「節税メリット」で有名だけど……iDeCoの本質ってどこにあるの?
セミナー講師が伝えたい マネープランのツボ 1

「節税メリット」で有名だけど……iDeCoの本質ってどこにあるの?

  • 公開日:2020.09.28

Editor's Eye

「自分がもらえる年金、月にいくらかご存知ですか」。人生100年時代、大多数の人に関係し、「もらえる」というポジティブな情報でありながら、即答できる人はほとんどいません。しかし、おさえるべき知識を身につけておけば、リタイア後に向けたマネープランはもっとスムーズに、自分の思う通りに組めるはず。証券会社に所属し、企業等の従業員にライフプランや資産形成のセミナー講師を務める小出昌平氏が、マネープランのよくある疑問について連載で解説します。第1回は、2016年に愛称が決まって一躍有名になった「iDeCo(イデコ)」の話です。

長年、ライフプランや金融投資教育に携わってきましたが、数年前に比べると、投資や資産形成に興味や関心を持っている現役世代が確実に増えていると感じます。でも、興味や関心は持ちながらも投資や資産形成になかなか踏み出せない、そんな皆さまも数多く目にします。そして、そんな方々の背中をそっと後押しすることが、ライフプランセミナーや資産形成セミナーで講師を務める私の役割なのだと自覚していますが、なかなかうまくいきませんね(苦笑)。

こんな未熟な私ですが、セミナー参加者にアクションを起こしてもらうためには、私が説得したり、私の説明で納得してもらうのではなく、やはり参加者自身に気付いてもらうこと、これが大切ではないかと思っています。

そんなことを考えながら、これまで講師を務めさせていただいたセミナーの中から、参加者の皆さまがピンときたような表情をされた(ように私が感じた)トピックや話題を思い起こしてみました。今回は、私がiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金の愛称)を紹介する際によくお話しさせていただく内容です。ご一読ください。

iDeCoは税制メリットがとても大きい制度です。

「所得控除のメリットを考えれば、やらないという選択肢はないでしょう!」。これは数年前、ある打ち合わせで官公庁の方がおっしゃったコメントです。iDeCo普及に関して金融機関の努力が足らない、という叱責半分の発言だったかもしれませんが、皆が皆、発言されたような官公庁の方々ばかりなら、おっしゃる通りでしょう(笑)。でも、税制メリットだけでは動かない人がいることも事実ですし、むしろ、そんな人が多いように感じています。やはり大切なのは「Why iDeCo?」。「なぜ、iDeCoが必要なのか?」、その本質に迫る必要があると思うのです。

そこで私は、iDeCoの税制メリットや長期・積立・分散投資の有効性だけでなく、公的年金の話と合わせて、iDeCoとは何かをセミナー参加者に問いかけるよう努めています。セミナーで使っているスライドとともに、講師と参加者の会話っぽく紹介してみましょう。

***

講師
それではセミナーの最後に、改めて公的年金とiDeCoのことを一緒に考えてみたいと思います。

まず、公的年金の機能をひと言で説明するなら、「現役世代から高齢者への仕送り」(図の①)ですね。今、我々が負担している保険料は、今の高齢者の年金になっている、ということです。

参加者
なるほど~、公的年金って“仕送り”なんですね。たしか賦課(ふか)方式って言うんですよね!

講師
よくご存じですね! 専門用語を覚える必要はありませんが、公的年金は積立方式ではなく賦課方式なので、我々が将来高齢者になった時(図の②)、我々の年金は将来の現役世代が賄ってくれることになります。

ここで注目いただきたいのが、①と②の矢印の太さです。①の今の高齢者が受け取る年金よりも、②の将来の高齢者、つまり、我々が受け取る年金の方が少なくなるかもしれない、ということを表しています。

参加者
えっ、それってどういうことですか? 公的年金がなくなるってことですか?

講師
いやいや、なくなるってわけではありませんのでご安心ください。ところで、マクロ経済スライドって言葉、聞いたことありませんか?

参加者
あっ、それは聞いたことがあります。年金を調整する仕組みのことですよね?

講師
その通りです、本当によくご存じですね!詳しい説明は省きますが、今後平均寿命が伸びて、働く人が減る分だけ、受け取る年金が少なくなる可能性がある、ということです。では、将来の現役世代からの「仕送り」が少なくなるかもしれない将来の高齢者、つまり、今の現役世代の我々は何ができるでしょうか?

参加者
う~ん、そうですね。将来受け取る仕送りが少なくなるなら……、その分を今から貯えておいた方がいいってことですかね?

講師
そうですね。これがちょうど図の③の部分に当たる、iDeCoになるのです。もう少し言い方を変えると、今の現役世代から、将来の高齢者に仕送りすればいい、ということです。つまりiDeCoとは、今の自分から将来の自分への仕送りということになるのです。

参加者
なるほど~、言い得て妙ですね!

講師 
そして④の部分は、公的年金の将来の状況をちゃんと理解して、計画的に今の自分から将来の自分へ仕送りする人には、国から税制メリットをあげますよ、ということなのです。公的年金の社会保険料控除と同じですね。

参加者
iDeCoは税制メリットが強調されがちですが、本質的には今の自分から将来の自分に仕送りできる、という制度なんですね。よく分かりました!

講師
iDeCoは将来の自分への仕送りですから、途中で引き出してしまうと仕送りにならないですよね。だからiDeCoは60歳まで引き出せないんですよ!

参加者
え~? ちょっと、こじつけっぽいですね……(笑)

***

最後の余談はともかく、iDeCoの本質とは「今の自分から将来の自分への仕送り」です。その背景も含めて理解できれば、我々現役世代にとって「なぜ、iDeCoが必要なのか?」がピンとくるでしょう。そして、「iDeCoの本質を考えれば、やらないという選択肢はないでしょう!」、そんな気付きをこれからも広めていきたいと思います。

 

 

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著者

小出 昌平 大和証券 ライフプランビジネス部 担当部長
小出 昌平
1993年4月大和証券入社。投資信託の開発や富裕層ビジネスの企画・運営業務などを経て、2015年より確定拠出年金業務に従事。現在は、iDeCoと呼ばれる個人型確定拠出年金の周知・普及活動に携わりながら、自治体や事業会社の職場における金融・投資教育、ライフプラン教育の支援活動に取り組み中。

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