「教育資金は投資で貯めてもいい?」子育て世代の悩みにFPの回答は?
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「教育資金を投資で貯めたい」子育て世帯の相談にFPの回答は?

  • 公開日:2020.11.26

Editor's Eye

資産運用にまつわるお悩みにプロが回答するシリーズ。今回は子育て真っ盛りのファミリーが登場です。「教育資金を投資で準備するのはあり?」というご相談です。また、加入中の保険についても「入りすぎているかもしれない」と、懸念しているご様子です。自身も高校生と大学生の母で、また損害保険会社に長年勤めたキャリアを持つFP(ファイナンシャルプランナー)小沢美奈子さんに回答していただきました。

【星野 智子さん(仮名)のプロフィール】
40歳の専業主婦。メーカーに勤める夫と8歳・6歳の子供の4人家族。埼玉県在住。

【寄せられたお悩み】 
「2人の子供のための教育資金を貯めたいです。貯金自体ができておらず、どうやって貯めたらいいか分からないでいます。投資で貯めようかとも思っているものの、その始め方も分かりません。保険に入り過ぎているような気がするので、その点も含めて整理してほしいです」

【お悩みの論点】
①教育資金を貯める適切な方法を知りたい
②投資は未経験だが、投資で教育資金を貯めてみたい
③保険の見直しもしたい(学資保険の医療特約が気になる)

【資産状況や月々の収支内訳】
世帯の金融資産額:500万円
内訳
預貯金:500万円(学資保険も含めた総額)

収支
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:40万円  
・手取りの年収:600万円  
<支出>
・毎月の支出:約40万円(詳細以下)


※1……「住宅ローンを返済中です」

※2……「6種類の保険に入っています」

<加入中の保険内訳と月々の掛け金>
夫:定期特約付き終身保険1万2000円(終身と定期保険)
夫:医療保険1万円
相談者:医療保険8000円
学資保険①:2万3000円(医療保障あり)
学資保険②1万5000円(医療保障なし)
自動車保険:5000円

※3……「残ったお金を貯金に回しています。また旅行代や家電の買い替え費用は、ボーナスから出しています」

***

教育資金のご相談は、お子さんのいらっしゃるご家庭で永遠のテーマとも言うべき内容です。今回ご相談の星野さんは「貯金自体ができていない」と不安に思われているようですが、現在の収入や預金額から見ても、十分に貯まっていると思います。そこは自信を持ってください。さらに効率的に貯めるにはどうしたらいいか、考えてみたいと思います。

「教育資金を貯める適切な方法を知りたい」という星野さん。まず覚えていただきたいのは、「教育費は将来、必ず出ていくお金」であるという特性上、大部分は元本割れのない商品で貯めていくことです。それを理解した上で、教育資金を貯める場合は、銀行の定期預金や勤務先を通して加入できる財形貯蓄制度、学資保険といった元本割れのない(少ない)商品で貯めていきましょう。

星野さんは既に学資保険に入られているようですね。学資保険の一番のメリットは、口座振替で強制的に学費を貯めることができるという点です。一般的に学資保険は、返戻率が100%を上回る商品に加入することが基本ですが、その点がクリアできているようでしたら、このまま続けると良いと思います。なお、返戻率は、受け取る保険金の総額(満期保険金+祝金)を支払った保険料の総額で割って出た数字に100を掛けて出すことができます。

返戻率が100%を上回れば、支払う保険料より受け取る保険金の額の方が多いことを意味し、100%を下回る場合は、支払う保険料より受け取る保険金の額が少ないことになります。

一方、星野さんは毎月「残ったお金を貯金」しているとのことですが、その方法だと安定的に貯めることができなくなってしまいます。今後はぜひ強制的に貯められる仕組みを作りましょう。給与天引きができる財形貯蓄や、銀行の積立定期預金などがぴったりです。

銀行の定期預金や財形貯蓄制度は元本割れの心配がない一方で、昨今の低金利時代においては、増やすことがほぼ期待できません。その点を踏まえると、「投資で教育資金を貯めてみたい」という星野さんのお考えに筆者自身は大賛成です。ただし、投資は元本保証がないため、始める際はその点をしっかり理解してからにしましょう。また、投資は価格変動が必ず生じるため、投資で教育資金を準備する額は、教育費全体のうち2割くらい、多くても4割程度に抑えておくことをおすすめします。

