皆が気にする「おトクな退職金の受け取り方」

企業年金の現場で受けるご相談で圧倒的に多いのが、「退職金は一時金(一括)で受け取った方がいいのか、年金(分割)で受け取った方がいいのか」というお問い合わせです。

皆さん、いざ退職するときになって考えるのですね。どっちが得なのか、と。

そもそも、「退職金」には大きく分けて

1 退職一時金制度 2 確定給付企業年金制度(DB) 3 確定拠出企業年金制度(DC)
  • の3種類があります。

1は会社が準備する退職一時金で、一般的に年金としては受け取れません。一方、2、3は一時金で受け取るか、年金で受け取るかを選択できる制度です。ここでお話しする「退職金はどう受け取る?」は、2と3に関するものです。

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2は、企業年金基金などに積立をして積立金を保全する制度で、自分が受け取れる退職金の計算方法があらかじめ決まっていて、退職時に勤務中の給与などを基礎として計算されるものです。勤続年数が一定年数以上の人は、一時金か年金を選択することができます。

一方で3は、掛金を会社が出して運用は自分で行うもの。決まっているのは掛金の金額なので、資産運用の結果によって受け取れる総額は変わってきます。60歳以降に、一時金で受け取るか、年金で受け取るかを選択できます。よく聞くiDeCo(個人型確定拠出年金)の企業年金版と言えばよいでしょうか。

さて、「一時金(一括)か年金(分割)か、どちらが得か」というご質問ですが、私は「損得はありません」と回答しています。

一般的に、「退職一時金は税制が優遇されているのでほとんど税金がかからないが、年金にすると税金や社会保険料が引かれてしまうので、一時金で受け取った方が得だ」と言われることが多いのは確かで、実際に計算してもそうした結果が出ることが少なくありません。

ただ、前提となる勤務先の年金制度設計をはじめ、一時金と年金の割合のパターンや、退職後継続雇用制度等給与所得や国の年金などの所得等、人によって条件が大きく異なり、一概に損得を明確にするのは実は簡単ではありません。

また、退職金の役割を改めて考えると、目先の損得よりも重要視すべきポイントがあるのです。