将来の受取見込額がわかる!“50歳以上版”「ねんきん定期便」の見方
「R50」の新常識 余裕の老後は知識で築く! 6

将来の受取見込額がわかる!“50歳以上版”「ねんきん定期便」の見方

  • 公開日:2020.10.09

Editor's Eye

人生100年時代において、50歳はまだまだ折り返し地点。特に、これからの時代に必要になってくるのは「働きながら年金をもらい、資産を上手に使う」という発想です。単に貯めるだけでなく、リタイア後のお金の準備も始めておきたい「R50」世代に向けて、長年マネー誌、ビジネス誌の編集に携わり、年金関連の取材・執筆を多数手掛けてきたフリーライターの森田聡子(としこ)氏が解説するシリーズ連載。第6回では、もらえる年金額を調べる「基本のき」となる資料、ねんきん定期便の活用方法を詳しく紹介します。

毎年の誕生月に日本年金機構から送られてくる「ねんきん定期便」。ろくに見もせず、ポイ捨てしていないでしょうか? それはもったいないことです。たかがハガキ1通と侮るべからず、ねんきん定期便はあなたの最新の年金記録がコンパクトに整理された貴重な情報源なのですから。

ねんきん定期便は年に1度、直近の年金記録を加入者本人の住所に送付する制度ですが、当該年度の年齢によって送付書の体裁や中身が変わることをご存じでしたか? 詳しくは、次の通りです。

■毎年送付されるもの(節目の年以外)

50歳未満:圧着ハガキによる直近1年間の記録に基づく
「これまでの加入実績に応じた年金額」のお知らせ
50歳以上:圧着ハガキによる直近1年間の記録に基づく「年金見込額」のお知らせ

■節目の年に送付されるもの

35歳・45歳:封書による全加入期間の記録に基づく
「これまでの加入実績に応じた年金額」のお知らせ
59歳:封書による全加入期間の記録に基づく「年金見込額」のお知らせ

ねんきん定期便では、35歳と45歳、そして定年(年金保険料の払い込み終了)前の59歳という節目のタイミングで、過去の全加入期間を通した詳しい年金記録が届きます。

50歳未満は加入実績に応じた年金額しか記載されないのに対し、50歳以降は将来受け取る見込額が示されるので、よりリアルな数字を把握することができます。とはいえ、「細かい数字の羅列で目が疲れる」という方もいらっしゃるかもしれません。そこで今回は、50歳以上の人に届くねんきん定期便のフォーマットを例に、「ここだけは見ておきたい」というチェックポイントをご紹介したいと思います。

出所:日本年金機構「『ねんきん定期便』(ハガキ)の見方 50歳以上の方」より

まず、気になる年金額は、「3.老齢年金の種類と見込額(年額)」(図のj)の「受給開始年齢」が「65歳~」の欄の一番下(「(1)と(2)の合計」)で確認できます。この見込額は、現在の給与水準のまま60歳まで継続して加入することを前提に算出されています。ですから、役職定年などで給与ダウンとなった人は前年より見込額が減少することもあります。早期退職制度の活用を考えている方は、60歳より早めにリタイアした年月分、将来の年金額が減ることになるので、ご注意ください。

一度しっかり確認しておきたいのが、ご自身の年金の加入記録です。「2.これまでの年金加入期間」(図のi)の「国民年金(a)」や「厚生年金保険(b)」の欄に記載された加入月数が、ご自分の勤務歴と合致しているかどうかを計算してみてください(59歳を迎える誕生月に届く“節目の年バージョン”には、より詳しく、過去の勤務先の名称や資格を取得・喪失した年月日まで記載されます)。

転職経験がある方は、以前の勤務先での加入期間が正しく反映されていない可能性があります。漏れがある場合は証拠となる書類などを用意したうえで、最寄りの年金事務所で加入記録を調べてもらいましょう。加入が確認できれば年金記録は速やかに修正され、65歳から修正後の年金額を受給することができます。

自営業の方の中には、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の影響で収入減となり、国民年金保険料の減免制度を利用された方もいらっしゃるかもしれません。そうした場合は、次回のねんきん定期便を受け取った際、「最近の月別状況です」の欄に必ず目を通してください。

「国民年金〈第1号・第3号〉納付状況」(図のf)の欄には、「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」など減免の状況が月別に示されています。一時的に減免制度の適用を受けたとしても、その間は一定率の保険料を負担したものとして将来の年金額を計算してもらえます。減免を受けた月や減免率が正しく記載されているかどうか、記憶が新しいうちにしっかり確認しておきましょう。

さて、年金を受給するためには、加入期間が10年(120カ月)以上あることが必要です。自営業で未加入の期間が長かった人は、「2.これまでの年金加入期間」(図のi)の「受給資格期間(a+b+c+d)」の欄も確認しましょう。

60歳まで加入して120カ月に満たない場合は、60歳以降も国民年金に任意加入して、受給資格期間を満たすまで保険料を納める方法もあります。

ねんきん定期便をチェックする際、気を付けたいことがあります。それは、記載された将来の年金額はもちろん一応の目安になりますが、あくまで見込額だということです。実際に受け取る金額は、家族構成などによっても変わります。会社の同期と給料は同額でも、扶養家族が多いほうの手取り額が多いというのと一緒です。

例えば、老齢厚生年金には「加給年金」という“家族手当”のような制度があります。受給時に夫に扶養されている65歳未満の妻や、満18歳になる年度の末まで(高校生以下)の子どもがいる場合は、妻が39万900円(1943(昭和18)年4月2日以降生まれの場合)、子ども2人目までが1人につき22万4900円、3人目以降は同7万5000円が年金に上乗せされるのです。

仮に、晩婚の元サラリーマンに65歳時点で40~50代の妻と高校生以下の子どもが2人いたとしたら、年間で約84万円もの“手当”が付きます。加給年金の存在を知らなかった人には、うれしいサプライズかもしれません。ねんきん定期便の見込額に、この加給年金は反映されていませんから、このような場合は、年間84万円もの“誤差”が生じる可能性もあるわけです。

加えて、「年金にも所得税がかかる!?受取時の『額面』と『手取り』の差に注意」でお話ししたように、ねんきん定期便の見込額は「額面」ですから、そこから税金や社会保険料が差し引かれることになります。

定年が近くなって、より正確な受取見込金額を知りたいときには、最寄りの年金事務所に問い合わせるのが確実でしょう。

ねんきん定期便は、ご自分の年金記録を把握する年に1度のチャンスです。リタイア後のライフプランを立てる際の貴重な資料になりますから、翌年の分が届くまで保管しておくと重宝しそうです。

なお、「お客様のアクセスキー」(図のm)を使って日本年金機構のねんきんネットに登録すれば、同様の情報を365日24時間、好きなときに見ることもできます。

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (8)
  • 難しかった (5)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

森田 聡子 金融ライター/編集者
森田 聡子
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!