「新しい時代の資産運用ビジネスとは?」を理解するために

新時代の資産運用ビジネスを理解するための必読書『IFAとは何者か―アドバイザーとプラットフォーマーのすべて』

  • 公開日:2021.04.28

Editor's Eye

昨今注目が高まっているIFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)。資産運用業界、金融機関のビジネスモデルを転換させるキーになる存在としても大きな期待を寄せられている一方で、その実情が広く知られているとは言い難い状況です。そんな「IFAとは?」に対し、国内屈指の専門家である執筆陣が包括的に解説した書籍『IFAとは何者か―アドバイザーとプラットフォーマーのすべて』が話題です。執筆陣の一人である大原啓一さんに、本書執筆に至った背景、読みどころを教えていただきました。

アフターコロナの資産運用ビジネスは大きく変わる

2020年頭から世界中で猛威を奮っているコロナ禍の影響で、金融機関の資産運用ビジネスも大きな影響を受けています。これまで当然のように行っていた個人のお客様との対面での面談やセミナー等の開催は自粛を余儀なくされており、営業活動にも支障が出ています。一方、世界的に実施されている金融緩和政策を受け、株式市場は活況を呈しており、資産運用ビジネスがその恩恵を享受していることもまた事実です。

ただ、このように外から見えやすい表面的なビジネスへの影響の陰に隠れて、従来の資産運用ビジネスのあり方が本質的に変わりつつあるということにも注意が必要です。例えば、オンライン証券会社が株式売買委託等手数料の無料化を進めている、菅新政権のもとで地域銀行の再編に対する問題意識が高まっている等、従来の事業モデルが転換期を迎えていることが明らかになってきています。今秋から始まる金融サービス仲介業制度も、非金融事業者が資産運用サービスの提供に乗り出すことを後押しすると期待されていますが、そのような転換の動きを加速するものと考えられています。

昨年12月に上梓した『IFAとは何者か―アドバイザーとプラットフォーマーのすべて』は、IFA(Independent Financial Advisor:独立系ファイナンシャルアドバイザー)について取り上げた書籍ではありますが、IFA事業者そのものについてのみならず、これからの資産運用ビジネスがどのように変化し、成長していく可能性があるのか等について整理をしました。

お客様本位のサービス提供に適した事業モデル

IFAは、日本では一般的に金融商品仲介業者を指しますが、お客様本位の資産運用サービスの提供を重視する流れのなか、その注目度が高まりつつあります。実際のところ、IFA事業者数は全体でもまだ1000にも満たないような小さな業界なのですが、「顧客本位の業務運営に関する原則」の改訂等を背景に、今後さらにその存在感が大きくなっていくことは間違いありません。

『IFAとは何者か』でも述べさせていただきましたが、提供サービスに関連して着目すべきは、IFAという業態そのものではなく、その金融商品仲介という事業モデルにあります。実は、「顧客の側に立っている」と表現されることの多いIFAですが、その法律的な立ち位置は証券会社等からの委託を受け、株式や金融商品を販売する仲介業者に過ぎません。

ただ、日本の金融商品仲介制度においては、特定の証券会社等のみに“専属”するのではなく、複数の証券会社や資産運用会社と提携することが認められており、お客様に最適なサービスや商品を選定し、提供することができる立ち位置になります。

この優位な立ち位置をうまく活用すれば、お客様にとって最善の資産運用サービスを提供することができるというのがIFAの事業モデルが注目されている理由なのです。

お客様本位のサービス提供に適した事業モデル

「比較優位の原則」を活用した効率的な事業運営

また、サービス提供の観点のみならず、金融機関としての事業性の観点でも、IFAの事業モデルの魅力は大きいと考えています。

オンライン証券会社の手数料無料化や、地域銀行の経営環境の悪化等、従来型の金融事業モデルはもはや限界を迎えており、これまでのやり方では利潤を生みだすことは難しくなっています。お客様本位のサービス提供が重要であることは言うまでもありませんが、事業継続性に疑義があるなかでは、結果的にお客様に迷惑をかけることにもなりかねません。

そのような流れのなか、IFA事業モデルが優れているところは、外部の金融機関との連携を通じ、効率的に資産運用ビジネスを構築・運営するところにあります。すなわち、従来の金融機関のように何から何まで「自前主義」で全て備えようとするのではなく、金融商品の販売管理機能やシステムは証券会社に任せ、IFAはその得意とするお客様への商品提案やアフターフォロー等に特化し、事業生産性を高めようとするスキームです。これは経済学的にいえば、「比較優位の原則」を活かした事業モデルに他なりません。

このIFAの事業モデルは、IFA事業者だけではなく、最近では地域銀行が証券会社や運用会社と提携する際にも活用されており、今後の資産運用ビジネスの新しいあり方のひとつを示すものであると考えられています。

新時代の資産運用ビジネスの可能性や課題を網羅的に整理した一冊

『IFAとは何者か』では、これから新しい時代を迎える資産運用ビジネスにおいて、IFA事業モデルの可能性や課題について、網羅的に整理しています。

第2章と第3章では、日本のIFA業界に比べて先行しているとされる米国と英国の独立系アドバイザー業界の現状について、明治大学の沼田優子教授とフィンウェル研究所の野尻哲史代表がわかりやすくまとめてくださっています。

それを受け、私が担当させていただいた第4章では、日本のIFA業界の現状や今後の可能性、課題等について、私見も織り交ぜつつ、整理をしました。

また、最初の第1章では、米国・英国・日本の独立系アドバイザー業界の執筆を担当した共著者3名が、鼎談形式で、日本の資産運用ビジネスの可能性や課題についてお話をさせていただいており、もしかすると本書でもっとも楽しくお読みいただけるところではないかと考えています。

2020年代は日本の資産運用ビジネスが大きく飛躍することを予想していますが、本書をお読みいただくことで、その方向性について何らかのヒントを感じていただけることを祈念しています。

新時代の資産運用ビジネスの可能性や課題を学ぶ

著者のお一人である大原啓一さんに『IFAとは何者か』に込めた想いを解説いただきました。「もっとも楽しくお読みいただけるところではないか」とのご紹介もあった、第1部の冒頭を特別にチラ見せします。以下の「本の一部を特別にチラ見せ!」のリンクからお読みいただけます。

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著者

大原 啓一 日本資産運用基盤グループ 代表取締役社長
大原 啓一
2003年東京大学法学部卒。2010年ロンドンビジネススクール金融学修士課程修了。野村資本市場研究所を経て、2004年に興銀第一ライフ・アセットマネジメント(現アセットマネジメントOne)に入社。日本・英国で主に事業・商品開発業務に従事。同社退職後、マネックスグループ等から出資を受け、2015年8月にマネックス・セゾン・バンガード投資顧問を創業。2016年1月から2017年9月まで同社代表取締役社長。2018年5月に日本資産運用基盤株式会社を創業し、代表取締役社長に就任。
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参考サイト
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