「NISA口座は放置」「iDeCoは資産が減っている」資産運用の"途中あるある悩み”に回答!
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「iDeCoは資産が減少…」「NISA口座は放置」王道の資産形成に潜むワナ

  • 公開日:2021.04.21

Editor's Eye

読者の方から寄せられた、資産運用にまつわるお悩みをお金のプロが解決する「みんなの資産運用相談」。今回はNISAとiDeCo(イデコ)の二大非課税制度を活用するという、いわば王道の資産運用をすでにしている相談者が登場。ただ、「NISAでは株を所有するものの放置」「iDeCoでは資産が減っている……」とそれぞれにお悩みを抱えている模様。原因や対策について、ファイナンシャルプランナーの小沢美奈子さんが解説します。

【千葉 友香さん(仮名)のプロフィール】
40歳、IT系企業で人事に携わっている。一人暮らし、東京都在住。

【寄せられたお悩み】 
「現在証券口座は二つあり、一つはネット証券で開設したNISA口座。3年前(2018年)に約30万円の株式を購入し放置しています。
もう一つは、独立系投信運用会社で開設している口座です。セミナーに参加して、とても良い商品だと思い、積み立てを始めました。
後者では投資信託を特定口座で毎月3万円積み立てています。順調に増えていますが、このまま続けていていい? とふと思うことも。もし、もっと良い積立方法があったら教えてください。
それとは別に、iDeCoを2年前から始めたもののこちらはどうも資産が減っているようです……。その理由と増やすにはどうしたらいいか、アドバイスをください」

【お悩みの論点】
①2つの証券口座で株と投資信託を所有。現状の運用でいい? もっと良い運用方法があるなら知りたい。
②iDeCoでは資産が減っている。なぜ? そして改善すべきはどこ?

金融資産額:948万円

内訳
預貯金:800万円
投資信託:113万円(特定口座で独立系運用会社の商品を積立購入し、運用)
株式:35万円(NISA口座で所有)
※iDeCoは定期預金でのみ運用しているが、ここには含めていない

【収支】
<収入>
・毎月の手取り収入:32万円
・手取りの年収:500万円

<支出>
31.7万円(詳細以下)

 

***

ご相談ありがとうございます。

ご相談の内容は大きく二つに分けられます。1つは、千葉さんがお持ちの二つの証券口座に関するご相談、もう1つは、iDeCoのご相談。まずは、前者のご相談から回答させていただきます。

ここでは、千葉さんが開設されているネット証券のNISA口座を①とし、独立系投信運用会社の特定口座を②とします。①については、3年前に株式を購入して以来、追加の購入をされていない状況。②については、今も積立を継続されている、とのことですね。

現状からすると、千葉さんの資産形成は「積立」がメインになっていると推察できます。もし千葉さんが今後も積立を中心とした資産形成をされるのでしたら、②の特定口座を非課税口座(NISAか、つみたてNISA口座)に変更されるのも一つの方法です。

ただし、NISA、もしくはつみたてNISA口座といった非課税口座は、一人1口座しか開設できない上に、NISAとつみたてNISAを両方持つことは制度上できません。

千葉さんが②の口座を非課税口座にする場合は、①の金融機関で開設したNISA口座を、②の金融機関に移す手続きが必要になります。手続きとしては、①の金融機関で非課税口座を廃止する手続きをした上で、②の金融機関で非課税口座の申込みをすることになります。詳しい手続きについては、それぞれの金融機関で確認してみてください。

注意点としては、もし①で今年に入ってから取り引きしていたら、年の途中で他の金融機関に非課税口座を移すことはできないことになっています。しかし千葉さんのお話からすると、ここ最近は①で取り引きされていないようなので、非課税口座を①から②に移すことは問題ないでしょう。

つまり、提案内容としては……

①ネット証券のNISA口座 ⇒ 課税口座(特定口座など)にする

②独立系投信運用会社の特定口座 ⇒ 非課税口座(NISAかつみたてNISA)にする

となります。
一方、非課税口座を①から②に移管した場合、①で買い付けた株式はどうなるのでしょうか? 

①のNISA口座で保有している株式は、「非課税期間が終わるまで非課税のまま持ち続けることができる」というのが答えです。2018年から始めたNISA口座は、2022年まで非課税口座で保有することができます。さらに非課税期間が終わった後は、「売却する」、「特定口座に移管される(何もしなければ自動的に移管される)」、「NISAにロールオーバーする」のいずれかを選ぶことができます。ただし、先述の通り、NISAとつみたてNISAの両方の口座を持つことはできないため、仮にNISAにロールオーバーした場合、その年はつみたてNISAを選ぶことができなくなります。

さて②を非課税口座にする場合、NISAにするか、つみたてNISAにするか、どちらが良いのかという疑問もあるでしょう。千葉さんの現状の限りでは、これを機につみたてNISAを選ぶというのが適切だと思います。

