2024年に始まる新NISA―仕組みはどう変わる? 今の資産はどうなる?

2024年に始まる新NISA―仕組みはどう変わる? 今の資産はどうなる?

  • 公開日:2020.10.05

Editor's Eye

財務省の「令和2年度税制改正」によって、2024年のNISA(少額投資非課税制度)改正が決定しました。「新制度に衣替え」「二階建て」といったワードを耳にして、どんな風に変わってしまうのかと不安を抱えている方もいることでしょう。そこで、NISA制度のスタート時から取材を重ねてきた竹川美奈子さんに、改めてNISA制度がどう変わるのか、そして私たち個人投資家が気をつけるべきポイントについて解説していただきました。

令和2年度の税制改正では、NISA(少額投資非課税制度)の改正が決まりました。NISAには、つみたてNISA、一般NISA、そしてジュニアNISAの3つがあります。それぞれがどのように変わるのかを解説していきます。

つみたてNISAは一定の条件に合致した投資信託とETF(上場投資信託含む)を一定額ずつ積み立てていくと、最長20年にわたって解約したときの利益が非課税になる制度です。1年間に投資できるお金の上限は40万円です。

法改正により、投資できる期間が2037年から2042年に5年延長されます。仮に2020年からつみたてNISAを利用した場合、積み立ての上限額は「40万円×23年=920万円」となります。ただし、非課税で運用できる期間は最長20年のままなので、ある時点において非課税枠で運用できるのは最大「40万円×20年=800万円」となります。

次に一般NISAです。2023年に一般NISAの新規投資枠が終了するのに伴い、新NISAが創設され、2024年から2028年まで投資できるようになります(図1)。

図1.【改正後】一般NISA

新NISAは2階建てとなります(図2)。新NISAの特徴は、原則、1階部分を利用しないと、2階部分の投資ができないことです。

1階部分で購入できるのは、つみたてNISA対象商品のみ。金額は年間20万円までで、買い方は積み立てに限定されます。

図2.新NISAを利用する場合(原則)

2階部分は現行の一般NISAの対象商品である、上場株式(日本株式・外国株式)や株式投信、ETF、REIT(上場不動産投資信託)などを購入できます(レバレッジを効かせている投資信託、上場株式のうち整理銘柄・管理銘柄は対象外となります)。2階の投資枠は年間102万円まで。一括で購入しても、積み立てをしてもOKです。 

もっとも、1階の投資枠20万円をすべて埋める必要はなく、少額でも、対象商品の積み立て設定を行えば、2階部分で投資を行うことはできます。また、投資信託の積み立てを行う場合、1階と2階、それぞれに商品・積立額を設定することも可能です。

1階部分については、5年の非課税期間終了時に「つみたてNISA」にロールオーバーすることも可能になります。その場合、「簿価」でつみたてNISAに移管されます。例えば、1階を上限額である20万円分積み立て投資をしている場合、時価評価額がいくらになっていても、つみたてNISAに移管する際には20万円とみなされます。つみたてNISAの投資額の上限は40万円ですから、20万円を差し引いた残り20万円の枠内で積み立て投資ができます。2階部分については課税口座に時価で移管されます(新NISAの制度が将来的に存続していればそれ以外の選択肢もありえます)。

ここまで原則のお話をしてきましたが、一般NISAを利用していた人(NISA口座開設者)や上場株式などの投資経験者は「1階部分」を利用しないことを証券会社等に届け出れば、「2階部分」のみ利用することもできます。

ただし、その場合、2階で投資できるのは個別株のみ。株式投信やETF、REITなどへの投資はできません。年間の投資枠も102万円までとなります。

ここまで新たに新NISAを利用する場合をみてきましたが、これまで一般NISAを利用してきた人はどうなるでしょうか。すでに一般NISAを利用している人は新制度開始時に自動的に新NISAが設定されるため、再度マイナンバーなどの本人確認書類を出し直す必要はありません。

一般NISAは非課税期間が5年なので、非課税期間5年終了時に「1.(何も手続きしないと)特定口座などの課税口座に移管」「2.新たなNISA枠にロールオーバーする」「3.売却する」といった選択肢がありました。

2024年から新NISAに衣替えしてもこの選択肢は同じです。例えば、2019年に一般NISA枠で株式や投資信託などを購入した人は、2023年末に非課税期間が終了します。その際の選択肢は「特定口座(課税口座)に移管する」「2024年の新NISA枠にロールオーバーする」「売却する」のいずれかです(新NISAでは対象外となる、レバレッジを効かせている投資信託、上場株式のうち整理銘柄・管理銘柄はロールオーバーできません*1)。
*1 詳細は今後告示等で示される予定

