「お財布の落とし物が届いていますが、あなたのものではありませんか?」こんな電話がいきなり交番からかかってきたら、あなたはどうしますか?

選択肢1:なんとなく面倒くさいなと、放置する

選択肢2:予定をやりくりして、さっそく取りに行く

そうですよね、恐らくほとんどの方は選択肢2を選びますよね。お財布を落として平気な人はまずいないでしょう。でも、実際はお財布を受け取りに来ない方って結構いるんですよね。

何の話? はい、これは確定拠出年金(DC)の「自動移換」の話です。中には、“お財布”の中に100万円以上のお金を放置している人もいるんだそうです。びっくりしますね。

企業型DCを放置すると「お財布を落とした」状態に

業界関係者の間では、この自動移換者のことを「DC(確定拠出年金)難民」と呼んで問題視しています。自分のお金なのに取りに来ることもせず放置している、あるいは放置していることさえ気付かずにいる、残念な人たちです。でも、これは他人事ではなく、あなたも、もしかしたらDC難民かもしれません。DCの運営主体、国民年金基金連合会の調べによると、現在100万人近くの人のお金が「自動移換」として放置されているのです。

しかもその数は年々増加傾向にあり、減る気配がありません。特に転職・退職の経験がある方は、ご自身では気付かずにDC難民になっている可能性もありますので、ぜひ最後まで読み進めてください。

自動移換というのは、企業型確定拠出年金制度(企業型DC)のある会社を辞めた方に起こり得ます。企業型DCの資産は、転職の際に自分でしかるべき手続きを行わないと、自動移換といって国の機関にお金が格納されてしまい、自由に使えなくなってしまうのです。

ちなみにあなたの会社、あるいは以前勤めていた会社に「企業型確定拠出年金(企業型DC)」という制度はありますか? これは、会社が掛金を拠出し、そのお金をご自身で運用する制度です。会社によってはマッチング拠出といって、会社のお金に加え、自らも企業型DCにお金を積み立てている方もいらっしゃいます。掛金は人それぞれですが、加入期間によってはそれなりの金額になっているはずです。

確定拠出年金(DC)とは、老後資金専用の特別口座のことで、ここに掛金を積み立てると税制優遇を受けながら有利に老後資金を作ることができます。会社が主体としてこの特別口座を開設すれば「企業型DC」となり、個人が任意でこの特別口座を開設すれば「個人型確定拠出年金(iDeCo、イデコ)」となります。いずれにしろ、老後資金づくりへの関心が高まる昨今、非常に注目される制度です。