銀行員に勧められるがまま作ったNISA口座で豪ドル債券ファンドを運用「これって正解ですか?」
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銀行員に勧められて作ったNISA口座で豪ドル債券投信を所有―見直しポイントは?

  • 公開日:2021.03.16

Editor's Eye

資産運用にまつわるお悩みにプロが回答するシリーズ。今回登場するのは、親と懇意にしている銀行員に勧められ一般NISA口座を作り、その口座内で豪ドル債券ファンドを運用しているものの2年間放置中という相談者が登場。改めて自身の老後資金を作っていきたいと考えた時、この放置中のNISA口座やファンドが正しいのかどうかも不安になってきたと言います。ファイナンシャルプランナー竹内美土璃さんが回答します。

【高木知世さん(仮名)プロフィール】
48歳。個人事業主として週2回、近所のカフェにパンを納めている(年間70万円ほどの売上)。サラリーマンの夫と大学生の子(20歳)、3人で暮らす。岐阜県在住。
4年ほど前に、母親が懇意にしている銀行員に勧められ一般NISA口座を作り、最初の2年は100万円ずつ資金を投入し運用していたが、その後子供の大学費用がかさむなどした影響で、その200万円以降一般NISAでは何もできていない。

【寄せられたお悩み】
「親がお世話になっている銀行員から勧められて一般NISA口座を開設し、さらに年金で暮らす親も購入している豪ドル債ファンド(毎月分配型)計200万円を一般NISA内で運用しています――運用というと聞こえはいいですが、実際のところ購入以降、“放置”状態で何もしていません。
子どもも4月から大学3年生となり、落ち着いてきたので、今度は老後のお金も作っていきたいと考えています。そうしたときに、現状の一般NISA・豪ドル債券ファンドという選択は最適なのでしょうか?
ちなみに、コロナ禍の影響でパンの売り上げは上がっており、この仕事はこのまま続けていきたいと考えています」

【お悩みの論点】
①一般NISAで豪ドル債ファンドを運用中。その選択は最適?(使う制度、商品選びどちらも)
②老後の生活が心配――老後資金の作り方が知りたい

【資産状況】
世帯の金融資産額(運用中の投資額と預貯金を合わせた金額):1000万円

内訳
預貯金:800万円
投資信託:200円<一般NISA口座内で豪ドル債券(毎月分配型)を所有。年金を受給して暮らしている母親と同じ商品>
※相談者の夫は企業型確定拠出年金を含め、運用はしていない。

【収支】
<収入>
・世帯の毎月の手取り収入:37万円
・手取りの年収:520万円                             

<支出>
・毎月の出費:37万円(詳細以下)

※1…夫の実家に住んでいるため、ほぼかからない(相談者の義理の両親はすでに他界している)

***


知世さんは、お子さんが成人され、子育てから手が離れたので、趣味と実益を兼ねて週2でカフェにパンを卸されているとのこと。とっても素敵ですね。

さて、今日のご相談は2点。一つ目は現在一般NISAでの運用をされていて、その方法が知世さんにとってベストな方法なのか知りたい、そして二つ目は子育ても一段落しお仕事もこのまま続けるので、これからは夫婦の老後のためにお金を作っていきたい、ですね。それでは、一緒に見ていきましょう。

まずは一般NISAのおさらいからしましょう。一般NISAとは、年間120万円まで、一般NISA口座で購入した株式や投資信託等の配当金、譲渡益、分配金が最長5年間非課税になる制度です。知世さんは、実のお母様の勧めで、銀行で一般NISA口座を開設し、一般NISAを始めたとのこと。

NISA制度の内容を深く理解できず商品を購入し、そのまま現在に至ったのではないかと推測します。

知世さんに限らず、NISA口座開設時によくあったことで、NISA制度を分からなくて始められためた方の多くは、知世さんのように言われたとおり商品を購入された方もいれば、流行に乗って口座開設のみしたものの商品は買えないでいる方もいて、問題となっていました。

知世さんの場合は、分からないにしても、きちんと商品をお買いになってお金を増やしていたので、その点は素晴らしいです。

ただ、投資は初めてで、購入された商品についてはよく分からなかった知世さん。年金生活をされているお母さまが実際に購入され、お母さまから勧められた、毎月分配型の外国債券投資信託をお求めになっていたとのこと。果たしてこの商品が、これからの知世さんの「老後のお金を作る」という人生の目的に合っていているかどうか、見ていきたいと思います。

まず、知世さんの今回の目的は、「老後のお金を作りたい」ということでした。お金が必要なのは、「今」ではなく、「将来のご自分」ですね。現在48歳の知世さんは、年金がもらえる65歳まで17年あります。つまり、「65歳までにたくさんお金が殖えていく『制度と商品』を見つけていくこと」がポイントです。そういう点を踏まえて、一般NISAで購入している商品「外国債券(毎月分配型)」の特徴を見ていきましょう。

