老後の準備は50歳から!定年までにやっておきたい、マネー10のこと
「R50」の新常識 余裕の老後は知識で築く! 1

老後の準備は50歳から!定年までにやっておきたい、マネー10のこと

  • 公開日:2020.09.04

Editor's Eye

人生100年時代において、50歳はまだまだ折り返し地点。特に、これからの時代に必要になってくるのは「働きながら年金をもらい、資産を上手に使う」という発想です。単に貯めるだけでなく、リタイア後のお金の準備も始めておきたい「R50」世代に向けて、長年マネー誌、ビジネス誌の編集に携わり、年金関連の取材・執筆を多数手掛けてきたフリーライターの森田聡子(としこ)氏が解説するシリーズ連載がスタートします。第1回ではさっそく、50歳になったら何をすべきか、10のポイントにまとめて具体的にご紹介します。

サラリーマンにとって50代は“会社人生の集大成”。責任ある立場で、仕事に追われる毎日を送っている方が多いのではないでしょうか。一方で、50代は“リタイア後に向けたウォーミングアップ期間”でもあります。実際に定年を迎えてから対処するのでは遅過ぎる課題は確実に存在し、仕事に邁進するあまりそちらを疎かにしてしまうと、定年後数十年に渡ってそのツケを払い続けるはめになりかねません。

そこで本稿では、50歳から定年を迎えるまでの10年間で必ず準備しておきたいマネー関係の事柄について言及したいと思います。

「定年後」「マネー」と言えばまず気になるのが、65歳から支給される公的年金のことでしょう。公的年金をどれくらい受け取れるのかによって、リタイア後の資産設計も変わってきます。

毎年、誕生月には日本年金機構から「ねんきん定期便」が送付されます。50歳未満は集計時点の加入実績から計算した年金額の記載にとどまっているのに対し、50歳以上は1年間の受け取り見込み額が明示され、より状況を把握しやすくなります。内容を確認しないまま破棄してしまったり、紛失してしまったりした場合は、ねんきんネットで利用登録の手続きを行えば、365日24時間いつでも自分の加入記録や受け取り見込み額を調べることができます。

何度か転職を経験している方は、ねんきん定期便などで年金の加入履歴に漏れがないかも精査しておく必要があります。加入履歴の調査では、およそ9人に1人に記載漏れや誤りがあったことが確認されています。年金の受給期間は長期に亘るため、数年分の記載漏れでも受け取り総額に大きな違いが生じかねません。漏れが見つかった場合は、ねんきん定期便・ねんきんネット専用ダイヤル(0570-058-555)や、最寄りの年金事務所を通して問い合わせるといいでしょう。

リタイア後に受け取るお金としては、勤務先の確定拠出年金(DC)や、保険会社などの個人年金保険に加入している人もいることと思います。こうした上乗せ年金についても、勤務先や保険会社などに支給期間と支給額を確認しておきましょう。60歳でのリタイアを考えている方は、65歳の公的年金支給開始までの5年間が無収入になってしまいますが、この間にDCや個人年金保険を受け取れるようにすれば、貯蓄を大きく切り崩さなくても済みます。

50歳になると、勤務先で定年セミナーなどを受講する機会も出てくるでしょう。その際に必ずチェックしておきたいのが、定年退職時に支給される退職金の見込み額です。最近は受け取り方も多様化し、年金形式なども選択できるようになっています。こうした受け取り方についても、合わせて確認しておきましょう。

退職金支給額の見当が付いたら、定年時点での金融資産(見込み額)を算出してみましょう。①預貯金や有価証券・生命保険など保有資産の評価額(生命保険は60歳時点で解約した場合の返戻金の額)に、②60歳までに増加が見込まれる資産額、さらに③一括支給の退職金の見込み額を加えます。便宜上、前述したDCや個人年金保険は計算の対象外とします。

さて、これまでは主として定年後の収入や資産を取り上げてきましたが、定年後の支出についても考えてみましょう。

自宅の住宅ローンを支払っている方は、住宅ローンの残債と、残りの返済期間を確認します。毎月の給与やボーナスが入る今ならともかく、リタイア後のローンの支払いは家計の圧迫要因になりがちです。60歳以降もローン負担が残る方は、50代のうちに繰り上げ返済をして、ローン残高を圧縮しておきたいところです。

さらに、現在の家計支出をベースに、リタイア後の家計支出を予想してみます。子どもの教育費負担がなくなる、同僚や取引先との飲み代が減る、在宅が多くなるので光熱費や食費がやや増える――など、定年前後の生活様式の変化を踏まえ、ご夫婦で意見交換をしながら各費目を確認していくことをお勧めします。

ご夫婦の共同作業としてもう一つ、リタイア後の特別支出についても検討しておきましょう。家のリフォーム代、車や大型家電の買い替え費用、子どもの結婚資金、海外旅行資金――など、毎月の家計支出に含まれないまとまった額の支出を、おおまかな時期と合わせてリストアップします。

ここまでの数字が出揃ったら、60歳からの生涯の家計収支をざっくり計算してみましょう(インフレ率は考慮しません)。男性が約81歳、女性が約87歳の平均寿命まで生きることを前提に、収入の部では60歳時点の金融資産と公的年金、DC、個人年金保険などの支給総額を合計します。支出の部は前述の毎月の生活費に21年分であれば252(月数)を乗じ、そこに特別支出を加えます。最後に総収入から総支出を差し引いた数字が、現時点でのあなたの生涯収支ということになります。

生涯収支はプラスでしたか、マイナスでしたか。仮にマイナスだったとしても、即、“お先真っ暗”ということにはなりません。多くの方は生涯収支がマイナスになっている可能性が大きく、むしろ50代でその事実に気付くことの方が重要です。60歳以降も働いて総収入を増やす、家計を見直して総支出を抑える――など、対処方法は幾つもあるからです。

ちなみに、60歳以降に継続雇用・再雇用を選ぶ人は約8割に上っています。その際、多くの企業では50代に比べて大幅減収となりますが、減収幅が25%を超える場合は雇用保険から一部を補填する制度(高年齢雇用継続給付)もあります。勤務先の継続雇用・再雇用の制度は政策次第で変更される可能性があり、最新動向を常にアップデートしておきたいところです。

最後に、本文で挙げた10の項目をもう一度整理しておきます。

■50代のうちに準備しておきたい、マネー10のこと

その1●ねんきん定期便で公的年金の支給額を調べる

その2●転職の多い人は、ねんきん定期便の加入履歴も精査する

その3●DC、個人年金保険などの支給期間と支給額を確認する

その4●退職金の見込み額と受け取り方を把握する

その5●60歳の定年時点での金融資産の残高を計算する

その6●住宅ローンの残債と残りの返済期間をチェックする

その7●リタイア後の毎月の家計支出を予想する

その8●リタイア後の特別支出(毎月の家計支出以外)を予想する

その9●平均寿命まで生きた場合の総収入と総支出、生涯収支を計算する

その10●勤務先の継続雇用・再雇用制度の最新動向を押さえる

 

 

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著者

森田 聡子 金融ライター/編集者
森田 聡子
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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