「カードローンで借金が…」貯金ゼロ男子の借金返済と投資のバランス
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「カードローンで借金が…」貯金ゼロ男子の借金返済と投資計画

  • 公開日:2020.11.17

Editor's Eye

資産運用にまつわるお悩みにプロが回答するシリーズ。今回は学生時代からのカードローンによる、負債を抱えた相談者が登場。「返済のめども立てたい、でも老後の資産形成が気になるので投資も始めたい」という彼。果たして、その両立は可能なのでしょうか、また両立させる場合具体的にどのようにしたらいいのでしょうか? 相談実績が豊富で「相談者の心情に寄り添う」がモットーのファイナンシャルプランナー森田吉宣さんにアドバイスをいただきました。

【月原大輔(仮名)さんのプロフィール】
25歳、一人暮らし。福岡県在住の会社員、社会人1年目。勤め先は全国転勤もある、いわゆる大企業で、本人は基本的にその会社で定年まで勤め上げることを想定している。会社の福利厚生の一環で新入社員向けに開催されたお金や社会保障のセミナーで自身のマネープランに興味を持つものの、カードローンでの借金がある。

 

【寄せられたお悩み】
「昨今のニュースを見ていると、老後が不安で、今後自分はどのようなお金のプランニングをしていけばいいのかのアドバイスが欲しいです。

老後の資産を形成するには、貯金だけでなく投資なのかと思うものの、私には借金があります。大学時代に自分で生計を立てていたのですが、その時の借り入れが複数箇所であり、その返済に追われている現実……返済にめどを付けつつ、かつ将来のための資金作りなんてできるのでしょうか」

 

【今回の相談ポイント】
①新卒として働き始めたばかりだが、将来、特に老後の資金に対して不安を持っているので、資産運用、投資について知りたい。

②カードローンなどを複数借りており、その支払いも多く月々の生活費を圧迫している。 

【資産状況】
金融資産額:0万円
負債:50万円

<収入>
・毎月の手取り収入:20万円 
・ボーナス込みの手取り年収:270万円 

<支出>
・毎月の出費:約20万円(詳細以下)

 


※1…「会社の補助を受けられる条件の賃貸なので、引っ越すことは考えていません」

※2…「外食費も含みますが、現状はこれ以上削ることは難しそうです」

※3…「学生時代、生活費を自分で工面するなかで、4社のカードローンを借り入れしています」

***

この年齢で将来のことを真剣に考えている月原さん。25歳というと「老後なんてまだまだ」という方も多い中で、素晴らしいことだと思います。借り入れ、つまり負債への対応と老後のための資産形成……その2つについて、お話ししていきます。

では負債から。まず、負債の本質である、金利についておさらいしましょう。借金の金利は投資の利回りとは反対の性質があります。投資の利回りは皆さんに増えたお金を届けますが、借金の金利は皆さんからお金を奪っていくということです。現状の月原さんの、年利平均約15%となると、単純計算で50万円の借金に利息は、7万5000円かかることになります。しかも、4社に渡った借り入れとなると毎月の支払いも複数回に渡り、管理も複雑になります。

それを改善するための方法は2つ。①金利が少しでも低いところに借り換える。②複数ある借り入れを1カ所にまとめる、です。月原さんの場合、銀行のいわゆる“おまとめローン”を活用してローンをまとめ、この2つを同時に叶えるのがおすすめです。返済の負担も圧縮されると同時に口座の残高管理などもシンプルにでき、精神的にもだいぶラクになるのではないでしょうか。

しかしながら、借り入れをまとめても借金自体が減ったわけではありません。そのため今後の返済計画をどうするのかを考える必要があります。ボーナスによる繰上げ返済も検討しましょう。いくら銀行のおまとめローンとはいえ、カードローンより若干お得な金利になるだけで、金利はのちに登場する投資信託で期待できる年率3%(あるいは5%)のリターンよりも高いことは依然として変わりません。金利が高い借金を利用している場合には、借りる期間を短くして、集中して元金を減らしていきましょう。現状は毎月の返済が生活を圧迫しているため、まとめローンにより返済金額を毎月3万円に下げて、さらにボーナスによる繰り上げ返済も加え、来年完済しましょう。

月原さんの場合は、まず借り入れを早期で返済することが重要です。ローンをまとめて、新しく1つにまとまった返済により、今までよりも少なくなった返済額での生活にまずは慣れていくのがいいでしょう。

