「日本一社長の多い町」燕三条で地域密着を貫く独立系アドバイザー FPM

「日本一社長の多い町」燕三条で地域密着を貫く独立系アドバイザー FPM

  • 公開日:2021.03.17

Editor's Eye

中立的な立場から金融商品の提案・アドバイスを行う存在として注目が高まる資産アドバイザー、IFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)。新潟・燕三条を拠点に、20年以上金融アドバイスを提供し続けるIFA法人がエフピーエム(FPM)の代表、嘉瀬一洋氏に設立の経緯などを聞いた前編「新潟・燕三条発 経営者の課題に20年以上応え続ける金融アドバイザー FPM」に続き、企業型DC(確定拠出年金)やセミナーによる金融教育など、独自の戦略について語ってもらった。

投信、保険のほか住宅ローンも取りそろえているが、特徴的なのは2015年に設立した企業型DC(確定拠出年金)プランだろう。企業への選択制DCの導入から事務支援、継続教育までを担う法人向けサービス「FPとつくる燕三条年金積立プラン」がそれだ。収益性は低く他金融機関での扱いも少ないが、社員の福利厚生充実も実現でき、集客チャネルにもな得るDC導入は「地域に根差す金融機関、まさにわれわれがやるべき仕事」(嘉瀬氏)だと考えたという。

エフピーエム 代表取締役社長 嘉瀬一洋氏

DC導入支援自体は独自のプランを立てずとも可能だが、保険会社の協力を得て、投信で言う専用商品のような格好で設立した。「手間は掛かりましたが、『この地で働く人々の力になる』という意思表示としても燕三条の名を冠したかったのです。実際、最近では新潟市内の企業からも引き合いが来ていて、何社かで導入が進んでいます」と嘉瀬氏は笑顔を見せる。

現在の導入企業は50社弱。工場勤務の若い社員も多いことから、加入者の層は20~40代が中心だ。選択制のため、目先の収入を優先する向きが多く加入率は高くないが、同僚の運用成績を見て「そんなに増えるなら自分も始めようか」と加入を検討する従業員も見られるという。

FPMの主な集客チャネルは、経営者層が過半を占める保険契約済の顧客(既顧客)とDC、そしてセミナーの主に3種だ。

DCはその職域的な性質の魅力もさることながら、ドル建ての養老保険をプラン内の福利厚生の一つとして提供することで保険収益の底上げにも成功しているという。ドル建て商品の説明の難しさも、投信を扱うIFAにとってはハードルにならない。「従業員の皆さまにとって、FPMは『ずっと頼れる資産形成のサポーター』。社員にもその役目を担える意義と価値を伝えて取り組んでいます。DC導入が経営者様にとっての『良いもの』ですが、従業員の皆さまにも常に『良いもの』を提案しなさい、ということです」。

「良いもの」の定義は一概には難しいが、こと投信に関してはアナリストと契約するなど相当のリソースを割いている。

「セミナー運営がきっかけで知り合った吉井崇裕氏(イデア・ファンド・コンサルティング)の『ファンド職人』と呼びたくなるほどの専門性に惚れ込み、3年前に契約しました。主な目的は彼のノウハウを伝授してもらうことで、社員向け研修や『FPM IFAセレクトファンド』の選定、また、必要に応じて顧客応対に帯同してもらうこともあります」と嘉瀬氏が語るとおり、人材育成をはじめ吉井氏の活躍のシーンは多岐にわたるが、驚きなのはFPM IFAセレクトファンドの本数だ。

推奨度の高い「セレクト」、次点の「準セレクト」、設定直後など注視対象となる「モニタリング」の3グループ、各30~40本ほどがラインアップされており、総本数は100を超える。全てを入れ替えるわけではないが、セレクトについては吉井氏による検討が毎月なされるという。具体的には、国内株式であれば「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」、先進国株式は「モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン」といった商品が並ぶ。

