「おまかせ」の意味を考えると、自分に適した投資の手法も見えてくる
篠田尚子のファンド愛 6

「おまかせ」の意味を考えると、自分に適した投資の手法も見えてくる

  • 公開日:2020.08.11

Editor's Eye

投資信託のメリットとして、プロに運用を「おまかせ」できることだと説明される機会は多いかもしれない。しかし、「おまかせ」という言葉を過信しすぎると、投資家と商品のミスマッチが起こりやすいとファンドアナリストの篠田尚子氏は指摘する。その真の意味を考えた上で、バランス型ファンドやロボアドバイザー、ファンドラップなどの商品を選択することの重要性を解説してもらった。

「投資信託とは、プロに運用をおまかせできる金融商品です」。

投資信託について簡潔に説明する際、多くの金融関係者が日常的に使っているであろう表現だ。かくいう筆者もそうだった。

しかし最近は、「おまかせ」という単語を使うときは特に気を付けるようにしている。最大の理由は「おまかせ」という言葉を過信するあまり、肝心のスタート段階で一定の理解度を満たさぬまま、販売ランキングなどで安易にファンドを選んでしまう投資家が多いことに気付いたからだ。こうした行為は、投資家のリスク許容度とファンド間のミスマッチを招きやすい。

言うまでもなく、投資信託のファンドマネジャーはファンドの中のリスク管理は行うが、投資家のリスク許容度に合わせた運用を行ってくれるわけではない。冷静に考えれば当たり前のことなのだが、おまかせ=自分に合った運用をしてくれる、と早合点してしまう投資家は一定の割合で存在する。

投資初心者を中心にこうした誤解を招いてしまうのには、販売側の責任もある。投資のハードルは低くあるべきだが、投資信託という金融商品を購入するに当たっては、最低限度理解しておくべき原理原則がある。

その最たるものが、「時間」に投資することの重要性である。投資信託は、ブル・ベア型などごく一部のタイプを除けば、中長期投資を前提として商品設計がなされている。インデックス型についても同様で、つみたてNISAの適格商品にインデックス型が多いのは、ファンドそのもののリスクが低いからではなく、あくまでも長期投資と相性が良いからである。

また、本連載の第3回第4回で解説したバランス型のほか、近年、残高を伸ばしてきた投資一任型のファンドラップやロボアドバイザー投資についても、やはり長期投資が前提になる。いずれも10年、20年といった投資期間を想定しており、そもそも短期で値幅を取りに行くようなタイミング投資には向かない。時間に投資することの重要性を理解できれば、多少なりとも日々の価格変動に一喜一憂するようなことはなくなるだろう。

次に重要なポイントとなるのが、冒頭でも述べた「おまかせ」の範囲である。

ファンド選びから見直し(リバランス)、さらには相場急変時の対応に至るまで、つまり、1から100まですべてをおまかせしたいという投資家は、投資一任型のファンドラップやロボアドバイザーが向いている。冒頭でも述べた、「自分に合った運用をしてくれる」のが、まさにこのタイプである。とりわけ「ウェルスナビ」や「楽ラップ」など、近年、存在感を増しているロボアドバイザーはスマホ1つで始められ、かつ最低投資金額も1~10万円程度と低く抑えられている。

ファンドラップやロボアドバイザーが想定する投資期間は、10年、20年単位の「超」長期が原則である。したがって、短期的な株式市場の反発局面ではイメージ通りのリターンを得られない可能性がある一方、相場の急変時には適宜ブレーキをかけ、価格が下げすぎないよう運用してくれる。代表的なロボアドバイザーはどれも運用を開始してからまだ4年程度のため、運用実績の良し悪しについて判断を下すのは時期尚早かもしれないが、今回のコロナショックにおいても運用成績が大きく下がることはなかった。

このように、歩みはゆっくりでも、価格変動を抑えながら少しずつリターンを積み重ねていくのが投資一任型の特徴である。

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著者

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
篠田 尚子
慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。
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