「なぜロボアド投資で損失が…?」その理由は最初の“購入方法”にあった
みんなの資産運用相談

積立? 一括? ロボアド投資でも利益を出すのに大切なのは“時間の分散”

  • 公開日:2021.03.04

Editor's Eye

読者の方から寄せられた、資産運用にまつわるお悩みをお金のプロが解決する「みんなの資産運用相談」。今回は人気のロボアド投資を始めたものの2年間利益が出ていないという相談者が登場。利益の出ない理由を解説しつつ、その反省を踏まえた「つみたてNISAデビュー」をファイナンシャルプランナー前田菜緒さんが指南します。

【近藤 由里さん(仮名)プロフィール】
48歳、千葉県在住。夫(和樹さん、仮名)と私立文系大学への進学を志す高校2年生の娘の3人で暮らす。保険代理店に勤めている。
「簡単で楽しそう!」という理由で、約2年前よりロボアド投資(自動運用型)を夫とともにしているが自身はずっと利益が出ておらず、夫は利益が出ている。ロボアド投資や貯金をする理由は、老後資金3000万円という目標のため。

【寄せられたお悩み】
保険には慣れ親しんでいるものの、自身で投資となると投資信託がよく分からず二の足を踏んでいます。貯金に回している8万円から、いくらかのお金をつみたてNISAやiDeCoで運用してみたほうが思っていますが、「手続きが面倒そう……」と感じて今日まで来てしまいました。
また、ロボアド投資はその点(投資信託での投資に比べて)簡単そう!と惹かれ、夫と始めたものの私は一度も利益が出ていません……。なぜでしょうか?

【お悩みの論点】
①同時期に始めた夫はロボアドで利益出しているのに、自分は利益が出ていない。なぜ?
②自分でも投信の積み立てをしたいが、難しそう……。

世帯の金融資産額(運用中の投資額と預貯金を合わせた金額):890万円

内訳
預貯金: 680万円
ロボアド:210万円(夫:100万、相談者110万/夫は最初から積立投資、一方相談者は投資を始める最初の段階で100万円一括投資した)
※別途、学資保険200万円もあり

【収支】
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:55万円
・手取りの年収:800万円                           

<支出>
55万円(詳細以下)

※1  夫婦で2万円ずつロボアド投資をしている。
※2  夫・相談者でそれぞれ3万円ずつ。

***

ご相談ありがとうございます。

確かに保険の場合は、保険会社が準備してくれた数種類の運用商品の中から選ぶだけですし、何よりお仕事柄、保険の手続き自体に慣れているのでハードルは低いのですが、最初から自分自身で運用するとなると、また別。手間がかかるし、どうしても後回しになってしまった……ということですね。お気持ちはよく理解できます。さて、今回はロボアドの損失についてアドバイスがほしい、自分で運用を始めたいということでさっそく解説していきます。

ロボアドとは、ロボットアドバイザーの略でお金を預ければ、自動運用型であればAIがお任せで運用してくれるサービスです。自分自身で運用商品を選ぶ必要はありませんから、運用初心者でも手軽に始められると利用者は増えています。

近藤さんご夫婦も「簡単そうだったから」という理由で2年前から始められたそうですね。確かにロボアドは数ステップで手続きが終わり、マーケットや投資への専門的知識がなくても、運用が始められるよう工夫されています。

ところが、由里さんは運用開始後、利益が出ていないと言います。一方、ご主人の和樹さんは同時期に始めたにもかかわらず、利益が出ています。この差は何なのでしょう。まずロボアドは、最初にいくつかの質問に答え、その回答に合わせたリスク許容度で運用方法が決まります。和樹さんと由里さんのリスク許容度は違うため、運用内容は異なりますが、原因はおそらくそれではありません。

和樹さんはスタート時期から積み立てをしていたのですが、由里さんは最初に100万円一括投資をしていたことが差につながったと考えられます。一括投資の場合、タイミングが非常に重要です。しかし、2年前というタイミングから察するに当時上昇を続けている株価の波の中、高い金額の時に一括投資をしてしまっていたのだと考えられます。その後、購入した資産は下がってしまい、お悩みの“利益が出ていない”という事態に……。つまり、和樹さんと由里さんの利益の出方の違いは、購入方法にあったのです。