「とにかく最良のファンドを選んでほしい、と吉井氏には頼んでいます。投信はあくまで提案のパーツで、主役ではありません。ただ、個々のアドバイザーが『最良の提案』を組めるよう、選りすぐりのパーツをそろえているのです」。 “装備”となるパーツを常に最良に保つことで、提案の自由度と品質を両立させているのだろう。

“装備”もさることながら、戦闘力とも言える提案スキルの教育にも力を注ぐ。FPMのIFAの大半は新卒入社で、嘉瀬氏を含めた9名のIFAのうち、中途入社の社員は3名にとどまる。

「地元に貢献するためには、多様なお客さまに対し、ベストな提案とアフターフォローをずっと続けていく必要がある。当然のようですが、歩合制でもないのに、要求レベルは相当なものです(笑)。社員には『入社して3年は営業しなくていい』と伝え、徹底的に『FPMの提案力』を身に付けさせています。われわれの理念に深く共感できる人材であれば経験者の採用も視野に入れていますが、FPMの提案力と理念の理解は不可分なのです」と熱弁する。

具体的には、OJTをベースに、証券会社ではおなじみの新聞の読み合わせや先述の吉井氏による月1回の研修などを実施。こう書くとあっさりしたものだが、読み合わせひとつとっても、ニュースの要約を発表し、対話への盛り込み方、商品提案へのつなげ方など、30分という短時間でかなりの量のアウトプットを求められるものだ。また、100本を超える「セレクトファンド」についても各ファンドの概要や特徴などを覚える必要があり、体得すべき知識の量は膨大だ。

IFAに高いスキルを求める理由は、顧客への金融教育の充実にもある。

コロナ禍により現在は休止しているが、集客チャネルの一角を占めるリアルセミナーは高い集客力を誇っていたという。IFAはこの新規顧客セミナーのほか、運用会社との共催セミナー、DCの継続教育でも講師として立つわけだ。また、IFAが講師に立つことはないが、澤上篤人氏や藤野英人氏といった資産運用業界のキーマンをゲストに迎えての既存顧客向けセミナーも数年に一度実施している。

集客手段としては種類が多く、手が込んでいるようにも見えるが、嘉瀬氏の考える「地域貢献」においては、顧客への金融教育も大きなピースなのだという。「せっかくお金を稼いでも、金融知識がないばかりにリスクの高過ぎる商品を買ってしまう。お金の知識を得る場所・機会の提供は、三条証券のころからやりたかったことでした」。正しい知識が身に付けば、資産形成の必要性や相応しい投資先も自然と理解できる。実際、既顧客向けのセミナーで、投信の買い付けに至ったケースも少なくないという。

「ひふみ投信」で知られるレオス・キャピタルワークスの代表、
藤野英人氏をゲストに迎えた既存顧客向けセミナー

地元への貢献にこだわり、20年以上走り続けてきたFPM。「日本一社長の多い町」だからやってこられた、と謙遜するが、「信頼にあぐらをかかなければ、顧客の信頼は獲得できるという手応えは確実にあります。まずは『交通事故に遭ってしまったが、お互いFPMに頼んでいたので円満に解決した』というくらいの“地元制覇”を目指したいところですが、いずれは『地元密着型金融機関のモデルケース』としてさまざまな地方の皆さまに参考にしていただけるような存在になりたい」と語る嘉瀬氏。ベストを提供し続け、地元を“制覇”した暁には、FPMは全国にその名をとどろかせているかもしれない。

この記事は役に立ちましたか?
  • よく分かった (3)
  • 難しかった (0)

このページをシェアする

  • Lineにシェア
  • はてなブックマークにシェア

あわせて読みたいRecommend

著者

Finasee編集部
金融事情・現場に精通するスタッフ陣が、目に見えない「金融」を見える化し、わかりやすく伝える記事を発信します。

関連コラムRelated

参考サイト
もっと情報をキャッチ!

あなたに最適なIFA(資産アドバイザー)を見つけるならFinasee(フィナシー)× 資産運用の無料相談窓口

あなたに最適なIFA(資産アドバイザー)を見つけるならFinasee(フィナシー)× 資産運用の無料相談窓口