メリットは?バランス型ファンドとの違いは?ロボアドの仕組みを解説
今、静かなブームを起こしているロボアドの魅力 前編

メリットは? バランス型ファンドとの違いは? ロボアドの仕組みを解説

  • 公開日:2020.08.25

Editor's Eye

2015年頃から登場し、年々存在感を増している「ロボアド」ことロボットアドバイザー。ロボアドとひと口に言っても、実はタイプが2種類あることなど知っているようで知らないこともあれば、「ファンドラップやバランス型投資信託とどう違う?」など、素朴な疑問を抱えている人も多いのではないだろうか。そこで、その登場以来ウォッチし続け、ロボアドに関する著書もある松岡賢治氏に、そもそもロボアドとは? という基本から多くの人が抱く疑問点まで、解説してもらった。

テレビCMなどが目に付くようになり、資産運用の手段として広がりつつある「ロボアドバイザー」。利用する人は着実に増加しており、業界最大手の「WealthNavi(ウェルスナビ)」の預かり資産は2800億円、口座数は32万口座に上っている。特に、直近の約1年間で預かり資産は約1000億円強増えており、ロボアドバイザー(以下「ロボアド」)による投資は“静かなブーム”といってよいだろう。
しかし、そうした傾向とは裏腹に、ロボアドに対する理解はまだまだ進んでいないのが現状だ。実際に運用している人にヒアリングをしてみても、誤解している部分が少なくない。そこで、改めて「そもそもロボアドとは?」といった基本から、オススメのサービス、上手な利用法といった実践的なことを前後編の2回にわたって解説したい。

国内のロボアドは、2015年から本格的にスタート。すでに開始から5年近くが経過し、運用成績などのデータもある程度蓄積されてきている。サービス内容も進化しており、そうした最新の動向も踏まえていこう。

ひと口にロボアドバイザーといっても、さまざまなバリエーションが存在する。ただ、サービスの内容を見ると、「アドバイス型」と「自動運用型」の2つに大別することが可能だ(冒頭で紹介したウェルスナビは自動運用型)。そして、利用する手順を追うと、この2つの違いは明らかになる。

ロボアドの利用、申し込みは、オンライン上のホームページ、あるいはスマホのアプリから行う。そして、ユーザーが最初にすることは、「無料診断」を受けること。具体的には、年収、投資経験の有無、および年数、資産運用の目的といった質問が次々に画面に表示されるので、それに回答をしていく。ひと通り回答が終わると、そのユーザーに適したポートフォリオを提案してくれる。

アドバイス型の場合、このポートフォリオの提案でいったんサービスは終了。ポートフォリオとは、「日本株式20%、外国株式30%、日本債券10%、外国債券40%」といった運用資産の配分比率であり、同時に、この配分比率を実現するいくつかの個別の投資信託も提示される。そのポートフォリオに納得し、投資信託を購入したいというユーザーは、その金融機関に口座開設をして、入金をして購入、というステップに入る。

実は、自動運用型もやることはアドバイス型と変わらない。無料診断を受けると、ポートフォリオが提示されるので、そのポートフォリオで運用したいと思えば、口座開設をして入金をする。では、どこが違うのか? 両者の違いは運用がスタートしてからだ。自動運用型は、「リバランス」を文字通り自動で行ってくれる。

リバランスとはポートフォリオの調整である。当初の資産配分の比率は金融市場の動きによって変化する。株式市場が上昇し、他の金融商品の価格が変わらなければ、株式の配分比率は高まる。こうした変化を放置しておくと、資産運用において、想定していたよりも大きなリスクをとっていたり、逆に、期待できるリターンが小さくなっている、といった問題が生じてくる。

こうした事態を回避するために、各金融商品の資産の一部を売却、あるいは買い増しをして、当初の比率に戻すリバランスという作業が必要となってくる。自動運用型は、このリバランスまで面倒を見てくれるサービスなのである。よくロボアドについて、「お任せ運用ができる」といった表現が使われるが、その意味するところは、投資家に代わって運用会社がリバランスを行う、ということなのだ(なお、リバランスにはポートフォリオの配分比率自体を見直すことも含まれる)。

