「補正予算」って? わかりやすく解説 株価にはどう影響する?
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「補正予算」とは? わかりやすく解説 株価にはどう影響する?

  • 公開日:2021.02.25

Editor's Eye

「補正予算」というキーワード、ニュースなどで一度は耳にしたことがあるだろう。2020年度の国家予算の歳出は175兆円超と過去最高を記録して話題となった。これは当初予算に加え、3次にわたって追加された補正予算と合わせた額だ。当初成立した国家予算よりも、歳出が多くなりそうな場合に組まれるのが補正予算。この補正予算が株価に与える影響について、FPの吉田祐基氏が解説する。

2020年度第3次補正予算が2021年1月28日に成立した。新型コロナワクチンの接種に向けた環境整備のほか、観光需要の喚起策としてGo To トラベルなどの予算が盛り込まれた。当初予算(102兆円超)、1次・2次補正予算と合わせた2020年度の国の歳出(支出)は175兆円超と、過去最高を記録した。

現在の新型コロナウイルス感染拡大のように、有事の際に組まれることが多い補正予算。個人投資家にとっては、「相場にどう影響しているのか」も気になるところだろう。そこで、「そもそも補正予算とは何か?」を含め、株価への影響を考えてみたい。

出所:内閣府資料などより筆者作成

本来であれば、当初成立した予算で収支をやりくりするのが基本だ。しかし、現在の新型コロナウイルス感染拡大や、集中豪雨・地震などの災害により国の援助が必要となれば、自然と支出も増える。そんな緊急事態に対応するため、新たに追加される予算を「補正予算」という 。つまり「思っていたよりも支出が多くなりそうだ」という場合に新たに組まれる予算のことだ。なお、当初の見込みよりも景気の落ち込みが激しい場合に景気刺激策として組まれることもある。

予算が成立する流れも知っておきたい。政府は通常、1月下旬閣議決定された次年度予算案を国会へ提出する。そして国会にて予算案の内容が審議され、可決された後、3月下旬に成立となる。仮に災害や国の歳入不足などで成立した予算では賄えなくなった場合、9月以降に臨時国会を開いて補正予算を組むのが一般的だ。 

しかし2020年は、予算が3月に成立した後、4月になってすぐに第1次補正予算が組まれた。コロナで打撃を受けた経済を立て直すためだ。これは異例の早さだといわれている。

第1次補正予算が組まれたことで、 「特別定額給付金」として国民1人当たり一律10万円が配布された。さらに中学生以下の子どもがいる世帯を対象に、児童手当の6月支給分について1人当たり1万円も追加。企業への支援策としては、大幅減収となった事業者への「持続化給付金」も創設された。

6月12日には第2次補正予算 も成立。ひとり親世帯に5万円の給付などが加えられた。そのほか、売り上げが急減した事業者に家賃の3分の2を半年間支給する措置なども組み込まれた。  

そして2021年1月28日には、冒頭でも紹介した第3次補正予算が成立。2020年度の歳出は175兆6878億円となり、これまでと比較すると突出した金額だ。

過去には、2011年3月に東日本大震災が発生したとき、計14兆円超の補正予算が組まれたことがある。 ただ、今回の補正予算で新た追加された金額は73兆円超と、あまりにも大きな規模となった。

その分、2020年度の新規国債発行額は当初予定の32.6兆円から過去最大の約112.6兆円に膨らむ 。国債は税収入などで補えない支出を補うための国の借金だ。2020年度は国の歳出額の半分超が国債で賄われることになったため、その反動で近い将来、大幅な増税が行われるとの見方もあるようだ 。

例えば阪神・淡路大震災(1995年1月)のときは、復興の援助を目的とした補正予算の成立が株価に影響を与えたといわれている。実際に1995年度第1次補正予算(5月)、第2次補正予算(10月)の成立にかけて、日経平均株価は本格的に上昇していった 。

2020年を振り返ると、5月27日に第2次補正予算案が閣議決定された影響もあり、翌5月28日の日経平均株価は、2月27日以来3カ月ぶりの高値となった 。また米バイデン大統領の当確報道(11月)から上昇傾向にあった日経平均株価 は、2021年1月末の第3次補正予算の成立に向け、勢いそのままに上昇。2月15日には3万円台まで回復し、30年半ぶりの高値を記録した 。

もちろん株価が上昇する背景には、日本銀行のETF買いや大統領選挙の結果など、さまざまな要因がある。そんな中、その要因の一つとして補正予算が成立する時期をニュースで確認しておくことが、相場の動きを読むヒントとなることは過去の経緯からも明らかだといえるだろう。

 

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著者

吉田 祐基 ライター・編集者
吉田 祐基
各種金融系情報誌の編集・執筆業務を行うペロンパワークス所属。AFP/2級FP技能士。大手不動産情報サイト編集記者を経て入社。株・投資信託、保険などの編集・執筆を担当。

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