お金を貯められる脳に! 脱・無駄遣いのための脳科学的アプローチ
科学的に正しい、お金との付き合い方 後編

脳内科医が教える「投資ってなんだか怖い」を克服する方法

  • 公開日:2020.11.09

Editor's Eye

前編(お金を貯められる脳に! 脱・無駄遣いのための脳科学的アプローチ)では、無駄遣いしてしまう脳のクセを見つめ、さらには脳番地ごとの鍛え方についても医学博士で「脳の学校」代表の加藤俊徳先生に教えていただきました。お金を計画的に使える、貯められるようになったのなら、次のステップは投資への挑戦! ただここにも「なんだか怖い」という不安の壁が。そこで、後編ではそんな不安について、そもそもどうして起きるのか?から具体的な対処法まで教えていただきました。

この人に聞きました

かとうとしのり

加藤 俊徳先生

脳内科医・医学博士  「脳の学校」代表

昭和大学客員教授。MRI脳画像診断、発達障害・ADHD、認知症の専門家。MRI脳画像診断を用いて、小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。2006年「脳の学校」を創業。脳番地トレーニングメソッドを開発・普及。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。独自開発した加藤式MRI脳画像法を用いて、脳の成長段階、得意な脳番地、不得意な脳番地を診断し、薬だけに頼らない脳番地トレの処方を行う。近著に『ぐうたらな自分を変える教科書 やる気が出る脳』(すばる舎)、『脳とココロのしくみ入門』(朝日新聞社)。

解説に登場する「脳番地」については、前回記事でチェック>

そもそも、投資は脳にとってどんな影響を与えるのでしょうか。

「2つのいいことが考えられます。1つはマンネリを打破して、脳をイキイキさせる効果です。マンネリは脳を衰えさせる大きな原因です。脳を衰えさせないためには、いかに新しい経験ができるかが重要です。初めての経験というのは脳のなかでパターン化されていないので、処理にたくさんのエネルギーがかかるわけですが、その非効率さこそが、脳を大きく発達させるのです。そして、2つ目はお金を“操作”することで、認知機能が高まるということです。〇円入金した、□%上がったから△円くらいになっているだろうというような暗算は、最たるものでしょう。また、投資を始めると程度の差こそあれ、お金のことを意識し続けることになると思いますが、記憶系脳番地が活性化し、記憶力もアップすると考えられます」(加藤先生)。

脳の活性化につながる一方で、その分、エネルギーもかかるわけですから、投資に二の足を踏んでしまいがちなのも、脳科学的には自然なことなのかもしれません。また、「なんだか怖い」という不安から投資への一歩を踏み出せないという人も多いようですが、そもそもそうした感情はどうして生まれるのでしょうか?

「想像の欠乏でしょう。人間は実態が分からないものほど感情系脳番地が働いて怖い、と感じるんですね。そして、経験をしたことがない人というのは、経験者からしたら驚くくらい、あらゆる想像をし、疑問に思うわけです。例えば、デートで手をつないだことがない人にとって、『手をつなぐって親指を握る? それとも小指を掴む?』となんだって想像するように(笑)。投資だって『どの金融機関で始めればいいの?』『いくら投資したらいい?』と1つ1つは小さな疑問かもしれませんが、それが積み重なると大きな不安になるわけです。そこで必要なのが具体的な“イメージ”であり、イメージを得るのに最も有効なのはシミュレーションです」(加藤先生)。

不安の源は実態の分からなさ。不安を取り除くには、疑似体験という体験こそが効果的というわけです。例えば、金融機関のホームページには資産運用のシミュレーションが用意されている場合も少なくありませんが、それを利用すれば、毎月いくら、どのくらいの期間積み立てたら、いくらになるのかを簡単に知ることができます。さらに効果的なのは「よりリアリティの持てること」だと加藤先生は言います。もし信頼できる身近な人の中に、投資を始めている人がいるのなら、そういった人からの体験談は貴重です。

「単にいくら儲かったという“煽り”の話だけでなく、逆にどのくらい損失を出したことがあるのかといった、ありのままの体験の話を聞くことですね」(加藤先生)。

また、親しい間柄に限られるかもしれませんが、例えばネット証券であればどんな画面で、どんな操作をすることで取引ができるのか実際に見せてもらえたらベスト。身近にそんな人はいない……という人は、今では、動画などでそうした手続きの“実況中継”をしているコンテンツもあるようですから、見てみるのもいいでしょう。

それでもなお、恐怖を感じるのなら、「いっそのこと“一種の娯楽”と考えてみるのも手」だと加藤先生は提案してくれました。

「あまり『しなくてはいけない』などと思わないほうがいいのかもしれません。そもそも脳は、未来のあるものに投資したいと考えるのです。そういう意味では、どうしても投資をギャンブルのように捉えてしまう人でも、ラスベガスのカジノのように一瞬でお金をなくしてしまうものよりは、5年、10年と長く楽しめる娯楽と考えることはできるはず。未来に投資している、と脳も認識できるわけです」(加藤先生)。

投資の場合、とりわけそれが投資信託であれば、投資額がゼロになってしまって“終了”ということは、基本的にありません。まずは毎月数千円の積立など「これくらいならば惜しくない」と思える額から、娯楽に近い感覚で始めてみるのもいいのかもしれません。

また、投資に向き合う時間帯にも注目を。
「夕方になってくると、脳はボーッと疲れてくるので、調べものをしたり、手続きをしたりとエネルギーのかかることをするには向いていません。思考系や理解系が活発だからこそ冷静で、フレッシュな朝のうちに、負荷のかかる行動をするというのもコツと言えるでしょう。失敗感が少なくなります」(加藤先生)。

さて、こうして晴れて投資への第一歩踏み出せたら、根気よく続けることも大切です。継続させるコツも伺いました。

「やはり脳は“楽しみ”があると喜ぶので、上手に楽しみを用意することです。例えば、『今は評価額がマイナスだけど、上がる局面がくるのを楽しみにしよう』といったように、値動きにハラハラするのではなく、観察するくらいの気持ちで向き合ってみてはどうでしょう。それがワクワク感につながり、脳トレにもなるのです。あるいは、信頼できる人への相談をルーチン化することで、『●●さんに話を聞いてもらえるのなら』と、その人に定期的に会えること自体を楽しみにするというのもいいですね」(加藤先生)。

特に投資信託の場合は、日々の値動きをそれほど気にする必要はありませんが、それでも定期的にウォッチすることで、不安ではなくワクワクをしっかり感じるのがポイント。また、金融機関の担当者やFP(ファイナンシャルプランナー)、あるいは“資産運用トーク”で盛り上がれる仲間など、お金のことをざっくばらんに楽しく話せる相手を見つけるのが、投資を続けるコツのようです。

***

投資というと、怖いもの、自分とは縁がない特別なものというイメージを持っていた方もいるかもしれません。でも、脳を鍛えることにもなると分かれば、かなり印象が変わってきませんか。

「怖い」という抵抗感は、自然なこと。むしろそんな脳の特性を理解して、理にかなったリサーチや体験をすることが、投資の入り口に立つための“脳科学的に正しい”行動と言えるでしょう。そうした経験の1つ1つが、あなたの人生を昨日よりちょっと豊かなものにしてくれるのではないでしょうか。

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (4)
  • 難しかった (0)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!