アドバイス型と自動運用型の違いである「リバランスの有無」は、手数料の違いとしてもあらわれる。アドバイス型の手数料は無料だが、自動運用型はすべて有料。その水準は運営会社によって変わり、投資金額の約0.7~1%(年率)となっている。すると、リバランスがこの手数料に見合うかどうかがポイントといえそうだが、実は、アドバイス型と自動運用型の違いはまだある。それは提案される投資信託の中身だ。

ロボアドで提示される投資信託は、基本的には、金融商品の指数に連動するインデックスファンドである。アドバイス型の場合、往々にしてサービスを提供する金融機関の系列の運用会社のインデックスファンドとなっており、信託報酬などの投資信託にかかるコストが割高なものが含まれていることが少なくない。また、中にはテーマ型ファンドが提示される場合もある。つまり、ロボアドとは名ばかりで、たんに投資信託を売るための〝販売促進ツール〟になっているケースが多い。

一方、自動運用型で提示される投資信託は、コストが割安なものがほとんどだ。主流は、米国に上場しているETF(上場投資信託)で、ざっくり言うと、信託報酬は国内の同じカテゴリーの投資信託の半分以下になっている。米国上場のETFは、なかなか個人で買うのはハードルが高い。したがって、自動運用型の手数料には、そうした割安な投資信託に投資できるというメリットも含まれていると考えられる。

ロボアドと商品性が似ているサービスに、証券会社が提供する「ファンドラップ」がある。資産運用のプロが投資信託を組み合わせて、ユーザーに合ったポートフォリオを作り、運用をしてくれるというものである。サービス内容は、自動運用型とほぼ同じと言ってよい。大きく違うのは、やはり手数料だ。

各社のファンドラップの手数料は投資金額の3%に設定されているものが多い。中には、大和証券が廉価版として販売している「ダイワファンドラップオンライン」のように1%のものもあるが、投資対象となる投資信託のコストは、他のファンドラップと同じく、割高であることは否めない。あえて選ぶ理由はまったく見当たらない。

また、バランス型ファンドも商品性はかなり似ている。バランス型ファンドは、さまざまな金融商品に投資をし、リバランスも行ってくれるからだ。一般的に、インデックスファンドよりも信託報酬などのコストは高いものの、自動運用型の手数料より低いものが増えている。インデックファンドを組み合わせた方が、ユーザーに合ったポートフォリオを構築できるはずだが、その利点は果たして手数料に見合うものなのか――後編では、実際の商品の運用成績を比較して、考察をしていく。

最後にもう1つ、ロボアドに対するありがちな誤解を解いておきたい。アドバイス型、自動運用型を問わず、「ロボアドはAI(人工知能)を活用して運用されている」と称されることが多いが、これはちょっと大げさな表現だと思われる。ユーザーに対して最適なポートフォリオを構築したり、リバランスを行う際にAIが活用されているという触れ込みなのだが、実は、AIを使わなくてもそうした作業はできるからだ。資産運用に関わるプロであれば、エクセルを使えば難しくはないだろう。分析するデータは金融商品の過去の騰落率なので、条件を揃えれば、誰がやっても同じ結果になる。

リバランスは、年1~2回、多くても四半期ごとの4回が妥当だと考えられており、頻繁に行うものではない。「ロボアドバイザーはAIが自動で運用する」といわれると、AIロボットが、金融市場を24時間監視し、その時々の変化に応じて売買をするといったイメージが浮かぶ人もいるかもしれないが、年に数回、ポートフォリオの微調整をしてくれるだけである。AIを使っているのは事実かもしれないが、それが運用成績に大きく影響するとは考えにくい。セールストークと受け取るべきだろう。

著者

松岡 賢治 マネーライター・ファイナンシャルプランナー
松岡 賢治
シンクタンク、証券会社のリサーチ部門に在籍し、国内マクロ経済と債券市場のマーケットアナリストとして従事。1996年に独立し、1997年ファイナンシャルプランナー資格を取得。以後、ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ビジネス誌や経済誌を中心に日本経済、資産運用、投資をテーマにした記事の執筆を開始。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。
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