2021年大河ドラマ『青天を衝け』が10倍面白くなる! 渋沢栄一4つの豆知識

2021年大河ドラマ『青天を衝け』が10倍面白くなる! 渋沢栄一4つの豆知識 

  • 公開日:2021.02.12

Editor's Eye

2021年NHK大河ドラマ『青天を衝け』の主人公は、日本資本主義の父とも称される渋沢栄一。幕末、明治、大正、昭和を駆け抜けた彼が設立した会社、団体は合わせると1000を超え、その中には今日も個人投資家に関わるものが多数残っています。そこで、自身も大河ドラマウォッチャーであり、脚本家、FPの岡田禎子さんにピックアップと解説をしていただきました。これを知れば、ドラマがより味わい深くなるはず。

2021年2月スタートの大河ドラマの主人公で、今注目の人物といえば渋沢栄一。2024年に刷新される一万円札の肖像画にも決まっています。日本の「資本主義の父」といってもその活動はあまり知られていません。一体どんな人だったのでしょうか?

「ここから自分は別個の人間になろう! これからは日本のために尽くすのだ」

米国のペリー総督が来航し、世の中の大人が恐怖と混乱で右往左往する中、こう青天に誓った14歳の少年がいました。後に日本の資本主義の父と称されるこの少年・渋沢栄一は、埼玉県深谷市の藍玉を扱う裕福な農家に生まれました。13歳で実家の商売をまかされるほど頭脳明晰な栄一は、『論語』を愛する一方で理不尽な侍に反抗するなど反骨精神も併せもつ青年に成長します。

一時攘夷運動に身を投じるも断念、紆余曲折あってのちの15代将軍・一橋(徳川)慶喜に士官します。一橋家では実家で培った商才を発揮して頭角を表し、27歳の時にパリの万国博覧会に慶喜の弟徳川昭武の庶務・会計係として随行するチャンスを得ます。後に「自分の一身上一番効能のあった旅」と述べたように、これが彼の人生の最大転機となりました。

欧州の近代的な国家に衝撃を受けた栄一は、帰国したのち官僚を経て民間銀行を設立。ここから人並外れた行動力で大事業家へと駆け上がっていったのです。彼は生涯で約500の企業を設立、約600もの社会公共事業にも関わりました。ここからは栄一が育てた投資・マネーに関わる会社、団体を4つご紹介しましょう。

日本初の銀行を設立したのは渋沢栄一です。栄一はパリ万博視察団の世話係だった銀行家ポール・フリュリ=エラールから銀行や株式会社などの仕組みを教わります。

一般から広くお金を集め事業を興して利益を分け合う資本主義に感銘を受け、日本のように豪商など一部の人にお金が集中する世の中では発展しない、社会にお金が広く行き渡ることで産業が興し経済が活性化して国が豊かになる、と考えるようになります。

またエラール氏が軍人と対等に話している姿を見て栄一は衝撃を受けます。「日本では商人は金を扱う卑しい者と蔑まれ、侍と対等に話すなどもってのほか。しかしここパリでは商人のエラール氏の方がむしろ尊敬されているではないか……」農家出身で幼い頃から日本の身分制度に疑問を感じていた栄一は、これを打破して差別なき世の中にするには、民間の実業界の地位向上が必要だと痛感します。

そこで帰国後すぐに栄一は銀行の設立に情熱を注ぎ、1873年(明治6年)に日本初の銀行で株式会社である第一国立銀行を創設。初代頭取に就任した栄一は「利に喩らず、義に喩る」(利益を追求するのではなく、社会発展という『大義』のために事を成すという意味)という理念を掲げます。同行は栄一の活動を支えるバックボーンとなりました。

その後、第一国立銀行は改組や合併を経て、現在のみずほ銀行に引き継がれています。

明治維新の直後、政府内で「国民の賭博心を刺激する」として先物取引を禁止しようという動きがありました。しかし当時若き大蔵官僚だった栄一はこれに真っ向から反対し、「賭博と相場は別物」と主張して明治政府に禁止を撤廃させます。

その後、栄一は株式会社制度を広めるため銀行設立と併せて証券取引所の設立に奔走、1878年(明治11年)に東京証券取引所の前身となる東京株式取引所が誕生します。

現在でも自由経済の象徴として東京証券取引所では日々売買が行われています。その礎を築いたのは栄一だったのです。

栄一は「合本主義」(公益を追求するという使命や目的を達成するのに最も適した人材と資本を集め、事業を推進させるという考え方)を提唱し、若手起業家や経営者を支援しました。その中心の場となったのが商工会議所です。

明治政府からの依頼で民間企業の世論の形成や異業種間交流を積極的に行う人材育成の場として、1878年に東京商法会議所(現在の東京商工会議所)を設立、栄一は初代会頭に就任します。

栄一は同会議所の仲間とともに鉄道、セメント、ビールなどさまざまな事業に関わります。当時それらの事業はリスクも高く、まさに攻めの事業。栄一は新規事業に果敢にチャレンジするベンチャー起業家を支援する、今で言うベンチャーキャピタリストでもあったのです。

栄一がパリ滞在中に江戸幕府が崩壊し、視察団への仕送りが途絶えてしまいます。一行に動揺が走りましたが、会計係の栄一は慌てませんでした。なぜなら栄一は毎月の仕送りを鉄道株(やフランス国債)にコツコツ投資しており、その利益でもって仕送り分を補うことができたためです。

「何人も問題の起こらぬ時においてその心掛けを練って置き、しかして事に会いし物に触れた時それを順序よく進めることが肝要である」(渋沢栄一)

いざというときの対処は平生の心がけで決まる、と言う栄一は偉大な実業家であるだけでなく、積立投資の達人でもありました。

栄一はパリへの道中で初めて鉄道に乗り、その最先端の技術と利便性に驚嘆します。その後、日本の発展に鉄道事業は欠かせないと、日本初の私鉄「日本鉄道」を皮切りに、北海道から九州まで「私鉄」設立に精力的に関わります。

栄一の鉄道への想いは現在のJR各社や私鉄に受け継がれ、日本の交通インフラを支えています。

生涯を日本の発展のために尽くし、数えきれないほどの功績を挙げた渋沢栄一。

東京ガス、東洋紡、王子ホールディングス……枚挙にいとまがありませんが、日々値動きが報じられる日経平均株価の構成銘柄にも栄一が関わった企業が数多くあります。

それらの企業と栄一がどんな関係だったのか、約一年かけて放送される大河ドラマではどんなエピソードが出てくるのか、興味を持ってみるのも新しい投資の楽しみの一つとなるかもしれません。

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著者

岡田 禎子 ファイナンシャルプランナー
岡田 禎子
証券会社、資産運用会社を経て、ファイナンシャルプランナーとして独立。資産運用の観点から「投資は面白い」をモットーに、投資の素晴らしさ、楽しさを一人でも多くの方に伝えていけるよう活動中。個人投資家としては20年以上の経験があり、特に個別株投資については特別な思い入れがある。さまざまなメディアに執筆するほか、セミナー講師、テレビ東京系列ドラマ「インベスターZ」の脚本協力なども務める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)、ファイナンシャルプランナー(CFP)。

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