「毎月分配型」の商品は、毎月一定額を受け取ることができるので、知世さんにとっては、毎月おこづかいがもらえるようで、楽しみにされていませんでしたか。お金を預けるだけで、毎月お金がもらえるなんて嬉しい、そうお感じになるのはよく理解できます。

特に年金だけでは生活を維持していくことが難しくなっている昨今です。老後に使うために貯めたお金でも、毎月少しずつ取崩していくのはなんだか忍びないものです。だから預けるだけで毎月年金の足りない部分を補ってくれる「毎月分配型商品」は、年金生活者にとっては心強い商品の1つです。

では、48歳の知世さんはどうでしょうか?「将来の自分のためにお金を殖やす」という点から考えると、毎月一定額をもらえるということは、相場の良いときは配当や分配金から払い出されるため、老後のお金の増加は小さくなります。

さらに、相場が悪いときは元本から払い戻している(元本が減っている)場合があります。配当金や分配金を、今もらってしまう場合と、貯めておいてさらに複利で増やしていったものをまとめて後から受け取る場合と比べて、トータルでどちらが多いかということです。

そういう視点から考えると、毎月分配型の商品は、「老後(将来)にお金が貯まる商品ではない」ということがお分かりいただけると思います。よって、知世さんの目的から考えると、将来のために殖やせる商品に変更することがいいでしょう。

投資初心者の方の場合は、まずは非課税枠を上手に使って、お金を殖やしていくのがいいと思います。よって、NISAかiDeCoで考えていきましょう。

NISAには、一般NISAとつみたてNISAがありますが(厳密にはジュニアNISAもありますがここでは割愛します)、一人一口座しか持てません。知世さんの場合、現在一般NISAを使われていますので、今年は一般NISA枠しか使えません。どちらにしても、今の商品の買い替えするので、そのまま一般NISAの枠を使っていきましょう。

知世さんが一般NISAとは別に使える非課税枠のある制度は、iDeCoです。iDeCoとは、iDeCo口座の中で毎月掛金を積み立てて、金融商品(定期預金・保険・投資信託等)を購入していきます。そして、自分で運用していき、60歳になったら引き出しができる確定拠出年金のことです。

iDeCoの枠を使うことによって、掛金を積み立てるときに所得税・住民税が控除され、金融商品を運用中は運用益が非課税となり、今まで貯めたお金受け取るときは退職所得控除、公的年金控除が使えます。

プロフィールを拝見すると、今はご主人の所得税の扶養範囲内で働いているので、知世さんは所得税等を納めていません。よってiDeCoでの運用をした場合、掛金を積み立てるときの控除は使えませんが、NISAのように運用益の非課税が使えます。

今度はご主人がiDeCo枠を使う場合で見ていきましょう。ご主人は会社で企業型確定拠出年金等をされていないとのことでしたので、毎月2万3000円までiDeCoに掛け金を拠出することができます。そして掛金分にかかる所得税・住民税を節税することができます。

以上のことから、まずはご主人のiDeCo枠を使うことを第一に考えられるのがいいでしょう。

以上のことから考えてまとめてみました。

まずは制度について。
1.知世さんは一般NISAを継続して、将来お金がたまっていく商品に変更する(具体的には上記の通り、分配金が極力出されないファンド)
2.ご主人がiDeCo口座で運用する
3.そして、余裕があれば、ご主人がつみたてNISA口座も作り、運用
4.さらに余裕があれば、知世さんがiDeCo口座で運用する
高木家の場合、この順番が非課税枠を最大で使える方法です。

次に商品については、高木家全体のポートフォリオで考えていきます。

現状高木家の資産は、知世さんの外国債券以外は「日本円預金」です。なので、高木家のポートフォリオに含まれていない商品である外国株式または国内株式または国内債券を投資対象とする投資信託をお求めになると良いでしょう。ご夫婦のiDeCo、NISAトータルで見てバランスがとれ、分散の効いたポートフォリオにしていきましょう。

今日の解説をご覧いただきながら、ぜひご夫婦で話し合ってみてください。応援しています。

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著者

竹内 美土璃 ファイナンシャルプランナー
竹内 美土璃
さくら総合オフィス代表。ファイナンシャルプランナー(CFP)・1級FP技能士・DCアドバイザー。法律事務所内FP事務所で、個人のマネープラン相談から、法人向けに確定拠出年金の導入の提案から継続投資教育などのサポートまで行っている。また、「相続アドバイザー」「夫婦再生カウンセラー」として、相続、夫婦関係のカウンセリングも行っている。モットーは「お客様が上質な人生を送れるよう全力で支援」。

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