「子供が大学に行くときは60代…」40代夫婦が教育費を準備するには?
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「子供が大学生の時、私たちは60代…」40代夫婦が教育費を貯めるiDeCo活用術

  • 公開日:2021.01.26

Editor's Eye

資産運用にまつわるお悩みにプロが回答するシリーズ。今回は最近、第一子が誕生したという45歳男性が相談者。お子さんが大学生になる頃には、自身は60代……。教育資金を貯めることができるか心配と言います。多くの子育て世帯の相談を担当してきた、ファイナンシャルプランナー前田菜緒さんに回答していただきます。

【内野 隆司さん(仮名)プロフィール】
45歳、会社員(飲食業)。会社員の妻(42歳、現在育休中)と生まれたばかりの子供、3人で暮らす。静岡県在住。マネー雑誌を読んで、最近一般NISA枠で株式投資を始めた。

【寄せられたお悩み】
「子供が生まれましたが、高齢出産のため教育費が準備不足にならないか心配です。私たちの住む地域は高校までは公立高校進学が一般的なので、おそらくうちの子もそうなると思っていますが、大学進学後は学費に加え、仕送りも見越しておかないといけないと考えています。大学卒業までの教育費はいくら準備したらいいでしょうか。
そして、長期的に資産形成するには一般NISAよりも、つみたてNISAが良いと耳にしました。今、趣味の一環として株を一般NISA内で運用していますが、つみたてNISAに切り替えて投信積立等をしたほうが良いのでしょうか」

【お悩みの論点】
①45歳で子供が誕生。教育費の準備額はいくらと考えるべきか 
②今は一般NISAで運用中だが、つみたてNISAに切り替えたほうがいいか

【資産状況】
世帯の金融資産額(運用中の投資額と預貯金を合わせた金額):800万円
内訳
預貯金:700万円
株式:100万円

【収支】
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入: 41万円(妻の育休手当を含む)
・手取りの年収:450万円ほど

<支出>
・毎月の出費:41万円(詳細以下)

 


※1……「毎月のローンの支払いです」

※2……「私と妻で3万円ずつです」


***


待望の赤ちゃんが生まれたのですね。おめでとうございます。嬉しい一方、ご夫婦とも40代の高齢出産夫婦ということで、これからの教育費を心配されるのもよく理解できます。

さっそく、教育費の準備額や準備方法についてアドバイスさせていただきます。

内野さんがお住まいの地域では高校までは公立の高校に通うのが一般的とのことですね。そして、内野さんご自身もお子様は高校までは公立に通わせ、大学は東京の大学に行くことになるだろうと予想されていますので、ここではその前提に立ってアドバイスさせていただきます。実際に進学される大学は国公立か私立か分かりませんが、この場では1つの目安とすると安心ということで、私立大学に行くと想定して解説します。

そこで、私立大学に行った場合の費用を確認しましょう。文部科学省「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、 私立大学の授業料は平均約91万円、入学金は約25万円、施設設備費は約18万円です。一年生では年間約134万円、2〜4年生までは約110万円、4年間の合計で約460万円になることがわかります。

しかし、内野さんの場合、学費のみ準備すれば良いわけではありません。毎月仕送りが発生しますし、一人暮らしを始めるための費用も必要です。日本政策金融公庫の「令和2年度 教育費負担の実態調査結果」によると、平均仕送り額は月7.5万円、自宅外通学を始めるための費用の平均額は約40万円です。

内野さんも平均額程度の仕送りはしてあげたいと思っていますので、月7.5万円の仕送り額を準備資金に含める計算にしましょう。すると、4年間の仕送り合計は7.5万円×12ヶ月×4年=360万円、一人暮らしを始める費用約40万円と合わせると、学費以外にも約400万円必要になることがわかります。

さらに、地方に住んでいる場合、入試を受けに上京することも予想されます。この場合、保護者も一緒に上京するでしょうから、2人分の旅費が必要です。学費以外の費用も考えると、大学費用としてトータル約900万円を見ておく必要がありそうです。

さて、大学費用900万円のうち、今からいくら分を積み立てればよいか?という事ですが、それを考えるにあたっては、まずはお子様が大学に入学する頃の家計収入を考える必要があります。

お子様が大学入学する頃、内野さんは64歳、奥様は61歳です。お二人とも65歳まで働くと考えられますが、この頃になると今より収入減が予想され、学費はもちろん、毎月の仕送りも、その時の収入から捻出するのが難しいと思われます。

したがって、全額今から準備しておく方が安心です。1ヵ月あたりの積立額は900万円÷ 17年÷ 12ヶ月=4.4万円です。大学費用が必要になる時期まであと17年あります。預金で積み立てをしても良いですが、17年という長い時間を味方につけることができますから、積立投信でお金を運用しながら資金を作っていくことも選択肢として取り入れるといいですね。

方法としては、つみたてNISAが活用しやすいですが、内野さんの場合、すでに一般NISAで株式投資を行っています。今回のご相談にも一般NISAは続けたいけれど、教育費のためにつみたてNISAに変更した方が良いのかという疑問もありますね。

まず、つみたてNISAとNISAはどちらか1つしか選択できない上、株式投資は不確実性が高いため、教育資金準備方法としては不向きです。現在、株式投資用として使っているお金は約100万円。100万円という枠の中で株式投資を趣味として楽しむのは良いことだと思いますから、このまま株式投資を続けてみてはいかがでしょうか。教育費の準備としては、内野さんの場合、iDeCoが使えます。

iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)のコンセプトは老後資産形成のための制度で60歳にならないと育てた資金を受け取ることができませんが、お子様が大学入学時には内野さんは60歳を超えていますから、いつでもiDeCoから資金を引き出すことができます。さらに、つみたてNISAよりiDeCoのほうが、税制優遇が大きいですから、積立投信を始めるならiDeCoが最適です。

どの投資信託で運用するかについては、内野さんは現在、株式投資をされリスク許容度が高めのようですし、投資期間も長いですから株式投資の割合を多めに積極的な運用を行うと良いですね。

なお、iDeCoの場合、積み立ての上限金額があります。内野さんの場合、月2.3万円が上限のため、積み立て必要額4.4万円には、あと2.1万円足りません。足りない分については保険や預金、奥様がつみたてNISAの口座を開いて、活用するという方法があります。

大学費用全額を積立投信で計画するのは、ややリスクがありますから、積立必要額の3分の1程度を保険や預金、残りを積立投信にすると、リスク分散にもなります。

***

高齢出産夫婦は、現役引退までの年数が短い分、教育費の心配をされる方は多いですが、早めに対策をとることで無理なく資金計画を作ることが可能です。内野さんの早めの取り組みが資産形成成功の元となるでしょう。

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著者

前田 菜緒 ファイナンシャルプランナー
前田 菜緒
FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。

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