“伴走”を続けて22年 経営企業も含めた包括的な金融アドバイスを実践
“お金のかかりつけ医” IFAのアドバイス事例

“伴走”を続けて22年 経営企業も含めた包括的な金融アドバイスを実践

  • 公開日:2020.07.27

Editor's Eye

銀行や証券会社等の金融機関と比べ、長期的な目線でさまざまな資産の相談に応じると言われているIFA(独立系ファイナンシャルアドバイザー)ですが、彼らは相談者に対し実際にどんなアドバイスをしているのでしょうか。印象深かった相談内容をIFAに振り返って語ってもらうシリーズ連載第4回では、設立18年目、IFAとしては17年目を迎えるFPブレーンの代表取締役、岩川昌樹さんにお聞きしました。

今回お話しするのは、IFAになる以前、保険会社の営業マンだったころから22年にわたってお付き合いいただいている渡辺洋介さん(仮名、57歳)のケースです。

相談者:

渡辺 洋介さん(仮名、57) 会社経営

私は大学卒業後、証券会社と生命保険会社で営業マンを経験した後、2003年にFPブレーンを創業しました。渡辺さんとは、独立前の生保時代に別のお客さまから紹介いただいて以来、実に22年にわたるお付き合いになります。

出会った当時、渡辺さんは35歳。建設関連の職人を経験後、会社を設立して間もない時期で、3人のお子さんの父親でもありました。若いころに加入した生命保険の保障の内容をよく把握していないので、ムダや不足がないかを見てほしいとのことでした。そのときは、これまで加入していた保険をスリム化し、万一に備えた死亡保険を中心に保障を組んだほか、変額保険を利用した資産形成を勧めました。

保険会社では最適な保障を提案するためにご家族も含めた詳細なライフプランを作成するので、こうした相談を通して信頼関係が育まれます。私がIFAとして独立を決めたときも、引き続き力になってほしいと希望され、お付き合いが続くことになりました。

渡辺さんの経営する会社は、順調に業績を伸ばしていました。だからといって暮らし向きが派手になったり、浪費することもなくいたって堅実な社長さんではありましたが、利益が伸びれば納税額も大きくなります。このころの私は、渡辺さん個人と経営する法人の双方の観点から、税金優遇制度等の活用についてアドバイスしていました。

まずは、所得控除可能な資産形成をご紹介しました。1つは取引先の倒産に備えられる経営セーフティ共済、2つ目は、経営者の退職金づくり制度である小規模企業共済。どちらも、法人個人の所得税控除が受けられる有利な制度を紹介したところ、「ぜひ加入したい」と希望され、手続きをお手伝いしました。また、企業型確定拠出年金制度の導入についてもごアドバイスを差し上げました。役員である渡辺さん夫妻はもちろん、加入者となる従業員の分についても掛金を全額損金にできる上、退職金が充実し、従業員満足にもつながります。

これらは全て公的な制度で、掛金が全額損金あるいは所得控除の対象となり、納税額を軽減しつつ老後や万一に備えられる非常に有利な制度です。ただ、実を言うとこうした制度の導入をお手伝いしても、IFAにとっては1円の利益にもならないばかりか、利益の源泉となる金融商品の購入や保険加入の余力を奪うことにもなるので、あえて紹介しないIFAもいると聞きます。

相談料が無料で、取引の際の手数料を大きな収益源としているIFAであればそれも致し方ありませんが、当社は相談やアドバイスにフィーをいただく料金体系としていることもあり、お客さま本位で最も有利な制度を紹介することができています。

ほかにも、費用全額を即時償却しながら毎年売電収入を得られる太陽光発電をはじめ、税優遇策を最大限に生かした制度、商品、スキームなどを提案し、財務的戦略の効果を上げてきました。

証券と生保の営業マン時代は、お客さまに提案できるのが金融商品や保険に限られてしまうことのもどかしさを感じていました。IFAとなってようやく、ジャンルを超えてお客さまの力になれるようになったと感じます。

法人に関してはさまざまなスキームを実践した渡辺さんでしたが、個人の資産運用に対しては「ギャンブルのようなもの」と考えていたようで、「儲かりそうな株はある?」などと聞かれることもありました。また、成長中の企業の経営者ともなれば、さまざまな方面から”儲け話”が集まってきます。興味を惹かれる話があるたびに「どう思う?」と意見を求められましたが、私は一貫して「利益の出る仕組みが分からないもの」と「大手企業や公的機関が絡んでいないもの」には手を出さないほうが安全だとアドバイスしていました。儲けられるビジネスには、たいてい大手企業が参入しているものだからです。

そうした怪しい儲け話はあしらっておけばよいのですが、せっかく収入が増えていて、運用にも興味を持っているなら、ギャンブルではない正しい運用をしてほしいものです。そこで、インデックスファンドを活用した分散・積立投資を提案しました。

今でこそオーソドックスな提案内容ですが、2006年の当時はまだ、分配金の出るテーマ型投信で短期・中期的なリターンを狙うスタイルが多数派だった時代。今と違って大手証券会社では、インデックスファンドの取り扱いも少なく、全ての資産クラスでインデックス投資をすることはできなかったのです。

外国株についてはMSCIコクサイインデックスに、日本株についてはTOPIXに連動するインデックスファンドを利用する一方で、新興国に関してはインデックスファンドの取り扱いがなかったので、アクティブファンドを活用してポートフォリオを組み、当初は約3000万円分を一括投資しました。時代の流れにより、インデックス型のバランスファンド、ETF等に管理手法を変更していますが、現在も常にベスト資産管理の環境を探っています。

一括投資と同時に、積立投資もスタートしました。収入が伸びていた時期は月100万円に設定し、2000年代中盤の株高も手伝って順調に残高を積み上げていきました。ところが、そこに「100年に1度の金融危機」と言われたリーマンショックによる株価暴落が襲ったのです。

今振り返ると、株価が暴落していたこの時に追加投資をしていれば大きな利益になったわけですが、その渦中で大きな含み損に直面する人にそのようなことを考える余裕はありません。それどころか、渡辺さんは「もう投資をやめた方がいいんじゃないか」と弱音を吐くこともありました。しかし、積立投資は下落局面も含めて、長く続けてこそ果実を得られるものです。当時はまだ40代で資産が回復する時間も十分に残されていたので、改めて継続する意義を説明したところ、積立投資を続ける決心をしてくださいました。この成果が大きく花開いたこともあり、現在、渡辺さんの投資信託の保有資産残高は2億円に達しています。

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著者

岩川 昌樹 FPブレーン 代表取締役
岩川 昌樹
大学卒業後、証券会社、生命保険会社経て、2002年独立。翌年、FPブレーン有限会社(現FPブレーン株式会社)を設立。経済の原理に則った独自の投資方法と心理的なサポートにもこだわる。お客さまごとに異なるライフスタイルに応じてオーダーメイドの資産運用プランを提案している。
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