米国債10年の利回りが上昇中! なぜ上がる? 株価への影響は?

米国債10年の利回りが上昇! なぜ上がる? 株価への影響は?

  • 公開日:2021.04.05

Editor's Eye

2021年2月26日、日経平均は4%ほど下落し、その下落率は2020年4月1日以来約11カ月ぶりであった。その原因は前日、米国債10年利回りが急上昇し、それを受けて米国株が急落したことにある。以来、米国債10年利回りが上昇するたびに株価も反応して、いわゆる乱高下が続いている。そこで、そもそも米国債10年利回りとはどんなものか、なぜ利回りが株価にも影響を及ぼすのか。そして、今後の利回りや株価の行方について、ファイナンシャルプランナーで編集者の吉田祐基氏が解説する。

2021年2月下旬以降、上昇傾向にある米国債10年の利回り。3月上旬には、2020年11月以来2倍となる1.64%近くまで上昇した。今後も利回りは上昇し、年内に2%に到達する見方もある。

日本の超低金利下で、相対的に魅力が高まっていると言われる米国債。特に長期金利のベースとなっている米国債10年の利回りについて、上がる要因や今後の株価への影響を見ていこう。

そもそも米国債10年とは、10年後に満期が来て現金化できるタイプの国債だ。ニュースなどで耳にするアメリカの「長期金利」は、この米国債10年の利回りが指標(ベンチマーク)となっており、ローンや1年以上の定期預金の金利に、影響を及ぼすと言われる。

国債についても改めて説明しておくと、政府が発行し、信用度が比較的高いと言われる債券の一つだ。国が資金を調達する手段として利用される。「国債=国の借金」とも呼ばれる。「国債を買う」とは、国にお金を貸すことと同じで、いずれは利子がついて戻ってくる金融商品だ。

そんな国債の利回りは、分母に債券価格、分子にその利子と償還差益(購入価格と払い戻し価格の差)を置いて算出される。

国債の利回り=(利子+償還差益)÷債券価格

簡単に言うと、価格に対し、どれだけの収益を上げているかを表した収益率の数値と言える。

それから、米国債10年の利回り、長期金利と株価の関係も見ていきたい。

景気のサイクルは大きく「景気拡大期」と「景気後退期」に分かれる。一般的に景気拡大期の初期から中期にかけて株価は上昇し、遅れて長期金利も上がる。その後、長期金利の上昇が株価の過剰な伸びへの抑止力となる。

とはいえ、実際には金利高=株安と認識されており、教科書的な説明の上では、株価と金利はシーソーの関係にある。その因果関係が一般に強く共有されているので、長期金利が上がると、株は売られやすく株価が下がりやすい傾向にある。

現在、為替相場の変動を回避するコストを加味しても、米国債の利回りが日本国債を上回ってきた。利回りが高いなら、日本の投資家にとっても米国債は魅力的に感じる。一方で、米国債10年の利回りがさらに上昇するリスクを抱えてまで、購入に動く水準ではないとの見方もあるようだ。

なぜなら、国債の価格と利回りは逆の動きをするためだ。

例えば、利率(額面金額に対して毎年受け取る利子の割合)が1%のとき、国債を100万円分買う。その後、利率2%の国債が売りに出されるとする。すると利率2%の国債に人気が集まり、利率1%のときに買った100万円分の国債は買い手がつきにくくなる。(10年の償還期間を待たずに)何としても売りたい場合、満期になったら100万円で返ってくる国債を90万円まで値引きしてようやく買い手がつく状態になる。

そこで、先ほどの計算を思い浮かべてほしい。分母となる価格の値が小さくなれば、自ずと利回りは大きくなり、その逆も然りなのである。つまり、米国債10年の利回りが今より上昇すると、現在持っている国債の価格が相対的に下がってしまうリスクがあることを意味する。

今後、米国債10年の利回りが上昇する要因は、主に次の2つだと言われる。

・景気の回復で資金需要が拡大
・国債の発行量が増える可能性がある

景気が良くなると収入は増加し、消費は活発化する。これに対し、企業はより多くのモノやサービスが供給できるように、積極的に設備投資をするようになる。設備投資といった資金調達の需要が高まると、多少借入コストが高くなっても、銀行から融資を受けたいと考える企業は増える。すると、長期金利、つまりは米国債10年の利回りも上昇していくわけだ。

また、新型コロナウイルスのワクチン接種や追加の経済対策で、政府が資金を調達する場面も出てくる。資金調達の手段として国債の発行量が増え、需要を大きく上回れば、国債の価格は下落する。すると、相対的に利回りは上昇するわけだ。

現在は、2021年1月20日に発足したバイデン新政権のもと、さらに国債の発行が増えるとの見方がある。そのため、需要と供給の悪化を見越した売りが増え、米国債10年の利回り上昇につながっていると言われる。

今後、さらに利回りの上昇が続けば、元本が保証される米国債に投資して利息を得た方が安全と考える投資家も増えるかもしれない。株式から債券へのシフトは、米国債10年の利回りが1.75%を超えてからさらに進むという意見もあるようだ。そうなると、米国の株式市場は下落する可能性もあるだろう。

では、株価が変動していく局面で、個人投資家はどうしたら良いのか――? 

王道の方法だが、相場下落時に量をたくさん購入できる積立投資を継続する。いわゆるドルコスト平均法であるが、やはり、基本に立ち返るのが、望ましいと言えそうだ。

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著者

吉田 祐基 ライター・編集者
吉田 祐基
各種金融系情報誌の編集・執筆業務を行うペロンパワークス所属。AFP/2級FP技能士。大手不動産情報サイト編集記者を経て入社。株・投資信託、保険などの編集・執筆を担当。

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