3カ月、半年と経って慣れてきたら、今せっかくモチベーションを高く資産形成に興味を持っているので、お金に対する勉強の一環として、積立投資を実行することもこれからの人生において重要とも感じます。

一般的には、投資(リターンは3%、よい場合5%)と借金の金利(10%強)差を考えたら非効率なので「まずは完済してから資産運用」というアドバイスも1つの王道なのですが、月原さんのケースは来年で返済のめどがたっており、また、人生を前向きに進めるためにもその非効率は“アリ”と考えます。

たとえば、現状は通信費に1万円かかっていますが、格安ケータイにかえることで数千円をねん出し、そういった“浮いたお金”で小さく投資デビューしてみるのもよいでしょう。

さて、では投資デビューとセットで考えたい、ゴールについてです。

「老後が不安」ということなので、ここでは老後のための資産形成についてお話しします。まずは、月原さんは老後、いくら必要か。月原さんはまだお若く、これからご結婚されるのか、家はどうするかなどいろいろ未確定なことはありますので、平均をベースにしつつ、ざっくりと用意すべき老後資金の計算方法をお伝えします。まず、ざっくりとした計算のベースは、

老後の支出-老後の収入=用意すべき額 です。

一つ一つ要素を解説していくと、「老後の支出」は退職後の日々にかかる生活費です。20代の今、想像することは難しいかもしれませんので、総務省「家計調査報告―家計収支編(2019年)」の数字を見てみましょう。高齢者世帯(夫婦世帯/無職)の消費支出は23万9947円です。24万円としておきましょう。

そして、65歳で退職するとして、そこから何年分の生活費を用意するべきかは、「令和元年簡易生命表」を参考にしましょう。月原さんは25歳、平均寿命を参考に82歳までとしましょう。つまり、24万円×12か月×(82歳-65歳)=4896万円 となります。

さて、老後の収入です。大きく公的年金+企業からのお金(退職金、あれば企業型確定拠出年金)ですが、ここでは月原さんの公的年金のみで計算しておきます。

公的年金は男性の平均給付額が、16万5668円です。16万円として、16×12か月×(82歳―65歳)=3264万円――つまり、4896-3264=約1632万円 は必要となります。

ただ、保険料や税、医療費、介護費用も考えておく必要があります。また月に23万9947円とした生活費も、ここに旅行や趣味という「老後生活の潤い」を考えると、多くの人にとってはプラスαが必要と感じるでしょう。繰り返しになりますが、ご結婚するのか、何年生きるのか、未来は分かりませんが、以上のことを含みおき、目標の1つとして3000万円を目安とされるといいのではないでしょうか。この計算に含んでいない月原さんのお勤めの会社の退職金制度もリサーチしてみてくださいね。

最後に、月原さんが始めたほうがいいのか? と質問された、投資の内容についても解説します。投資には、個別株投資やFX、仮想通貨までいろいろありますが、月原さんのように老後のために資産形成をする場合、お金を育てるという意味で投資信託の積立がおすすめです。

そして、どんな投資信託を選べばいいかについては、指数に連動し、手数料が安いインデックス型、投資対象は海外株式というのが1本目としてはおすすめです。

慣れたら、より分散させるために全世界(オールカントリー)や、日本株式や米国株式に投資しているものを追加するなど、2本目、3本目で投資先を分散させていくとさらによいでしょう。

***

借り入れ、老後の心配……課題もありますが、人はそれだけのために日々の生活をしているわけではありません。将来に対する喜びの種をまいておく必要もあります。25歳の月原さんにとっては、お金を“使う”経験も大切です。今の出費は問題ありませんので、交際費や服飾費などむやみに削るのではなく、楽しく使う部分は使って、投資信託を1つのきっかけにしてお金の勉強も始めて、これからの人生を謳歌してください。



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著者

森田 吉宣 ファイナンシャルプランナー
森田 吉宣
東京海洋大学を卒業後、保険代理店を経て、外資系保険会社で保険代理店への営業担当として11年従事ののち、2018年3月独立。現在は自分自身が将来の経済的な不安を軽減させた実体験を元に、FPとしていかにお金の不安がなくせるのかの相談を受けている。また、水産の知識とキャリアを活かし、持続可能な漁業を行うための活動も行っている。

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