このうち一般NISAから新NISAへのロールオーバーは少々複雑です。 

新NISAの投資枠(1階と2階を合わせた122万円)を超えていても全額ロールオーバーすることができます。例えば、2019年に一般NISA枠で投資した株式や株式投信が140万円になった場合も、すべてロールオーバーできます。

では、新NISAの投資枠122万円に収まる場合はどうなるでしょうか。

その場合は2階(102万円)から枠を埋めていきます。2階の枠がすべて埋まったら、次に1階の枠(20万円)を埋めていきます。

例えば、2019年に投資した株式や株式投信が110万円になった場合、2階の枠102万円を超えるので、1階の枠8万円を使います。1階の枠は12万円残るため、2024年の新NISAでは12万円の範囲内で1階で投資ができる、ということになります(1階なのでつみたてNISA対象商品の積み立て限定)。

では、ロールオーバーしても2階の枠(102万円)が残っている場合はどうでしょうか。例えば、80万円分を新NISAにロールオーバーする場合、2階部分は102万円-80万円=22万円残っています。

ここで思い出していただきたいのが、新規資金で新NISAを利用する場合のルール。まず1階を利用してから2階を使う、という順番でした。この場合も、1階で積み立て投資を行った上で、2階の22万円枠を使うという順番になります。

ただし、投資経験者の場合、2階で個別株だけに投資をして、1階は使わないという選択をすることもできます。

ジュニアNISAは、新規に投資できるのは2023年末までとなります(年間上限額80万円なので、2020年、21年、22年、23年と利用する合、最大320万円まで投資可能)。

それに伴い、2024年1月1日以降は払い出し制限が解除されます。そのため、ジュニアNISAで保有する上場株式等・金銭については、源泉徴収をせずに払い出すことができるようになります。その場合、ジュニアNISAの口座を廃止して全額を払い出す形になります。

あるいは、2023年末までに投資した分はジュニアNISA口座で保有し続けることも可能です。ジュニアNISAを開設している子どもが、2024年1月1日から2028年1月1日の間に18歳(成人)*2となった場合にはその年の1月1日において新NISA口座が自動的に開設され、ジュニアNISA口座で保有する商品を新NISAに移管することもできます*3。ただし、成人になっても「つみたてNISA」には移管できません。
*2 2023年1月1日以降、18歳以上の人がNISA(一般/新、つみたて)を利用できるようになる
*3 2029年以降は新NISAの制度存続も含めて未定

***

このように新NISAの制度の仕組みは複雑です。これから投資信託の積み立てを始めようという人は非課税期間が最長20年あり、2042年まで新規に積み立て投資ができ、仕組みもシンプルなつみたてNISAの活用を検討しましょう。

すでに一般NISAで投資信託の積み立てをしている人、長期で積み立て投資を続けたい人はこの機会に、一般NISAからつみたてNISAに変更するという選択肢もあるでしょう。その場合、一般NISAで運用している投資信託は非課税期間内にはそのまま非課税で運用し続けられます。そして、5年の非課税期間満了時には時価で課税口座に移管されます(金融機関によっては非課税期間終了前でも課税口座に移管可能です)。

個別株やETF(上場投資信託)、REIT(上場不動産投信)などは制度が存続する限り、ロールオーバーし続けるという選択肢もあります。ただ、非課税期間が5年であること、非課税期間満了時に課税口座へ移管または新NISAへのロールオーバーする際には取得価格が変わること(場合によっては課税口座を利用したときよりも課税上不利になることもある)など、複雑な制度を理解していることが大前提です。また、現時点では一般NISAで新規に投資できる期間は2028年までとなっています。その後の制度の延長等については決まっていないことも留意する必要があるでしょう。

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著者

竹川 美奈子 ファイナンシャル・ジャーナリスト
竹川 美奈子
LIFE MAP,LLC代表。出版社や新聞社勤務などを経て独立。取材・執筆活動のほか、投資信託やiDeCo(個人型確定拠出年金)、マネープランセミナーなどの講師を務める。「一億人の投信大賞」選定メンバー、「コツコツ投資家がコツコツ集まる夕べ(東京)」幹事などをつとめ、投資のすそ野を広げる活動に取り組んでいる。2016年7月~ 金融庁 金融審議会「市場ワーキング・グループ」委員。近著『50歳から始める! 老後のお金の不安がなくなる本』(日本経済新聞出版)など著書多数。

参考サイト
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