なぜなら、株式の新たな購入はなく、投資信託の積立のみを継続している千葉さんの現状からすると、NISAよりつみたてNISAの方が長い目で見ると有利になる可能性が考えられるからです。

NISAとつみたてNISAの主な違い
 NISAつみたてNISA
年間投資額の上限120万円(2023年まで。2024年~は新NISAに移行の予定)
※非課税投資枠は5年間で最大600万円
40万円 
※非課税投資枠は20年間で最大800万円
非課税期間投資した年から最長5年間投資した年から最長20年間
税制優遇運用益が非課税運用益が非課税
引き出し制限なし制限なし
その他の特徴・注意点・非課税枠の再利用はできない
・つみたてNISAとの併用は不可
・損益通算はできない
・非課税枠の再利用はできない
・非課税枠をスタートできるのは2042年までの予定
・NISAとの併用は不可
・損益通算はできない

千葉さんがつみたてNISAを選んだ方が有利になると想定できる理由の1つに、つみたてNISAはNISAより非課税となる期間が長いということがあります。NISAは5年間非課税となるのに対して、つみたてNISAは投資した年から20年間です。

つみたてNISAなら、一度積立の設定をしておけば、20年間は運用益に対して非課税になるわけですから、使わない手はありません。一方、つみたてNISAには、年間の投資上限額が40万円という制限があります。仮に今後もし、投資できる金額が増えるようなら、NISAを活用した資産形成を考えてみてもよいでしょう。

また、現在①のNISA口座で新たな商品の購入をされていないということは、「年間120万円分の非課税枠を余らせている」ことに等しいとも言えます。とてももったいないですね。ぜひ有利な資産形成をするためにも、つみたてNISAの利用を検討してみてください。

「iDeCoの定期預金で積み立てをしていたところ、資産が減ってしまっていた」というのは、おそらくiDeCoで毎月かかる手数料が引かれたことで、積み立てていた資産が減ってしまったのだと推測できます。

iDeCoでかかる主な手数料は以下の通りです。

1.iDeCoに加入する際に国民年金基金連合会に支払う手数料……2829円

2.お金を拠出する際に国民年金基金連合会に支払う手数料……月105円

3.お金を拠出する際に信託銀行に支払う手数料……月66円

4.お金を拠出する際に金融機関に支払う手数料……金融機関ごとによって0~500円ほど

このうち、2~4は、お金を拠出している限り、毎月かかってくる手数料です。これらの手数料は、保有している資産から自動的に引かれていきます。4の手数料を0円と設定している金融機関もたくさんあります。たとえ4を0円としている金融機関だったとしても、それ以外の2と3の手数料(171円)は、お金を拠出している限りかかってくるということです。

千葉さんは定期預金に100%拠出しているそうですが、現状定期預金の金利は、筆者が調べた限り軒並み年0.01%か、もしくはそれより低い、どんなに良くても年0.02%程度です。月1万円を拠出している千葉さんの場合、年間12万円となります。0.01%の金利がついたとしても、利息は12円程度です。結果、金利より手数料の方が上回ることになり、資産の減少につながってくるでしょう。

では、定期預金100%はやめた方がいいのかというと、そんなことはありません。なぜならiDeCoには節税という大きなメリットがあるからです。

年収500万円の千葉さんの所得税率を10%、住民税率を10%としたとします。年間12万円をiDeCoに拠出した場合の節税額は、おおよそ2万4000円です。

12万円拠出して、2万4000円の税金が得するわけですから、iDeCoには約20%(24000÷120000)の節税効果があるという見方もできるのです。

一方、iDeCoには「運用益に対する税金が非課税になる」というメリットもあります。定期預金に100%預けているままでは、そのメリットを生かすことができないという考え方もあります。

40歳の千葉さんは少なくともあと20年間はiDeCoに拠出することができます。iDeCoで投資信託を運用すれば、節税の恩恵を受けながら増やせる可能性もある上に、複利の力で資産が雪だるま式に増えていくこともあり得るのです。

まとめ
より有利な資産形成をするには、「税金をいかに抑えるか」ということに着目して欲しいと思います。その観点からすると、NISAやつみたてNISA、iDeCoの活用が効果的なのは間違いありません。ぜひ今後は、投資信託はつみたてNISA口座での積み立て、iDeCoでは投資信託に拠出することを前向きに考えていただきたいです。

 

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著者

小沢 美奈子 ファイナンシャルプランナー
小沢 美奈子
K&Bプランニング代表。大学卒業後、損害保険会社にて社員教育、研修講師などを経験。約12年間勤務後、外資系損害保険会社で営業に従事。ファイナンシャルプランナーとして活動開始後はWebや書籍などで記事執筆、セミナー講師、家計相談などを行う。シニアや生活困窮者のライフプランにも力を入れる。フォトライターとしても活動。趣味はカメラ。

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