会社からのフリンジベネフィットがよく分かる! 給料明細はくまなくチェックを
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会社からのフリンジベネフィットがよく分かる! 給与明細はくまなくチェックを

  • 公開日:2021.04.02

Editor's Eye

経済コラムニストの大江英樹さんが、5回にわたってフレッシャーズの皆さんに覚えてほしいお金の基本を解説する短期集中連載。第2回のテーマは「給与明細」。アルバイトを経験したことがあれば、実際の振込額と明細の記載が合っているかをチェックしていたという方も多いしょう。ただ、社会人の給与明細はもっとくまなく確認するべきだと大江さんは言います。そこには、会社が社員のために負っている社会保険や福利厚生を知るヒントがたくさんあるからです。さっそく4月に受け取る給与明細から、この記事に登場する項目を欠かさず見るようにしてみてください。

みなさんは、「フリンジベネフィット」という言葉を聞いたことがありますか? これは企業が社員に対して給料以外に提供する経済的利益のことを言います。具体的に言えば、最も大きいのは社会保険料の負担です。公的年金や公的医療保険の保険料の半分、そして就業中の事故や災害を補償する労災保険はその全額を事業主が負担しています。また、通勤手当や出張手当、社宅の家賃なども広い意味ではこうした中に含まれます。かつては一定の条件の下、社内旅行なども福利厚生費として認められていましたから、こうした部分もフリンジベネフィットと言って良いでしょう。

税法においては、会社から支給される給与・賞与を含む有形無形の利益は課税されるべしと定められているのが原則ですが、実際には多くの福利厚生費は「社会通念上認められるもの」であれば、非課税として取り扱われています。また、金銭で支払われるものであっても、通勤手当、社会保険料の半額分、など、会社が負担しているものも基本的には課税対象から外れています。

実はこのフリンジベネフィットというのは社員にとっては非常に重要な存在です。特に大きいものは前述の社会保険料の負担でしょう。一例として公的年金を考えてみます。例えば1995年生まれの25歳の若者がサラリーマンであった場合、20歳から60歳まで納める保険料の自己負担合計額は3400万円ですが、現在の平均寿命まで生きた場合に受け取る公的年金の合計額は約7900万円となり、自分の払った金額の2.3倍も受け取ることができるのです。この最大の理由は保険料の半分を会社が負担しているからです。

また、公的医療保険についても現役世代はかかった治療費の3割が窓口での自己負担となっていますが、実際には一定金額以上は支払う必要がありません。高額療養費制度を使えば、仮に入院して100万円治療費がかかっても自己負担は9万円ほどで済みます(高額所得者はこの限りではありません)。

さらに、勤めている企業に健康保険組合があり、付加給付の制度を持っているところであれば、自己負担額はさらに大幅に少なくなることもあります。このように社会保険に関しては、その費用の多くを会社が負担しているため、社員にとっては非常にお得な場合も多いのです。

ここまではいずれも社会保険料についての会社負担の話ですが、これらとは別に会社独自の「退職給付制度」を持っている会社もあります。これも社員にとっては非常に重要なものです。具体的に言えば、「退職金」や「企業年金」です。これらは多くの人が長年会社で勤めたご褒美だと勘違いしていますが、決してそういうわけではありません。退職給付制度というのは言わば「給料の後払い」だと言っていいのです。したがって、最近は退職金制度を廃止してその分を給料に上乗せしているという会社もありますし、それまで積み立ててきた退職金を「確定拠出年金」という形で管理運用を社員に移すという企業も増えてきています。ただし、制度は変わっても社員が受け取るベネフィットであることは変わりありません。

一般的に会社に入社した人が給与明細を手にすると、最後に載っている「手取り金額」のところしか見ないケースが多いようです。そしてこれは新入社員だけではなく、相当なベテラン社員ですらそうです。

しかしながら、税金はもちろんのこと、社会保険料のところについてもしっかり見ておく必要があります。医療保険も厚生年金保険も給与明細に載っているのはあくまでも自己負担の分であり、同じ金額を会社が負担しているということも知っておくべきです。

そしてさらに重要なのは、そうした社会保険料をいくら負担しているのかを知るだけではなく、いざというときに一体どんな給付があるのかを知っておくことの方が大切です。保険についてはあらためて別の機会にお話をしますが、我々が人生で困った時の保険は公的な社会保険でほぼその全てをまかなうことができます。さらに会社が提供している様々なフリンジベネフィットも実に多くのメリットがあるのです。そうした制度の内容を知らずに使っていないというのはもったいない話です。そういう内容を知らずに無駄な保険に入るというのは最大のお金の無駄と言って良いでしょう。

会社に入社すると福利厚生ガイドのようなパンフレットが配られることがあります。ところが多くの人はせいぜい「契約保養所」のところぐらいしか見ることがないようです。ところが困った時に本当に役に立つことが実はたくさん書いてあるのです。病気や出産、長期休養といった際に一体どのような補助が受けられる制度があるのか? そしてその金額は一体いくらぐらいなのか? それらをしっかりと理解しておくことは、とても重要です。

給料をもらい始めたら、まずはその中身、明細にどのような意味があるのかをしっかりと把握しておくことが必要でしょう。

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著者

大江 英樹 経済コラムニスト
大江 英樹
1級ファイナンシャルプラニング技能士、CFP®、日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員、日本FP学会会員、上級生涯生活設計コンサルタント。大手証券会社において25年間、個人の資産運用相談に携わり、2001年10月より確定拠出年金における投資教育業務に従事した後、2012年に独立。資産運用やライフプラニング、行動経済学に関する講演・研修・執筆活動を行っている。

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