世帯年収1300万円・預金派のパワーカップルが踏み出すべき、投資の第一歩は?
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世帯年収1300万円超・預金派のパワーカップルが踏み出すべき、投資の第一歩は?

  • 公開日:2020.10.21

Editor's Eye

資産運用にまつわるお悩みにプロが回答するシリーズ。今回はいわゆるパワーカップルが登場です。収入は多いものの、投資は経験がないということで、彼らの投資第一歩を相談実績豊富なタケイ啓子さんに指南していただきました。さらに昨今よくネットニュースなどで目にする「ドル建て保険」、マンションの売却といった投資以外の資産運用の注意点やアドバイスにも注目です。

【大村裕介(仮名)さんのプロフィール】
40歳、妻と二人で暮らすいわゆるDINKS世帯。都内在住。
仕事は公務員。妻は外資系メーカー勤務で結婚15年目。「身の丈に合った家計」を信条に、抑えるところは抑えつつ楽しむところは我慢しないというメリハリを心掛けており、お金に関して大きな悩みはない。
現状の資産運用といえば、資産分散の観点から、昨年米ドル建ての養老保険に加入したことのみで、基本的には預金派。
子どもの予定はないが、2匹の犬と暮らしており、3年前に都内にペット可のマンションを購入。居住用だが、減価しにくい都区内・駅近を考慮して決めた。住宅ローン控除で所得税は全額還付になることを見込んでいたが、夫の分の所得税控除の枠が余っている。「身の丈に合った」という信条もあり、ローン控除の終わる10年目を目処に売却、その時点の自分たちに合った住居を再検討する予定。

【寄せられたお悩み】
これまで「汗水垂らして稼いでこそのお金……!」という意識があり投資はしてきませんでした。しかし、最近の相場を見ていると、今のうちにつみたてNISAくらいはやっておいてもいいのかも、と思い始めました。
リスク性商品を初めて購入するので、つみたてNISA、iDeCo(イデコ・個人型確定拠出年金)など制度をどう使うかが分かりません。さらに、どんな商品で始めればよいかもアドバイスがほしいです。

【今回の相談ポイント】 
①40歳で初投資。どれくらいのお金を、どんな商品で運用すればよいか。
②つみたてNISA、iDeCoそれぞれの特徴・注意点を知りたい。

【資産状況】
世帯の金融資産額:1500万円
内訳
預貯金:1500万円※
※妻の企業型確定拠出年金の額は含んでいない
※夫婦二人で150万円/1年(年払い)の米ドル建て養老保険にも加入しているが、その額も含んでいない

【収支】
<世帯収入>
・毎月の手取り収入:70万円  
・年間の手取りボーナス:460万円 
<支出>
・毎月の出費:約70万円(詳細以下)

※1……「マンションのローン・管理費等合わせての金額です」

※2……「夫婦で参加する集まり・飲み会。あとは、仕事にも役立てている異業種交流会などの費用です」

※3……「音楽・書籍・アート鑑賞など夫婦共通の趣味を楽しむためのお金です」

※4……「夫・妻それぞれの趣味の“ソロ活動”にかける娯楽費です。具体的にはライブや映画鑑賞、個人的な飲み会や服飾費、美容費などをここにまとめています」


***

現在、奥様と2匹のワンちゃんに囲まれて、充実した毎日を送っている大村さん。購入したマンションのローン返済も無理なく、また貯蓄もできていますが、さらに資産運用についても検討中、ということですね。
資産運用にはさまざまな方法がありますが、投資初心者であれば元本割れのリスクが小さく、貯蓄感覚で始められるものがおすすめです。大村さんがご相談内容で触れた「つみたてNISA」もその一つ。どのように選び、組み込んでいけばいいでしょうか。一緒に考えてみましょう。

大村さん夫婦は、結婚して15年目。共働きでお子様のご予定なく、いわゆるDINKS世帯です。大村さんご自身は公務員、奥様は外資系メーカー勤務ということで、高収入で家計にはゆとりがあります。

そんなご夫婦の家計では、余裕があるからこその油断から、支出が多くなりすぎで貯蓄ができていないことも少なくありません。しかし、大村さん夫婦は「身の丈に合った」という信条をお持ちということもあり、堅実な家計を実現できています。すでに1500万円もの預貯金を蓄えているのは、ご夫婦で力を合わせて家計管理をしている賜物でしょう。

ただ、預貯金だけではお金は増えていきません。長引く低金利の影響で、メガバンクは定期預金でも金利は年利0.002%(2020年10月現在、税引き前)。これは、100万円を1年預けても利息は20円ということです。元本割れのリスクはありませんが、これではせっかくの資産が生かせません。大村さんご自身で感じられているとおり、そろそろ「つみたてNISA」など制度を活用しながら、投資信託といった投資性のある金融商品も視野に入れたいところです。

つみたてNISAは、2018年に始まった、初心者向けの積立投資の制度です。定期的に一定の資金を積み立てて、投資信託などで運用をします。つみたてNISAの口座は証券会社などで開設できますが、ネット証券を中心に来店不要で口座が作れるところが増えています。

仕事や趣味で忙しくても時間や場所を選ばずに手続きできるので、積極的に利用したいサービスですね。投資をして運用益が出た場合、通常であれば20.315%の所得税が差し引かれますが、つみたてNISAは非課税で運用できる点が大きなメリット。

しかも、つみたてNISAで選べる投資信託は、金融庁の基準を満たしたものだけです。金融庁の基準には、投資初心者が安心して投資をスタートできるよう、次のような条件があります。

