退職「前」にチェック!リタイア後、意外にもらえる補助金&給付金
「R50」の新常識 余裕の老後は知識で築く! 10

退職「前」にチェック!リタイア後、意外にもらえる補助金&給付金

  • 公開日:2020.11.06

Editor's Eye

人生100年時代において、50歳はまだまだ折り返し地点。特に、これからの時代に必要になってくるのは「働きながら年金をもらい、資産を上手に使う」という発想です。単に貯めるだけでなく、リタイア後のお金の準備も始めておきたい「R50」世代に向けて、長年マネー誌、ビジネス誌の編集に携わり、年金関連の取材・執筆を多数手掛けてきたフリーライターの森田聡子(としこ)氏が解説するシリーズ連載。第10回は、収入が減っていくリタイア後、知っておくと助かる補助金や給付金について紹介します。中には、退職前に知っておくだけで受け取れる金額がかなり変わる給付金もあるようです。

会社の健康保険には、保養所の利用や人間ドックの受診など、お得な助成や給付の制度が多数用意されています。健康保険の高額療養費(入院や手術などで医療費の自己負担が月ごとに一定額を超えたとき、申請すれば超えた分の払い戻しが受けられる制度)の限度額は一般的なサラリーマンだと1カ月につき8~9万円程度ですが、大企業の健康保険組合ではそれが2~3万円に抑えられており、さらに差額を健保組合が負担してくれるところもあります。社員が扶養する家族も、保険料を負担することなく、健保組合の保険証を使って医療サービスが利用できます。

定年で会社を離れる人は健保組合からも脱退し、こうした特権を手放すことになります。しかし、健康保険には「任意継続」という制度があり、退職後2年間は引き続き加入することができます。注意したいのは、現役時代は健康保険料の半分を会社が負担してくれていますが、任意継続だと全額が自己負担となるため、保険料が高額になってしまう可能性があることです。

なお、任意継続を利用する場合は資格喪失日(退職の翌日)から20日以内に手続きをする必要があるため、希望する方はこのタイミングを逃さないようにしないといけません。

体育会系で健康には自信があるという人でも、還暦近くなると何かしらの病気を発症することが少なくないようです。例えば、患者数が320万人を超え、「現代の国民病」と呼ばれている糖尿病。あまり考えたくないことですが、罹患すると将来的に腎不全を併発し、人工透析が必要になる可能性があります。実際、透析開始の原因のトップが「糖尿病性腎症」だと言われています。

人工透析者は国の「障害年金」の受給対象になります(保険料未納期間があると対象外になることもあります)。サラリーマンの場合は病気の「初診日」が厚生年金加入期間中なら、「障害基礎年金+障害厚生年金」という2階建ての年金が受け取れます。だからこそ、元気な方でも、定年退職前には入念なメディカルチェックを受けておくべきなのです。

万一このチェックで糖尿病と診断されたとすると、会社を辞めてから人工透析が必要になったときに、障害基礎年金と障害厚生年金が受給できます。障害年金は障害の程度に応じて1~3級に分類され、1級か2級の認定を受けると2階建ての障害年金が受け取れる仕組みです(3級は障害厚生年金のみ)。

これまでの実績を見ると、がん、心筋梗塞、大動脈弁狭窄症、脳梗塞、脳出血、脳血栓(言語障害)、気管支喘息、肺気腫、ネフローゼ症候群、肝硬変、緑内障、白内障、網膜色素変性症、重症筋無力症、進行性筋ジストロフィー、関節リウマチ、人工肛門、人工膀胱、鬱病、統合失調症など、多種多様な病気・症状の人が認定されています。

定年退職後に再雇用される場合は、少なからぬ給与ダウンを覚悟しなければなりません。しかし、そうした人には雇用保険の“お助け”制度があります。「高年齢雇用継続給付」といって、60~64歳の賃金が60歳到達時の75%未満まで下がってしまった場合に、新たな賃金の15%を上限として雇用保険から給付金が受け取れるというものです。

例えば、定年退職直前の賃金が30万円、再雇用後の賃金が18万円(退職時の60%)とすると、月額2万7000円(15%)が支給されます。支給額には上限があり、新たな賃金と給付金の合計額が36万5114円(2020年8月1日改定)を超えないように調整される形です。

ただし、この制度は「2025年度に60歳に達する人から給付率を半減させる」方針で、今後は段階的に廃止されます。といっても、廃止を必ずしも悲観的に捉える必要はありません。「『働いたら損』ではなくなる! 制度改正で変わる在職老齢年金の基準額」の回で指摘したように、今後は再雇用者の待遇そのものが改善されていくとみられているからです。

定年退職後は時間的な余裕も生まれ、自宅で過ごす時間が増えるのではないでしょうか。「退職金も入ったことだし、自宅をリフォームしようか」と考えたときには、国や居住する自治体の助成金が使える可能性があります。

特に今、国が力を入れている省エネ住宅へのリフォームは、2020年度だけでも「高性能建材による住宅の断熱リフォーム支援事業/次世代省エネ建材支援事業」「長期優良住宅化リフォーム推進事業」など多数実施されていて、種類だけでなく金額も充実しています。

定年を機にマイカーを買い替えるなら、全国で使えるクリーンエネルギー自動車(電気自動車・プラグインハイブリッド自動車・燃料電池自動車・ミニカー・クリーンディーゼル自動車・側車付き二輪・原付二輪)のCEV補助金があります。電動アシスト自転車を購入する際も、自治体によっては購入額に応じた補助金が受け取れます。

定年後の地方移住を検討している方もいらっしゃることでしょう。それなら、移住先の補助金や給付金もチェックしておきたいところです。家賃補助や家を購入・リフォームする際の助成などは序の口で、会員登録すれば県内の企業・団体などによる「暮らし応援隊」から料金割引サービスなどのさまざまなサポートが受けられる(愛媛県)、20万円を上限に引っ越し費用を補助する(大分県臼杵市)といった至れり尽くせりの自治体もあります。

ここまでご紹介してきた以外にも、定年退職後の生活を豊かにする補助金や給付金はたくさんあります。とはいえ、国や自治体は告知こそするものの、該当者を探し当てて案内してくれるわけではありません。あくまで自分で見付け出して、申請する必要があります。
現役の今のうちから、お住まいの自治体のウェブサイトや、個人向けの補助金や給付金の情報サイトを定期的にチェックしておきたいところです。

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著者

森田 聡子 金融ライター/編集者
森田 聡子
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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