今、静かなブームを起こしているロボアドの魅力 後編

ロボアドの手数料は高いのか? 運用実績から賢い付き合い方を提案

  • 公開日:2020.08.27

とはいうものの、今後、運用期間が長くなればなるほど、ロボアドの手数料がボディブローのように効いてきて、運用実績の足を引っ張るという可能性は残る。さらに、ロボアドの手数料については、もっと基本的な批判がある。それは、ユーザー自身がインデックス型ファンドを組み合わせてポートフォリオを構築すれば、余計な手数料を支払うことはない、ということだ。

ここ数年、インデックスファンドの信託報酬は低下傾向にあり、よりコストの低いETF(上場投資信託)のラインナップも豊富になってきた。その結果、個人投資家が自分で効率的なポートフォリオを組みやすい環境が整いつつある。そうした中、あえて1%という高額な手数料を支払ってロボアドで運用する理由はない、という意見だ。これは、まさしく正論だろう。

しかし、資産運用に限らず、どんな分野でもそうだが、正論についていけないという人は存在する。特に、資産運用の場合、ポートフォリオや分散投資といった専門用語が出てきて、細かいパーセントの数字が出てきた瞬間、拒否反応を示す人は少なくない。全体的には、むしろそうした層が世間の多数派だと思われる。
よく、「資産運用の基本を理解するのは簡単で、わずかな時間で大丈夫」という声も聞かれるが、一般の人にとっては、到底“簡単”だとは思えないのが実状だ。勉強してから始めるという建前を守っていては、いつまで経っても資産運用に踏み出せない。「入金さえすれば後はお任せ」というロボアドのシンプルさは、そんな「資産運用に興味はあるけど踏み出せなかった」という人の背中を押したことは間違いない。

ちなみに、業界最大手のウェルスナビのユーザーの内、約70%は投資経験があるという。投資経験がある人でも、やはり自分でポートフォリオを構築したり、リバランスをしたりというのは面倒なのだ。その対価として手数料1%は高くない、と判断していると思われる。たしかに、資産運用においてロボアドはベストの選択肢ではないが、資産運用のハードルを下げるという存在意義は十分にあるのではないか。

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著者

松岡 賢治 マネーライター・ファイナンシャルプランナー
松岡 賢治
シンクタンク、証券会社のリサーチ部門に在籍し、国内マクロ経済と債券市場のマーケットアナリストとして従事。1996年に独立し、1997年ファイナンシャルプランナー資格を取得。以後、ファイナンシャルプランナーとして活動する傍ら、ビジネス誌や経済誌を中心に日本経済、資産運用、投資をテーマにした記事の執筆を開始。著書に『ロボアドバイザー投資1年目の教科書』『豊富な図解でよくわかる! キャッシュレス決済で絶対得する本 』。

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