「金融緩和」とは? いつまで? コロナ下で考える景気や株価への影響
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「金融緩和」とは? いつまで? コロナ下で考える景気や株価への影響

  • 公開日:2020.12.09

Editor's Eye

金融緩和とは、日銀が行う景気回復のための代表的な政策の一つだ。金利を下げて、市中に出回るお金の量を増やし、企業の投資や個人の消費を刺激することで景気の回復を促す狙いがある。その金融緩和がコロナ下で長期化する可能性があるとの黒田東彦日銀総裁の発言が耳目を集めている。金融緩和が長期化すると、私たちの資産運用にどのような影響があるのか。ファイナンシャルプランナーの吉田祐基氏が解説する。

新型コロナウイルス感染による影響の拡大を踏まえて、2020年3月16日に日本銀行は「金融緩和」の強化を発表した。そして2020年12月現在、コロナウイルスの感染が再度広がるなか、現行の金融緩和政策も長期化すると予想されている。

今回のコロナ下で、メディアなどで見聞きする機会がさらに多くなったこの「金融緩和」という言葉。金融緩和を行うことは、なぜ景気の回復につながるのか。その仕組みはもちろん、景気への影響について解説していく。

金融緩和を簡単に説明すると、日銀が国債を買い上げたり、政策金利(民間の銀行に融資する際の金利)を引き下げたりして世の中に出回るお金を増やすことを指す。国内の景気が悪化した際に、底上げを期待して実施される金融政策だ。

金融緩和を行った結果、銀行は貸し出しに回せる現金が増えるだけでなく、融資の際の金利も下がることで、企業や個人はお金を借りやすくなる。

資金を確保できれば、企業にとっては新規事業や設備への投資が増え、さらなる業績拡大につながる可能性が高まる。その結果、外部への支払いや従業員に支払う給料が増えれば、個人の消費も進むことが予想される。また個人にとっても、例えば住宅購入においては金融緩和が住宅ローン金利の引き下げにつながり、融資額や返済面で有利になることもある。

企業の設備投資や個人消費が進み、経済活動がより活発になると、景気は上向くと一般的には考えられている。これが、金融緩和によって景気が回復するまでの一連の流れだ。

今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響に対応するため、日銀は企業の資金繰りを支援するとともに金融市場を安定させるための政策を行った。

具体的には、以下の3つの政策を行うと決定した。

①積極的に国債を買い入れ、円資金の潤沢な供給に努める
②民間企業の債務を担保に金利0%で資金提供を行い、社債などの買入枠を増加させる
③ETF・J-REITを積極的に買い入れる

まず①を行うことで、世の中に出回るお金の量を増やした。そして②により、企業の資金調達をサポート。最後の③については連載第1回目の『実体経済悪化でも株価は上がる不思議な現象と「日銀ETF買い」の関係』でも紹介したが、個人投資家の不安を緩和し、投資を促すことでコロナショック後の市場反発に大きく寄与したと言われる。

前述したように企業の投資や個人の消費を促す狙いだけでなく、株価の下支えなど投資家にとっても影響はあるわけだ。

日銀は10月29日の金融政策決定会合で、前述した大規模な金融緩和策と新型コロナウイルス感染拡大を受けた企業への資金繰り支援を継続すると決めた。

背景には、コロナの長期化が予想されることがあると言われている。事実、日銀が公表している「展望レポート」によると、2020年7月時点では今年度のGDPの伸び率は前年と比べてマイナス4.7%としていたが、10月にはマイナス5.5%へと引き下げた。つまりコロナの長期化を見据えて、見通しを下方修正したわけだ。そして経済の回復についてはあくまでも長丁場になるとの見通しで、来年度からプラスに転じるとの見解を示している。

コロナショックが起こった2020年3月を基準に見ると、日本経済は回復へと向かいつつあると言われる。一方で、GDPの伸び率の見通しが引き下げられたわけだから、まだまだV字回復とは言えない状況が続くのだろう。2020年12月現在、1日の感染者数が全国で2000人を超える日もあるなど第3波の襲来とも言われているなか、現在の金融緩和政策はある程度長期化しそうだ。

なお、連載8回目の『議長の発言で株価や為替相場も動く! FRBとはどんな機関か』でも紹介したが、日銀の米国版であるFRB(The Federal Reserve Boardの略称/連邦準備理事会)は少なくとも2023年末まではゼロ金利政策をはじめとする金融緩和を維持する方針を表明している。日銀の黒田東彦総裁も金利を引き上げるのは2021年度や2022年度でも遠い気がすると発言しており、FRBと同様、2023年以降も現在の金融緩和政策は継続するかもしれない。

日銀の動向次第では、株式市場が動く可能性もあるわけだが、とはいえ将来の予想は難しい。そのため、やはり長期の資産形成においてはリスクを抑えられるような長期・分散・積立の運用が望ましいと言えそうだ。

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著者

吉田 祐基 ライター・編集者
吉田 祐基
各種金融系情報誌の編集・執筆業務を行うペロンパワークス所属。AFP/2級FP技能士。大手不動産情報サイト編集記者を経て入社。株・投資信託、保険などの編集・執筆を担当。

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