自分の財産、把握できてる?お金周りの“アカウント”断捨離のススメ
「R50」の新常識 余裕の老後は知識で築く! 13

自分の財産、把握できてる?お金周りの口座・契約“断捨離”のススメ

  • 公開日:2020.11.27

Editor's Eye

人生100年時代において、50歳はまだまだ折り返し地点。特に、これからの時代に必要になってくるのは「働きながら年金をもらい、資産を上手に使う」という発想です。単に貯めるだけでなく、リタイア後のお金の準備も始めておきたい「R50」世代に向けて、長年マネー誌、ビジネス誌の編集に携わり、年金関連の取材・執筆を多数手掛けてきたフリーライターの森田聡子(としこ)氏が解説するシリーズ連載。第13回では、クレジットカード・ポイントカードや銀行・証券口座など、お金周りの“アカウント”の整理についてご紹介します。不要なのになんとなく解約せずに残している口座・契約が多いと、必要な財産を把握できなくなるのだといいます。

2018年1月から施行された休眠預金等活用法により、2019年1月以降に発生した休眠預金(10年以上出し入れのないまま放置されている預金口座)は、名義人から没収し、民間における公益活動の資金として使っていいことになりました。

残高が1万円以上ある口座については、音信不通のまま9年が経過した後に金融機関から郵送やメールでの確認が届き、それが宛て先不明で戻ってこなければ、休眠預金として扱われずに済みます。しかし、1万円未満の口座はこうした確認が行われず、そのまま没収されます。

また、最近は長引く低金利の影響で、金融機関の中にも不稼働口座から手数料を徴収する動きが出てきました。今のところは新規開設口座が対象ですが、これが既存の口座に広がる可能性もないとは言えません。

要は、使っていない口座は早く解約すべきなのです。

口座だけではありません。年齢を重ねるにつれ、クレジットカードやポイントカードなどが増えてきますが、よくよく見れば何年も使っていないものも多いのではないでしょうか。

会社を離れて時間的余裕ができたときにまず着手したいのが、こうしたお金にまつわる各種アカウントの“断捨離”です。

経験者の方はお分かりでしょうが、金融機関やカード会社とやり取りして口座やカードを解約するのは、それなりに手間がかかります。そして、高齢になればなるほど、こうした手続きを負担に感じる度合いが強まるものです。

しかし、そのままにしておけば、将来自分の相続が発生した際に子どもたちが代わって手続きすることになります。第三者による手続きは必要書類も増え、本人が行うよりさらに面倒です。その点、離職の直後であれば手続きに関わるビジネススキルも健在ですから、問い合わせや書類の記入なども短時間でスムーズにいくはずです。

では、具体的にどんな断捨離を行えばいいのでしょうか。

最優先事項は、金融機関の口座の整理です。何年間も利用していない口座は解約の手続きを取りましょう。その際に注意したいのが、残高が0円の口座です。「お金が入っていないのだから、放っておいて構わないだろう」とお考えになる方が多いようですが、口座としてはしっかり残っていますから、放置しておけば相続の際に手続きが必要になるのです。

特に気を付けたいのが、現役時代に転勤族だった人や、海外赴任の経験がある人です。赴任先の金融機関で開設した口座をそのままにしてはいないでしょうか? 地方の金融機関だと都内に支店がないことも多く、郵送でのやり取りとなるため、メガバンクや大手地方銀行以上に手続きに時間がかかる可能性があります。

海外の場合はさらに厄介です。国や州によって事情が異なりますが、以前、取材で伺った話では、米国に口座を残してきた人が弁護士を立てて手続きをしたところ、先方の対応が遅いこともあって解約まで半年近くを要したそうです。しかしこちらも、面倒だから、喫緊の必要性はないからといって放っておくと、とんでもない相続の手続きが待ち受けています。

例えば米国の場合、相続には裁判所による「プロベイト(Probate)」という検認手続きが必要になります。相続が発生すると、故人の財産は独立した「エステイト(Estate)」と呼ばれる遺産財団の一部となります。財産の帰属先を相続人に変える手続きを行うのは、「パーソナル・リプリゼンタティヴ(Personal Representative)」と呼ばれる代理人で、裁判所から任命されたパーソナル・リプリゼンタティヴが財産や相続人の調査や確定、米国での確定申告などを行います。

その後、裁判所の許可を経て遺産が分配されるまで、長い場合は3年ほどかかります。さらに発生する費用についても、海外の弁護士や会計士などの専門家が関与するため、数百万円に上ることもあると言います。

いかがでしょうか? ご自分の死後、子どもたちにこのように大きな負担をかけたくないのであれば、多少面倒でも、今のうちに片を付けておくのが無難かと思います。

死後のトラブルとしてよく聞くのがネット証券の口座です。売買内容によっては、ウェブ上だけで取引が完結するものもあります。取引報告書などが郵送されなければ、家族はその人がネット証券で取引していることに気付きません。もしもご本人が事故や脳疾患などで急死し、パソコンのパスワードも分からないという状況が生じたら、ネット証券での取引は相続財産の調査で見逃されてしまう可能性が大です。

退職後は時間的な余裕も生まれますから、ネット証券で資産運用をしたいと考える方も少なくないと思います。その場合は、前述のような事態を避けるために、パソコンのパスワードやネット証券などのID、パスワードをノートなどに書き留めておき、自分に万一のことがあっても、家族に分かるようにしておくべきでしょう。

クレジットカードの中には、年会費を徴収されているのにほとんど使っていないというものが含まれているかもしれません。心当たりのある方は、退職を待たずにすぐに解約しましょう。クレジット機能を付加したポイントカードも、現金利用が多いのであれば、クレジット機能を外しても不自由はないはずです。

退職後はメインのカードとサブのカードの2枚をキープしておけば十分かと思います。ご自身のライフスタイルやポイントの活用を考えながら、使い勝手のいい2枚を選んでください。

PayPayやLINE Payなどの電子マネーも、よく使うものに集約していくといいでしょう。これらは相続財産となり、払い出しに応じてもらえます。日本航空(JAL)や全日空(ANA)のマイルポイントはそのまま相続することも可能ですが、いずれもネット証券同様、どの電子マネーやマイレージを使っているのか、家族に分かるようにしておく必要があります。

“お金のアカウント”の断捨離は、ご自分の財産を「見える化」することにつながります。

セカンドライフのスタートに当たり、財産の全体像を把握しておくことは大変重要です。時間があればあったで「明日やろう」「来週になったらやろう」と先延ばししがちですが、退職後なるべく間を置かずに取り掛かることをお勧めします。

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著者

森田 聡子 金融ライター/編集者
森田 聡子
日経ホーム出版社、日経BP社にて『日経おとなのOFF』編集長、『日経マネー』副編集長、『日経ビジネス』副編集長などを歴任。2019年に独立後は雑誌やウェブサイトなどで、幅広い年代層のマネー初心者に、投資・税金・保険などの話をやさしく、分かりやすく伝えることをモットーに活動している。

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