NISAで投信400万円を運用―売却、ロールオーバーetc. 出口戦略は?
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NISAの出口戦略「選択肢、ありすぎ…」―制度のおさらいと2つの判断基準

  • 公開日:2020.12.24

Editor's Eye

資産運用にまつわるお悩みにプロが回答するシリーズ。今回は、一般NISAで3年間順調に投資信託を積み立てし、400万円を運用中の男性が登場。一般NISAは非課税期間が5年ということで、2017年に投資した枠は来年非課税期間終了を迎える……。そんななか、売却して利益を確定すべきか、運用し続けるかで迷っていると言います。意外にあっという間にやってくる5年。出口戦略はどう考えて、どう決断すればいいのでしょうか? 証券会社でのキャリアを持ち、今回の相談者のような“1人社長”の資産運用相談の実績も豊富なファイナンシャルプランナー野原 亮さんに解説をいただきました。

【武田 徹(仮名)さんプロフィール】
38歳、千葉県に妻と2人の子供と暮らす。長年勤めた会社から最近独立し、1人社長のプログラマーをしている。
システムエンジニアの前職時代、職場の同僚に教えてもらったことがきっかけで、3年前に一般NISAで投資信託の積立を始めた。妻は現在、専業主婦をしているがいずれ復帰の予定。時間のゆとりがある今のうちに、資産運用について考えたいと思っている。

【寄せられたお悩み】
「2017年から一般NISAで積み立ててきた投資信託を売却したほうがいいのか、一般NISA非課税期間終了が来るまで待ったほうがいいのか悩んでいます。コロナショック後の株式の急回復、続伸する様子をみて、下がらないうちにいったん利益を確定したい気持ちもあるし、まだ手放すのは早いのではと迷います。選択肢が多すぎて、どうしたらいいか分かりません。来年にはつみたてNISAに切り替えたほうがいいのかも悩みどころです」

【お悩みの論点】
①一般NISAで保有している投資信託が下がった時のことが不安。いったん利益を確定させるべき?
②保有し続けるにしても、一般非課税期間終了になった時の対応方法がいまいち分からない

世帯の金融資産額:950万円
内訳
預貯金: 400万円
投資信託: 400万円(NISA口座内で運用中)
※世界株式が投資対象のファンドと、世界株式と世界債券が投資対象のバランスファンドの2種を保有。
株式:150万円

収支
<収入>
・毎月の手取り収入:50万円
・手取りの年収:600万円

<支出>
・毎月の出費:約44.5万円(詳細以下)

 

***

1人社長としてバリバリと働く武田さん。前職時代に積み立てを始めた一般NISA口座で運用する投資信託をどうしたらいいか、ということですね。

個人型確定拠出年金(iDeCo)にも加入し、月に6万8000円も積立をしていることもあって、一般NISAで保有する投資信託はいったん利益確定して安心したいという思いを抱くのも理解できます。今回は一般NISAで保有している投資信託の「出口」について、回答していきます。

2020年現在の一般NISAは、非課税の投資枠が毎年新規で120万円まで付与され、枠内の投資額に対してはどんなに利益が出たとしても5年間はその売却益には課税されない、少額投資専用の非課税制度です。

ただ、NISA制度は恒久化されておらず、新規口座開設は2023年まで、非課税での運用年限は2027年までの時限的な優遇制度です(制度改正によって、2024年、“新NISA”に衣替えすることがすでに発表されていますが、今回の解説は現行の一般NISAにとどめます)。

一方のつみたてNISAは2042年まで口座を開設でき、非課税期間も最長20年間と長くなっていますから、今後も長期積立投資を継続していきたいのであれば、つみたてNISAの利用をおすすめします。ただし、一般NISA内で購入した投信などを、翌年からのつみたてNISA口座に移管することはできません。来年からつみたてNISAを始める場合には、もし同じ商品がつみたてNISAの対象であれば同じ商品でもいいですし、なければ別の商品で新たに積立を始めることになるわけです。ただし、一般NISAとつみたてNISAは同じ年にどちらかを1人1口座しか作れませんから、その際には一般NISAでの積立は停止する必要があります。

つまり、もし翌年からのつみたてNISAの利用が前提になるのであれば、すでに一般NISAで積み立てた投信をどうするのかが次の問題になります。その場合の選択肢は3つで、どこかのタイミングで①売却するか、②特定口座などの課税口座に移管するか(以下、特定口座のみについて取り上げます)、あるいは③一般NISA内で満期まで運用し続けそこで終了するかです。③のケースでは、非課税期間の5年終了時に移管日(年内最終営業日)の時価(終値)を取得価額として、自動的に特定口座に払い出される仕組みになっています。

非課税期間の終了時まで投信を持ち続けた場合、移管時の取得価額がいくらになるかはマーケットの影響を受ける以上、もちろん予測不可能です。移管時に取得価額が想定以上に低くなってしまっては、NISAを活用してきた意味も薄れてしまいます。

そんな前提を踏まえ、ここからは、現状の一般NISAで運用する投信をどんな考えに基づいて、どうするのか? 2つの判断基準を基に解説していきます。

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著者

野原 亮 ファイナンシャルプランナー
野原 亮
確定拠出年金創造機構代表。明治大学政治経済学部経済学科を卒業後、証券営業・株式ディーラー・営業コンサルティング会社を経て、2016年にFPとして独立。中小企業の確定拠出年金を中心とした福利厚生の社外担当として活動。上場企業等の金融研修なども担当している。証券外務員1種、企業年金管理士(確定拠出年金)、公的保険アドバイザー。著書に「1時間でわかるiDeCo~50代から始める安心投資」(技術評論社)。

参考サイト
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