「タダでできる」は大間違い! 本気のマネープランはプロとの協業で手に入る
LA在住FPが綴る、金融大国アメリカのリアル 4

自己流は遠回り!? 本気のファイナンシャルプランはプロとの協業で手に入る

  • 公開日:2020.12.21

Editor's Eye

日本において、目に見えない「アドバイス」にお金を払うということに抵抗感のある人は少なくないでしょう。資産運用に関して言えば、ネットに情報は溢れ、無料相談を受けられる機会もあります。それでもお金を払ってプロに頼る意味とは? ヒントは“サービスの活用が上手い”クライアントの方々の姿にあるのではと、LA在住FP岩崎淳子さんは言います。そんなファイナンシャルプランニングの現場の様子を綴っていただきました。

私はアメリカで日本語を話す方を対象に、ファイナンシャルプランナーとしてサービスを提供させていただいています。この仕事にやりがいを感じる反面、プラニングという“目に見えないもの”に対してお金をいただくということに大きな責任を感じます。ロサンゼルス近郊にお住まいだと稀に実際にお会いしてのミーティングもありますが、アメリカ全土を対象にしているため、お客様はニューヨークからハワイまでいらっしゃいます。そのため基本的にZoomを使ってのオンラインで進めていきます。事務所のレンタル料もなければ、大がかりな設備もいらない自宅一室での弱小ビジネスです。

とはいえ、職業ライセンスやビジネス関係の登録維持、財務ソフトやアウトソースの業務ヘルプなどを含めると、それなりのコストになり、結果、時間給でいただいているプラニング料金(料金例は後述)もそれなりの額になります。

「日本人はサービスにお金を払わない」とよく聞きます。

私たち夫婦自身のことを考えても当てはまるように思います。先日、キッチンシンクの下で水漏れが発覚しました。「オレが見てみる」と夫。ところが、一体どこから漏れているのかが特定できません。あちこち緩めたり締めたりするものの、ちっとも直らない。時間ばかり掛かり、しまいには二人とも機嫌が悪くなる……結局プラマー(配管工)を呼ぶことになりました。「ああ、こんなことならば最初からお願いすればよかった」と思いつつ。

今のインターネット時代、オンラインでハウツー情報や親切な動画などもありますから、案外何でもできそうにも思うけれど(『水漏れ』と入力し検索するだけで、修理のハウツーのページはたくさん出てきますよね)、やはり実際の経験がないと簡単にいかないこともたくさんある。そして、情報はたくさんあるけれど、関連性の高く質の良い情報を見極めることはなかなか難しくもあります。また、情報を集めてやろうとすればできなくはないが、そんな時間があるならば、他のことをして過ごしたほうが自分らしい生き方かもしれないとも感じたのです。それは水漏れしかり、そしてファイナンシャルプランニングもしかり――と。

とはいえ、モノを買うのと違って、後に物理的なものが残らないサービスにお金を出すということは案外勇気のいることだというのもよく理解できます。

私は、完全にクライアントの利益だけを考え、中立的な立場を貫くため商品を販売しませんので、結果として残るものは将来への計画とそれに伴う決断のみです。お客様の側からすれば「納得する決断」とそれに至る過程での「考え方」にお金を払っているわけです。

アメリカにおけるファイナンシャルプランナーのお金の稼ぎ方には実はいくつかのパターンがあります。

一つ目はコミッション型。これは最も古くからあるタイプで、投資ファンドや保険契約など金融商品の販売によりコミッション(手数料)を得るタイプです。私はセールストークが苦手できっと無理だろうとはじめからあきらめました。

それからAUM型。これはAsset Under Managementといって、投資マネージメントを引き受け、その引き受けた投資総額に対して年間1%などの手数料を課すものです。誰でも簡単にできるインデックスファンド投資で多くのニーズが満たせる昨今、自分が付加価値のある投資マネージメントを提供できる自信がなく、これも排除。

そこで行きついたのが、現在の時間給タイプです。完全にクライアントの立場に立ち、バジェット管理(家計管理)、投資、保険、リタイヤメント計画、税金、家の購入などなど、ファイナンシャルプランに関わる要素に関し、包括的なアドバイス“だけ”を売ります。

