ETF(Exchange-Traded Funds)は「取引所に上場され、取引される投資信託」であり、その利便性から世界中で利用が拡大し続け、2020年12月末時点の世界全体の純資産残高は約7兆7370億ドル(約800兆円)の規模となるなど、「20世紀最大の発明の1つ」とも評される金融商品です。

その商品性・魅力については、当サイト上で過去にMoney&You社の頼藤様が解説されていることから、そちら(ETFとは?投資信託や株と何が違う?メリットは?徹底比較!)を参照いただくこととし、本年2021年は東京証券取引所がETF市場を創設して20周年の節目となることから、本稿では日本のETF市場の歩みを振り返り、そして次回、ETFの最新のトレンド等についてご紹介することとします。記事を通じて、読者の皆様にETFをより身近な商品として感じていただけると幸いです。

ETFの歴史は1990年代から始まった

ETFの起源には諸説ありますが、1990年にカナダのトロント証券取引所で上場された「TIPS35」を世界初のETFと評することが一般的です。もっとも、ETFの本格的なスタートは、1993年にアメリカン証券取引所に上場されたS&P500に連動する「SPDR S&P 500 ETF Trust(Ticker:SPY)」とされています。

そこから遅れることわずか2年、1995年に日本でもETFの歴史が始まります。野村證券投資信託委託(現・野村アセットマネジメント)による「日経300株価指数連動型上場投資信託(1319)(現・NEXT FUNDS 日経300株価指数連動型上場投信)」が、日本初のETFとして全国8カ所あった取引所に同時に上場しました。「TOPIX」や「日経平均株価」ではなく、「日経300」に連動する商品が最初のETFであったことを意外に感じるかもしれませんが、これは当時、バブル崩壊後に日経平均が低迷していたこともあり、1993年に算出を開始した目新しい指数である「日経300」を、業界として起爆剤にしたいという思いもあったようです。

こうして日本でもETFの歴史が始まりましたが、当時はまだETFに関する法整備も十分でなく、「日経300株価指数連動型上場投資信託」はいわば特例的な存在であり、その後、投資信託、投資法人に関する法律の改正などを経て、2001年7月、東京証券取引所はETF市場を創設しました。このタイミングで初めて「TOPIX」や「日経225」に連動するETFが複数上場し、日本でもETFが本格的にスタートしたのです。