50代でも十分節税メリットあり!DC・iDeCo今から徹底活用法
「R50」の新常識 余裕の老後は知識で築く! 8

50代でも十分節税メリットあり!DC・iDeCo今から徹底活用法

  • 公開日:2020.10.23

Editor's Eye

人生100年時代において、50歳はまだまだ折り返し地点。特に、これからの時代に必要になってくるのは「働きながら年金をもらい、資産を上手に使う」という発想です。単に貯めるだけでなく、リタイア後のお金の準備も始めておきたい「R50」世代に向けて、長年マネー誌、ビジネス誌の編集に携わり、年金関連の取材・執筆を多数手掛けてきたフリーライターの森田聡子(としこ)氏が解説するシリーズ連載。第8回では、税制改正により、2022年以降はいわゆるサラリーマンのほとんどで併用可能となるiDeCoについて、50代から始めることのメリットや活用法をお伝えします。

勤務先でDC(企業型確定拠出年金)に加入しているサラリーマンの方は、iDeCo(個人型確定拠出年金)が自分には関係のない制度だと思っていないでしょうか。確かに今はそうかもしれません。しかし、2020年5月に成立した年金制度改正法で状況が変わっています。

現在は勤務先でDCに加入しているとiDeCoの利用が制限されますが、2022年10月以降はDCとiDeCoとが併用できるようになります。この改正によってiDeCoはほとんどのサラリーマンが利用可能な制度となり、2020年8月時点で約169.1万人という加入者数は将来的に大きく増えていきそうです。

そこで今回は、50代のサラリーマンがiDeCoを活用する際のポイントについてお話ししたいと思います。

現状、iDeCoで毎月積立投資ができるのは60歳までです。50歳になってすぐに始めたとしても、10年間しか資金を拠出することができません。これでは、老後資金を準備するにも限度があります。加えて、リスクを伴う運用の場合、「運用する期間が長いほどリターンが平準化され、リスクが安定する」というのが鉄則です。

こうした観点からは、50代でのスタートは20~30代と比べて相対的に不利なように思えます。結果的に、「今さら加入しても間に合わない」と諦めてしまう人もいるようです。

しかし、本当にそうでしょうか。

先の法改正によって、2022年5月からは国民年金の被保険者であれば60歳以上もiDeCoに加入できるようになり、積立期間は65歳まで、受給開始時期は75歳まで延長されています。「たかが5年」と思うかもしれませんが、50歳からの加入を想定すれば積立投資の期間が1.5倍になるわけで、この“延長効果”は侮れません。

さらに、こちらがより重要なのですが、50代にとってのiDeCoの利用価値は、こうした時間的な問題とは別のところにあると考えます。

iDeCoの大きなメリットの1つが、掛け金が全額、所得から控除されることです。より詳しく言うと、1年間に積み立てた掛け金の合計額が「小規模企業共済等掛金控除」としてその人の年間所得から差し引かれ、その分、所得税や住民税の負担が軽減されるのです。

現在50代前半の方の多くは、サラリーマン人生を通じての給与収入のピークを迎えています。日本の税制は累進課税方式を採用しているため、給与収入が上がれば、その分税率も高くなります。ちなみに、現行の所得税率は、給与収入800万円の人(課税所得約450万円)が20%、1200万円の人(課税所得約780万円)が23%、2000万円の人(課税所得約1470万円)が33%です。

仮に給与収入800万円のサラリーマンがiDeCoに加入し、毎月2万円を拠出したとすると、年間の拠出額は24万円となり、所得税率20%、住民税率10%で計算すると、1年につき72000円の税負担が軽減されることになります。拠出期間が10年間だとしても、70万円を超える節税効果が得られるわけです。

近年の税制改正における増税のターゲットは中高所得のサラリーマンです。給与所得者の収入はガラス張りですから、何も手を打たなければ、高い税金を“取られっぱなし”になってしまいます。

「iDeCoの利用は50代からでは間に合わない」のではなく、むしろ給与水準の高い50代こそ、iDeCoをうまく節税に結び付けたいところです。

iDeCoに加入する際、気を付けたいのが運用先の選定です。積立期間が数年に限定されるなら、リスクを取って大きなリターンを狙うタイプの金融商品は避けるのが賢明でしょう。

積立投資が失敗に終わる典型例が“下げ相場”です。長い相場の歴史を振り返っても滅多にないことですが、運用期間の大半で株式市場が下がり続け、積立残高が拠出総額を大きく下回ってしまうことも絶対にないとは言えません。

すでに所得控除で節税の恩恵を受けているわけですから、運用は債券主体の投資信託などで手堅く行うのが現実的ではないでしょうか。

運用期間が短いのがiDeCoの弱点だとすれば、それを補完できる有用な制度もあります。つみたてNISA(少額投資非課税制度)です。

つみたてNISAを利用すると、毎年の限度額(上限40万円)までの積立投資による利益を最長20年間、非課税にすることができます。iDeCo同様、運用期間中は20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)の課税が免除される形です。

NISAやつみたてNISAの制度は2024年に大きな改正が予定されていますが、現行のつみたてNISAでも2037年いっぱいまで積立投資が可能です(2037年中に購入した投資信託は、2056年まで先の非課税メリットを維持したまま保有できます)。2020年内に始めれば17年以上積立ができるので、リスクを取った積立投資はこちらで行うなど、iDeCoと使い分けてもいいかもしれません。

つみたてNISAの場合、「投資ビギナー向け」という制度の性格上、対象となるのは金融庁が定めた基準をクリアした商品のみで、2020年10月16日時点で投資信託やETF(上場投資信託)が計184本登録されています(金融庁「つみたてNISA対象商品届出一覧(運用会社別)」)。インデックスファンドなど低リスクで手数料を抑えた投資信託が主体ですが、中には中小型株に投資するグロース型や、為替ヘッジを行わない積極運用の投信も含まれます。

60歳を待たずに任意のタイミングで換金できるのは、iDeCoにないメリットです。半面、iDeCoのように掛け金を所得から控除することはできず、節税効果は運用時に限定されます。

“退職金デビュー”はNG! 50代から始めたい「投資の筋トレ」とは?」の回で、50代の今から「投資の筋トレ」--少額での投信積立を始めておくことが大切とお話ししましたが、その際にiDeCoやつみたてNISAを使う手もあるでしょう。運用益が非課税で再投資されることにより、長期的な視点から効率のいい資産形成が可能になります。

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著者

森田 聡子 金融ライター/編集者
森田 聡子
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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