ウェルスナビ、THEO… ロボアド界の最新動向

金融商品としての「ロボアドバイザー」(以下、ロボアド)が好調だ。業界シェアトップの「WealthNavi(ウェルスナビ)」(ウェルスナビ)の預かり資産は4000億円を超えた(2021年3月31日時点)。足元では、残高が月間で約200億円以上増加するというハイペースを記録しており、シェアをさらに拡大させている状況だ。

トップとの差は開いてはいるものの、2番手グループの「THEO(テオ)」(お金のデザイン)と「楽ラップ」(楽天証券)も、まずまず残高を順調に伸ばしている。2020年12月時点のデータではあるが、THEOの預かり資産は約770億円で口座数は10万件、楽ラップは約810億円で5万件となっている。

ロボアドのような、「お金を口座に入れさえすればあとは自動で運用してくれる」という投資一任型の金融商品は、他には「ラップ口座」がある。2010年頃から個人投資家を対象とした販売がスタートし、証券会社の大ヒット商品となった。

しかし、ここ数年をみると、残高、口座数ともに伸び悩んでいる。預かり資産は大手証券会社では2兆円台をキープしているが、口座数ではすでにWealthNaviに抜かれてしまった。ラップ口座を含めた投資一任型は、WealthNaviが業界トップとなっているのだ(2020年12月時点で約23万口座)。THEOも口座数では健闘しており、SMBC日興証券、野村證券、大和証券に次ぐ5番手となっている。

ただし、2021年7月末をめどに、THEOの証券口座はSMBC日興証券に移管される予定となっている。THEOは運用業務に特化し、サービスの窓口や口座の管理はSMBC日興証券が行う見通しだ。したがって、口座の移管が完了した後は、預かり資産や口座数で大きな変動が出る可能性がある。

NISAで使えるロボアド「おまかせNISA」登場! 

こうした状況下、ロボアドに新しいサービスが登場した。2021年2月、WealthNaviが提供を開始したNISA(少額投資非課税制度)口座でロボアドが使えるという『おまかせNISA』である。その名のとおり、一般NISA口座の非課税枠内で、WealthNaviが利用できるというもので、以下のように、NISA向けにいくつかのカスタマイズがされている。

『おまかせNISA』のプロセスは、①金融商品の選定→②商品ごとの購入額の決定→③非課税枠の活用→④資産の購入→⑤毎月の積み立て→⑥資産のリバランス、というステップを踏んでいく。この中で特徴的なのが、③非課税枠の活用だ。

NISAの非課税メリットの活用も自動で行う

一般NISAの年間の非課税枠の上限は120万円。投資金額120万円までは、配当や分配金、売却益といった利益が発生しても、約20%の税金が非課税となる。『おまかせNISA』では、この非課税枠の上限に達するまではNISA口座で運用される。そして、120万円を超えた分は、通常のWealthNaviの口座で運用されることになる。

また、非課税枠の上限を超える入金があった場合、NISA口座では、株式やリート(不動産投資信託)などの比較的リスク・リターンの高い(=値動きが激しい)資産が優先的に運用されるという。債券などに比べると、株式やリートは利益が大きくなる可能性があるため、非課税のメリットを活かす措置だ。

(例)すでに『おまかせNISA』で100万円を投資している状態で、50万円の入金があったとき、20万円はNISAで、残りの30万円は通常の口座で運用される。この際、NISA口座の20万円分は、株式がメインの投資信託やリートに優先的に振り向けられる。

さらに、ロボアドの最大の特徴といえる、ポートフォリオの調整である「リバランス」を自動で行う場合、なるべくNISA口座内の資産は、リバランスに伴う売却をしないようにするという。NISA口座では、資産を売却すると、その空いた分の非課税枠は再利用できないからだ。いったん上限枠に達したら、なるべくNISA口座内の資産は売却せず、一般の口座を使ってリバランスをした方が、非課税メリットをより享受することができる。