これは、積み立てと一括投資の違いや特徴を十分に理解していないために起きた失敗といえます。ロボアド投資に限らず、相場の底や天井を当てることは非常に難しいこと、それゆえ初心者には、一括投資は難しく、タイミングに左右されない積立購入がおすすめであることをぜひ学んでいただければと思います。

積み立てなら、毎月一定額で運用商品を購入しますから、商品が安い時にはたくさん買い、高い時には少ししか買いません。この仕組みがあるからこそ、平均取得単価を下げられ、価格が上昇した時に、利益が出る効果を発揮します(ドル・コスト平均法と言われています)。由里さんには、この仕組みを理解し、積み立てを続けていく重要性を認識していただければと思います。

ロボアド投資から、積み立ての効果を理解していただければ、つみたてNISAやiDeCoでは分散投資を心がけ投資信託を選ぶだけです。

由里さんは、ロボアドで損失から抜け出せなかったため、「自分で運用して利益を出すのは難しい」と思ってしまったかもしれません。繰り返しになりますが、原因は購入方法です。

また、つみたてNISAやiDeCoにも、ロボアド投資と同じように、おまかせで分散投資をしてくれるバランス型と呼ばれる投資信託があります。由里さんは、まずは海外株式の割合が高めのバランス型投資信託を中心に運用を始めてみてはいかがでしょうか。

手続きにおいては、確かにiDeCoはロボアドほど簡素化されていませんが、つみたてNISAにおいては、オンラインで申し込みが完了し、早ければ2〜3日で口座が開設される金融機関もあります。案ずるより産むが易しです。早速手続きを始めましょう。

近藤さんご夫婦は、老後までに3000万円貯めることを目指して、貯蓄とロボアドを行っているとのこと。確かに、毎月の貯蓄8万円とロボアド4万円の積み立て、今の貯蓄額を考えると3000万円ほど貯まりそうです。 そして、今回は毎月貯金している8万円をつみたてNISAやiDeCoにシフトすることも想定されていますね。

しかし、もうすぐお子様の受験と大学進学があります。学資保険は200万円あり、預貯金も680万円ありますが、お子様の進路希望は私立大学の文系とのこと。私立大学文系の場合、授業料と入学金だけで約500万円必要です。これにパソコン代や教科書代、毎月の定期代等が上乗せされます。

千葉県在住ということで都内の大学ならばおおむね自宅通学が可能と考えられますが、キャンパスによっては自宅外通学の可能性もあります。すると、仕送りや一人暮らしを始めるための家具、家電購入が必要です。これらを考えると、今の貯蓄がすべて教育費として消える可能性があります。

したがって、毎月の貯蓄をすべて運用に回さず、一部は預金で積み立てた方が安心です。節税効果の高いiDeCoは夫婦2人満額で2万3000円ずつスタートさせるとしても、つみたてNISAはご夫婦どちらか一方のみ5000円程度としておいた方が良いでしょう。あるいは、ロボアドでの積み立てを減らし、つみたてNISAの金額を増やしても良いかもしれません。税制面では、つみたてNISAには利益が非課税というメリットがあります。

今の時点では、お子様の進路がまだ最終的に決定していませんから、的確な積立額を算出するのは難しいですが、お子様が進学するときに貯蓄をショートさせない、さらに毎月の生活費の6ヶ月分の200万円ほどは預金として置いておくことを念頭に、進路次第で積立額を臨機応変に変えていくと良いでしょう。積み立て投資は時間の効果が非常に大きいです。少額でも長く続けられるよう、今のうちから仕組みづくりを行っておくと安心です。まずは手続きから! 応援しています。

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (12)
  • 難しかった (0)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

前田 菜緒 ファイナンシャルプランナー
前田 菜緒
FP事務所AndAsset代表。ファイナンシャルプランナー(CFP、1級FP技能士)。大手保険代理店に7年間勤務後、独立。子育て世代向けにライフプラン相談、セミナー、執筆などを行っている。子連れでセミナーに行けなかった自身の経験から、子連れOK、子どもが寝てから開催するなど、未就学児ママに配慮した体制で相談やセミナーを実施。経済的理由で進学をあきらめる子をなくしたいとの想いを持ち、活動中。

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!

あなたに最適なIFA(資産アドバイザー)を見つけるならFinasee(フィナシー)× 資産運用の無料相談窓口

あなたに最適なIFA(資産アドバイザー)を見つけるならFinasee(フィナシー)× 資産運用の無料相談窓口