするファンドが多く含まれています。

そうであれば、パッシブ運用でも小型株や新興市場を含むベンチマークで運用してくれればいいのではないかと思うかもしれません。しかし、時価総額の小さい小型株は、銘柄によっては日々の売買高が少なく、パッシブ運用で機械的に購入することが難しいことも多いのです。成長性のある小型株に投資することはパッシブファンドでは難しいと言えます。

他にも、新型コロナウイルスによる経済活動への影響も理由の一つとして考えられます。終息の見通しが立たず業績の継続的な悪化が見込まれる企業や業種がある一方で、新しい需要を捉え業績を大きく伸ばしている企業もあり、企業業績の二極化が進んでいます。このような状況下では、いわば市場全体を買う運用であるパッシブ運用は銘柄を選別するアクティブ運用に劣後しやすい面があるのではないかという声も聞かれます。

アクティブファンドがパッシブファンドに勝てると断言することはできませんが、上記の通り少なくとも2020年5月末時点の検証では、国内株式型のアクティブファンドは信託報酬控除後でパッシブファンドより高いリターンを投資家に提供できていることが確認できました。

「パッシブファンドに勝てるアクティブファンドがあるかもしれないが、将来のリターンは予測できないのだから事前にコントロールできる信託報酬は低ければ低いほど良いのではないか」という声が聞こえてきそうです。そこで信託報酬とパフォーマンスの関係性を分析してみましょう。

上図では縦軸に5年累積リターン(信託報酬控除後)、横軸に信託報酬をとり、対象となる国内株式型ファンドを全てプロットしています。図中で左の方にあるほど信託報酬が安く、図中で上の方にあるほど過去のパフォーマンスが良かったファンドということになります。

パッシブファンド(赤点)について、TOPIXと日経225をそれぞれベンチマークとするファンドの平均的な分布傾向を示す直線(回帰直線)を図中に表示しています。図中の赤線はTOPIXについての線、図中のオレンジ線は日経225についての線です。ほとんどのファンドが線上に重なるようにプロットされており、ファンド間のばらつきもあまりありません。

ちなみに、線と全く関係ない位置にプロットされているパッシブファンドもいくつかありますが、これは特定の業種や企業のみを対象とした指数への連動を目指すファンドです。TOPIXや日経225とは異なる位置にプロットされるのは当然と言えます。

どれだけ回帰直線の傾向が明確であるかを0~1の範囲で表した数値を少し専門的な言葉で決定係数(R2)と言い、この数値が大きいほど説明力が高いことを表しています。この2本の決定係数(R2)は0.8977(TOPIX)、0.7592(日経225)と説明力は高い水準であると言えます。パッシブファンドでは、信託報酬が高いほどリターンが小さいという傾向が明確と言えそうです。

では次に、アクティブファンドについて確認します。アクティブファンド全て(青点)を対象に平均的な分布傾向を示す直線(回帰直線)を引くと、緩やかな右肩上がり(図中青線)となり、これは信託報酬が高いほどコスト控除後リターンが高い傾向にあるということを示しています。

しかし、図で見ていただいても分かるようにパッシブファンドと比べてばらつきは大きく、あくまでもそのような傾向があるというだけで、信託報酬が高いほどリターンが良くなるとは言い切れるような状態にはありません。こちらの決定係数(R2)は0.0275と、数値的にも説明力はありません。そのため、これをもって信託報酬とリターンの関係を判断することはできませんが、少なくとも信託報酬が低いほどコスト控除後のリターンが良好となるという関係は確認できません。

加えて、上図から確認できることとして、突出したリターンのファンド(5年累積リターン100%以上、図中緑丸)は信託報酬が1.5%以上の水準にしか存在していません。あくまでも直近5年間に限った分析ですが、市場平均を大きくアウトパフォームする優秀なファンドに投資するには、相対的に高い信託報酬を負担する必要があったと言えます。

この記事を通してお伝えしたかったことは、アクティブファンドの信託報酬とパフォーマンスの間に明確な関係は存在していなかったということです。パッシブファンドについては信託報酬が低いファンドのほうがパフォーマンスは良好であることが確認できましたが、アクティブファンドについてはそのような傾向は全くありません。緩やかで説明力がある水準とは言えませんが、むしろ信託報酬が高いほどパフォーマンスが良好という逆の傾向すら存在していますし、突出して良好なパフォーマンスのファンドの信託報酬は全て高い水準にあります。

アクティブファンドは、ファンドによって得られるパフォーマンスが大きく異なります。それは、ファンド毎に異なる銘柄選定方法の特徴、構成業種や組入銘柄、運用者の考え方などさまざまな要素によります。

例えば、投資するアクティブファンドを探すときに信託報酬1.5%以上は排除するといったスクリーニングを行ってしまうことで、良質なファンドを除外してしまう可能性が高いと言えます。

また、「銘柄を厳選するという運用の方針にも共感できるし、実際に投資している銘柄(ポートフォリオの内容)も納得できる。ファンドマネジャーやアナリストもしっかり調査分析していて充実した運用の体制が確認でき、過去の運用実績も申し分ない」というファンドがあったとします。このファンドを信託報酬が高いという理由で投資候補から除外してしまうべきではないと言えます。

アクティブファンドで信託報酬の高低の違いが最終的なパフォーマンスに影響していなかったという事実を踏まえ、信託報酬の水準を意識しすぎないファンド選びをぜひ心がけてください。

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著者

吉田 開 三菱アセット・ブレインズ ファンドアナリスト
吉田 開
三菱アセット・ブレインズ ファンドアナリスト。大学卒業後、地方銀行にて投資信託をはじめとするリスク性金融商品の販売を経験。2016年2月同社に入社後、投資信託の評価分析業務に携わる。日本証券アナリスト協会検定会員、1級ファイナンシャル・プランニング技能士(CFP)。
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