60歳を過ぎた会社員が週2~3日しか働かない理由

今回は、2020年5月末に成立した年金改革関連法の中から「在職老齢年金」の話題を取り上げたいと思います。

在職老齢年金と聞くと「どんな年金がもらえるの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、残念ながら実際にはその逆で、一定額以上の収入のある人は年金がカットされてしまう制度のことです。

定年を迎えて継続雇用や再雇用を選んだ人の中には、出勤日数を週2~3日に減らしたり、勤務時間を抑えたりしている方が多いのではないでしょうか。60代は健康に配慮しワーク・ライフ・バランスの実現を目指すという思いもあるのでしょうが、主たる理由は先の在職老齢年金の適用を受けないためと推察します。

参考までに、現行(改正前)の在職老齢年金制度について簡単にご説明しておきしょう。

65歳未満の人が会社で働きながら(厚生年金の保険料を負担しながら)年金を受給する場合、老齢厚生年金の月額と、総報酬月額相当額(直近1年間の給与と賞与を足し算して12で割った金額)の合計が「28万円」を超えると、「超えた分の2分の1」だけ年金の支給が停止されます。例えば、老齢厚生年金の月額が10万円、総報酬月額相当額が30万円だとすると、月額6万円の年金がカットされるわけです。

65歳以上になると、年金の支給が停止される基準が「28万円」から「47万円」に引き上げられます。