いろいろお手伝いさせていただいていて、「サービスを使うのが大変うまいなあ」と(僭越ながら)感心するお客様がいらっしゃいます。まず、サービスを使う気風のよさがあります。決して安くはないプラニングサービス※1ですが、ポンとお金は出し、その代わり、やるからにはそれなりのものを自分が得ようという意気込みがあります。
※1編集部注……例えば「Package Service」という、包括的ファイナンシャルプラニングのパッケージは$1500~提供されています。

まずプランニングは家計に関する情報整理から始まりますが、時間をかけて整理し、きちんと現状を把握します。多くの人にはこれが案外、乗り越えるべき最初の壁でもあります。今まで整理してこなかった、あるいは、なんだか現状と向き合うのが怖いという複雑な心境もあるでしょう。でもこれを乗り越えた後は、「ああ、本当にやってよかったです」という声がよく聞かれます。この一歩を踏み出すのが大切に思います。

それから情報を整理し、問題や将来への希望を伺っていき、お客様の状況を鑑みつつ、様々な選択肢の長所と短所をわかりやすく整理するのが私の仕事です。考え方の説明などをさせていただいて、「あ、それは知っています。ブログ※2で読みました」と言われる方も多いです。私は、アメリカのパーソナルファイナンスに関する情報提供ブログを運営しているのですが、それをよく読んでくださり、基本的な知識を学んでくださっているのです。
※2編集部注……アメリカで暮らす方々を対象にした、パーソナルファイナンスの情報共有サイト「Smart&Responsible」内で更新されています。

ブログについては、「ここまでの情報をよくタダで掲載しますね」とよく言われます。でも考えてみればブログの記事は基本情報で、それをそれぞれ個々のケースにどう適用するか、どう組み合わせるかというところがプランナーの腕の見せ所だと思っています。

お客様がすでに基本的なことを勉強しておられると、適用・応用の説明もスムーズで、クライアントとプランナーの“協業”の醍醐味みたいなものも感じます。

こういうお客様は「金融機関へ行けば無料で商品の説明はしてくれるし、保険屋さんに行けば何でも教えてくれるけど、それらは本当に自分のベストのものなのか、今一つ納得がいかない」と考えています。商品ありきではなく、自分たちの家計がまずあり、それにあった考え方とその先にある商品を探しておられると感じます。

投資は投資、保険は保険と切り分けず、家計の全体像をとらえ、バランスがよく、そして抜けのないパーソナルファイナンスの仕組みをどう作るかを真剣に考え、様々な決断をしたあとで最後にニーズに合った商品を選ぶという順番です。

ファイナンシャルプラニングは、それぞれの家庭のストーリーです。家族がどんなで、今の状況がどんなで、将来はこんなふうにお金を使うことになる……。いつもそんなオンリーワンのストーリーを描きつつ、それぞれのご家庭に合った仕組みを作り上げていくのです。それが上手くいったとき、最後によく聞かれる言葉は「ああ、本当にすっきりしました!」です。考え方に整理がつき、どう進むべきかの決断に納得をすることができたということなのかと思い、お手伝いできてよかったと思うのです。

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著者

岩崎 淳子 ファイナンシャルプランナー
岩崎 淳子
「Smart & Responsible」代表。 マーケティング戦略やアナリスト業務を経験した後、2000年に夫の転職を機に米バージニア州へ移住。子育てをしながら米国公認会計士、パーソナル・ファイナンシャル・スぺシャリトに合格。日本と全く異なるアメリカのシステムに戸惑った経験をベースに、個人向けファイナンシャルプラニングの情報提供サイトを立ち上げる。大金持ちでないからこそのプラニング・バランスのとれた家計システム・人任せにせず自分で考える姿勢をモットーにプラニングサービスを提供中。聖書をこよなく愛するクリスチャン。現在は米カリフォルニア州在住。著書に『お金が勝手に貯まってしまう 最高の家計』(ダイヤモンド社)。

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