投資信託の価格はいつ確認し、どのタイミングでリバランスすべき?
篠田尚子のファンド愛 11

投資信託の価格はいつ確認し、どのタイミングでリバランスすべき?

  • 公開日:2021.01.12

Editor's Eye

2020年の株式相場はコロナショックの下落こそあったものの、年間では米国を中心に大きく上昇したため、現在は含み益を抱えている投資家が少なくないだろう。資産運用のセオリーとして、こうした上昇後はリバランスをして資産の偏りを修正すべきと言われたりもするが、では、具体的にどうやって、どのタイミングで行うべきなのか。ファンドアナリストの篠田尚子氏が、そのベースとなる考え方を提示してくれた。

コロナに始まりコロナに終わった2020年。2~3月の相場急落時にはさらなる大暴落を懸念する声が強まり、日経平均株価は一時2016年以来の安値をつけた。

しかし、その後、米国を中心に文字通り「V字回復」を遂げたことは周知の通りである。米国の大統領選挙は市場の予想に反してあっさりと勝敗が決まり、また、新型コロナウイルスのワクチン開発進展の報道も相まって、特に11月以降、世界の株価は大きく反発した。米ナスダック指数の年初来騰落率は40%を優に超え、日経平均株価もバブル崩壊後の高値を更新するなど、新型コロナウイルスの感染再拡大に世界が戦々恐々とする中でも株価は上昇を続けた。年間を通してこれほどまでに大きな下落と上昇を経験する年も、珍しかったと言えよう。

iDeCoやつみたてNISAを通じて積立を行っている投資家の多くは、年後半にかけて含み益が膨らんでいく過程を確認できたのではないだろうか。誰しも、保有する投資信託が値上がりしているのを見るのは気分がよいものだ。一方で、2021年以降の反落が怖いと感じている投資家も少なくないだろう。

このように、短期間のうちに相場が大きく動くと、「リバランス」の必要性について質問を受ける機会が増える。

リバランスとは、相場変動によって変化した資産の配分比率を当初の状態に戻す作業のこと。特定の資産(ファンド)が値上がりして配分比率が高くなると、必然的にその資産のポートフォリオにおける影響力が大きくなる。そこで、上昇した資産を売り、比率の低下した資産を買い増すことで資産配分を元の比率に修正し、同時にポートフォリオ全体のリスクも当初の水準に戻すというわけだ。

リバランスの前提にあるのは、「運用の軸」となる基本ポートフォリオである。年金基金などのいわゆるプロの投資家の世界では、中長期的な目標リターンと想定リスク水準を決めた上で基本ポートフォリオを策定し、その基本ポートフォリオに基づいて運用を行う。

リバランスは、追加的なリターンの獲得ではなく、あくまでもこの基本ポートフォリオの維持を目的として実行するものなのである。したがって、基本ポートフォリオを策定していない場合は、まず、後述する基本ポートフォリオの原型を作るところから始めてほしい。

近年は米国株式の「一本足打法」状態で積立を行っている投資家も多いが、2021年以降の調整局面を警戒するのであれば、積立による時間分散だけでなく、ポートフォリオ構築による資産分散も同時に実践したほうがよいだろう。

話をリバランス実行のタイミングに戻そう。

相場が大きく動いたからといって、即座にリバランスをしたほうがよいかというと、必ずしもそういうわけではない。第一に、プロの投資家の世界では、相場転換のシグナルの検知など厳密なルールを決めた上でリバランスを実施するが、個人の資産形成でこれを実践するのは極めて困難である。さらに、リバランスというのは、あまり小刻みに行っても効果を得にくいのだ。

以上をまとめると、すでに株式、債券、代替資産など、複数の投資信託を組み合わせて基本ポートフォリオを作っているという場合は、相場の動きに左右される形ではなく、毎年決まった日にリバランスを実施することをお勧めする。年初のほか、誕生日などでもよいだろう。例えば、誕生日に保有する投資信託を確認し、20%程度の利益が出ているファンドがあったらその利益相当分を解約(売却)して、比率の低下したファンドを買い増すといったイメージだ。

とはいえ、リバランスは毎年必ず行わなければいけないというものでもない。特にiDeCoなどで長期の資産形成を行っている場合は、ファンドの確認は年1回、実際にリバランスを行うのは3年に1回程度でも十分である。実際にリバランスを行うかどうかは別として、ひとまず覚えやすい日を「確認日」として設定しておくとよいだろう。

上昇相場で着目したいもう1つのポイントは、「相対的に出遅れている」または「(価格が)戻り切っていない」資産や地域へ目を向けることだ。今年3月のコロナショックを例にとると、新興国株式やリート(不動産投資信託)が該当する。

相場上昇時はどうしても上昇している資産を追加で購入したくなるが、ここであえて「出遅れている」資産を取り入れれば、先述した基本ポートフォリオの原型を作ることができる。今年3月以降の米国株の上昇は目を見張るものがあるが、長期の資産形成に資するポートフォリオを作りたいなら、グッと我慢して米国株ファンドの追加購入は見送ろう。

また、上昇している資産と相関の低い資産に着目するのもよいだろう。例えば、金(ゴールド)は一般的に株式(とりわけ米国株式)と逆の値動きをする傾向にある。相場全体が「リスクオン」の状態となり、株式市場が好況に沸くと、金の値動きは比較的穏やかになる。金という資産はあくまでも分散投資の1パーツとして保有することが望ましいので、値動きが穏やかなときに取り入れることをお勧めしたい。

ポートフォリオを作る上でより重要なのは、追加的なリターンを狙うことではなく、相場急変時に大きなダメージを受けないためのリスク管理である。値動きの異なる資産を組み合わせることで、保有資産全体のリスクを少しずつ調整していけば、自分に合ったポートフォリオを作っていくことができる。なかなか思うように資産形成ができず、「今年こそは」と思っている方は、ぜひ実践してほしい。

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著者

篠田 尚子 楽天証券経済研究所 ファンドアナリスト
篠田 尚子
慶應義塾大学卒業後、国内銀行を経て2006年ロイター・ジャパン入社。傘下の投資信託評価機関リッパーにて、投信業界の分析レポート執筆、評価分析などの業務に従事。2013年、楽天証券経済研究所入所。日本には数少ないファンドアナリストとして、評価分析業務の他、資産形成セミナーの講師も務めるなど投資教育にも積極的に取り組む。近著に『【最新版】本当にお金が増える投資信託は、この10本です。』(SBクリエイティブ)。

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