1.販売手数料がゼロ(ノーロード)
2.信託報酬が安い(国内インデックスファンドで年0.5%以下など)
3.毎月分配型ではない

ただし、投資できるのは年間40万円まで。1カ月あたり約3万3000円です。つみたてNISAの非課税期間は20年ですが、1カ月3万3000円を20年積み立てると、元本は792万円。年利3%で運用できたとすると、20年後には利益が約291万円です。すべて売却して現金化する場合、つみたてNISAなら利益に対して非課税ですから、1083万円がまるまる受け取れます(元本792万円+運用益約291万円=合計約1083万円)。

しかし、つみたてNISAでなければ運用益に20.315%の税金がかかるので、約59万円も差し引かれることになります。つみたてNISAは、一人1口座しか開設できませんので、夫婦それぞれで口座を持ってもいいでしょう。今、預貯金に14万5000円を回していますが、二人分ならそのうちの6万6000円まで、つみたてNISAにすることができます。

いきなり毎月6万6000円を投資に回すのに抵抗があるなら、まずは月1万円から始めてもいいですね。投資に慣れてきたら投資額を増額できますし、現金が必要になったらいつでも止めることもできます。

預金に回す14万5000円からつみたてNISAでの投資用にいくらか振り分けるのは、価値のある第一歩と言えます。今から始めれば20年後は60歳。まとまった資金があれば、ゆとりのある老後の生活設計が描けます。つみたてNISAは途中で取り崩したり、積立を休止することもできます。

税金の優遇がある制度としては、確定拠出年金も見逃せません。

個人型確定拠出年金(以下iDeCo)はつみたてNISAと同様に運用益に対して非課税ですが、つみたてNISAにないメリットとして掛金が全額所得控除になり、所得税と住民税の節税が可能ということが挙げられます。掛金は毎月5000円から設定できますが、加入者の職業などによって掛金の上限が定められています。公務員の大村さんの場合、月額1万2000円までです。

また、奥様の勤務先には企業型確定拠出年金があるとのこと。企業型は、掛金を企業が出し、運用は従業員自身がするというものです。勤務先がマッチング拠出を採用していれば、企業の掛金に、従業員が掛金を上乗せすることができます。上乗せした掛金は全額所得控除になり、所得税と住民税の節税が可能です。まずはマッチング拠出が可能か、勤務先の担当部署(総務・人事など)に確認してみるといいでしょう。

個人型も企業型も、受け取りは基本的に60歳まではできません。お得な制度だからと言って、60歳までに必要な資金が不足してしまわないよう、つみたてNISAとバランスを取りながら無理のない範囲で掛け金を設定するようにしましょう。現状の家計バランスであれば、大村さんご本人は上限の月額1万2000円を拠出しても問題ないでしょう。不安であれば最小限の月額5000円から始めて、様子を見て増額するようにしてもいいですね。

つみたてNISAやiDeCoなど、運用を始めるには運用商品を決めなくてはなりません。

大きなリターンを望めば、損失を被るリスクも大きくなります(=ハイリスクハイリターン)。逆に、損失のリスクを極力小さくすれば、期待できるリターンも小さくなります(=ローリスクローリターン)。

ほどよいミドルリスクをとるには、投資信託による分散投資がお勧めです。投資する資産や地域を分けることで、どれかひとつで損失が出ても、他の投資でカバーできるようにしておけるのです。

国内のみならず、先進国や新興国の株式、債券、不動産などに分散して投資をすることで、世界経済の成長と同程度の運用が可能になります。複数の投資信託を選び、まんべんなく投資できるように組み合わせるといいでしょう。

また、現在の住まいについて、住宅ローン減税が終わる時期に売却を考えているとのことですが、状況によっては売却せずに賃貸物件として保有し続けてもいいかもしれません。人口減少などの影響で、不動産価格の動向には注意が必要ですが、都区内の駅近は価値が下がりにくく、よい選択だと思います。

さて、資産分散として昨年ドル建ての養老保険に加入したということですね。ドル建て保険は、保険料をドルで運用しますが、利率が円よりも高いことがメリットとされています。

しかし、満期金はドルから円に換えて受け取るので、為替の影響を大きく受けることに注意が必要です。ドルでの運用益が大きくても、受け取り時に円高であれば資産を減らしてしまう可能性があります。

満期時に円高の場合は、円安になるまで保険金を据え置けるようにしておくと安心です。据え置きができない保険であれば、円安のタイミングで途中解約を検討してもいいでしょう。

すでに確保している1500万円の預貯金は、緊急予備資金と住宅購入の頭金としてそのまま確保しておかれると安心できると思います。1年分の生活費として70万円(月の生活費)×12カ月=840万円、残りの660万円が頭金というイメージです。元本確保ではあっても、少しでも金利のいいネット銀行の定期預金などを選びましょう。

***

大村さんの家計を拝見しますと、夫婦共通で使うお金、貯めるお金、それぞれで使うお金のバランスが取れています。さらに投資も始めることで、理想的な家計になるでしょう。

40代は老後資金を意識する時期でもあります。20年後、30年後を見据えて、時間を味方につけた投資を始めてみてはいかがでしょうか。

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著者

タケイ 啓子 ファイナンシャルプランナー(AFP)
タケイ 啓子
36歳で離婚、シングルマザーに。大手生命保険会社に就職し、営業を経験。その後、保険の総合代理店に転職し、保険の電話相談業務に従事。生命保険の見直し相談や、保険のしくみの解説などを中心に約1万件の相談に応じる。順調に思えたが、43歳の時に乳がんを告知される。治療を経て、現在は治療とお金の相談パートナーとして、相談、執筆業務を中心に活動中。

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