さて、どんな投資商品で貯めたらよいのでしょうか。リスクを分散できるという観点からすると、おすすめなのは投資信託です。投資信託は、投資家から集めたお金を、運用の専門家が株や債券など複数の商品に分散投資をしてくれる商品です。個別株での投資に比べると、リスクを低く抑えられるメリットがあります。

投資信託で運用する際に重要なのが、商品選びと、どの「器(うつわ)」を使って運用するかという2つのポイントが重要になってきます。商品選びについては、投資初心者でしたら、次の3つの基準を満たしている商品を目安に選んでみてください。

①インデックス型のファンド……インデックス型はアクティブ型より値動きの幅が緩やかなため
②販売手数料がゼロ……手数料はできるだけ低く抑えたいため
③信託報酬は0.1%台が理想的。高くても0.2%台……商品を保有している間に自動的に引かれるコストは低く抑えること。リターンを大きくするために重要

上記のほかにも、過去の実績を見比べて、リターンが高くかつ純資産残高が順調に伸びている商品を選ぶと良いと思います。

次に投資商品を運用する「器」について考えてみます。運用益に対して非課税で、かつ資金の引き出しがいつでもできる点からしても、教育費を貯めるならつみたてNISAが向いているでしょう。

つみたてNISAなら、積み立て式で投資信託を買い付けることにより「時間の分散」を図ることができる上に、最大20年間まで器を利用できるという点で、「長期投資」も実現できます。ちなみに、リスクを下げるための1つの方法として、投資は短期ではなく長期で行うことが有効だと言われています。

教育費を投資で貯める際は、つみたてNISAという税制優遇のあるお得な「器」の中で、リスクを抑えながら長期的な視点でお金を成長させることがポイントです。さらに言えば、教育費として使わなかった分は、老後資金として使うことも可能なのが、長期の資産形成を目的とするつみたてNISAの嬉しい点です。

一方、NISA制度のひとつに「ジュニアNISA」もあります。ジュニアNISAは、親や祖父母が運用管理者となって、子ども名義の口座の中で投資をする仕組みです。ジュニアNISAも運用益に対する税金がかからない制度ではありますが、気を付けるべき点があります。まずジュニアNISAは2023年の投資枠をもって、終了する予定となっている点です。つまり、ジュニアNISAでは長期投資ができないということです。なお、ジュニアNISAの制度が終わっても、その時点で投資済みの商品は一定の範囲内で20歳まで非課税で保有ができるようになっています。

次に注意すべきが、子どもが18歳まで(厳密には3月31日時点で18歳である年の前年12月31日までの間)は、原則払出しができないことです。たとえば早めに入学金の支払いが生じた場合には、ジュニアNISA口座で貯めたお金が使えないということもあるのです。ただし、災害等やむを得ない事情があれば、例外的に非課税での払い出しができます。

このようなことから、現行法では20年間運用ができて、かつ、いつでも引き出せるつみたてNISAの方が、教育費の備えでは向いていると言えます。

「保険の見直しもしたい」とのこと。「保険に入り過ぎている」とのご心配もあるようですが、収入などを総合的に見て筆者が判断した限りでは「入り過ぎている」という印象は受けませんでした。

気になる点を挙げるとすれば、上のお子さんが加入されている学資保険の付帯されている医療保障についてです。学資保険に付いている医療保障は、返戻率を下げる要因となることが多く、しかも、公的な医療費の助成制度が整っている子どもにとって、わざわざ民間の保険で医療保障を付ける必要性はあまり高くないと言えます。

もし、どうしてもお子さんの医療面で備えをしておきたいのであれば、割安な掛金で幅広い保障が得られる共済を選ぶ方法もあります。その点を考慮しながら、医療特約を続けるか続けないかのご判断をされると良いと思います。続けない場合は、特約のみの解約をすることになります。

***

教育費の先には、夫婦の老後資金をどうするかという問題もあります。先述の通り、つみたてNISAを利用して長期的に投資をすることで、教育費と老後資金の両方を貯めることができます。

今回のお話しした内容が星野さんならびに教育費の貯め方を知りたい皆さんのお役に立てることを願っています。

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著者

小沢 美奈子 ファイナンシャルプランナー
小沢 美奈子
K&Bプランニング代表。大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。ファイナンシャルプランナーとして活動開始後はWebや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。シニアや生活困窮者のライフプランにも力を入れる。フォトライターとしても活動。趣味はカメラ。

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